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哲学と心理学   作者: 佐藤守華
7/7

掴めない二人

次の日


僕は朝、登校している時だった。

急に後ろから声をかけられた

誰かと思い、ちょっと面倒くさがりながら振り向いた

誰かわからないのに失礼な態度だと思った人もいるかもしれないが、言い訳をさせてほしい

基本的に僕は低血圧なので、朝は超の付く苦手だ。

苦手というか、ただ人に対して優しくなれない時期なのだ。

これを理解してくれる人はなかなかいないものだが、もうそろそろどこかの学会か何かで証明して、

「あぁ、低血圧だもんね」という一言が一般的な常識になればいいと思う。


とここまで、無駄にまわる頭で考えたはいいが誰なのか確認しといたほうがいいだろう。


「何でこっちを向きながら思考回路に迷子になっているの」

と、朝から冷たい口調が僕の繊細な脳みそに入ってきた。

できれば人には優しくしたいが、朝からケイ先輩の口調を聞くと見下されているような気分になるのでやめていただきたい

そんなことを考えながら、なにかごようですかと不機嫌を隠すこともなく僕は尋ねた

ケイ先輩は僕の不機嫌さを知らないかのように続けた。

「御用も何も、昨日の件で話があったからわざわざ呼び止めたんだよ」

昨日の件……

何か約束したことでもあっただろうか

昨日は二人だけの秘密のように二人で話して後輩はのけ者にされた記憶しかないのだが

それか何か進展でもあったのだろうか

何か進展でもあったのですかと聞いてみた

するとケイ先輩はなに、聞いてないのとでも言いたげな顔をしてとりあえず、事件の真相が分かったから君を呼んでいるみたいだよと言った。


何故、聞いてる風に聞いてきたんだ

何故、呼ばれるんだ僕が

とまわらない頭で考えて、疑問が出てきたが「君の足りない頭で考えてもきっと分からないからやめといた方が身のためなんじゃナイ?」と馬鹿にしたように言ってきた。


あれ、この人こんな人だったか

最初見たときはもっと賢そうに見えたような……

この人に関しては掴みどころがないというか、人を寄せ付けないような雰囲気を持っているような人だ

見た目はそうだが、中身も優しいとはかけ離れたような人だと今になって気づいた。

なぜ今まで気づかなかったのか

それは、いままでケイ先輩と共にいつもいたツッキー先輩のせいだろう

おかげというかせいというか

あの人がいたからこそ、この毒舌は周りに気づかれていなかったのだ……


1対1で話した時の破壊力といったらたまったものではない…

疲れる…明らかにツッキー先輩と話すより疲れる

何故ツッキー先輩はともかくとして、ケイ先輩がモテないのかそれが1番の謎となっていた僕の謎はここ数分で解決した。

この人の性格だ。


これでは女の子も寄っては来ないだろう

男子より女子の方が色々としているからプライドも高い、褒められることはあっても貶されるようなことをする人がいるとも考えない女子はこの人が化け物のように恐ろしいことだろう。


あのキラキラとしていたのはよく言う偶像崇拝に近いものだったのかもしれない


それにしても、真相が分かっただと言っているが

僕には全くわからなかった。考えようともしなかった。


はっきり言って、少しの間しかいなかったし

ちょっと話を聞いただけだ。

それにそこまで難しい事件でもない。


だって、昨日までの証言を聞いていれば自ずと答えは導き出せるものだ。

結論から言うと、学年が違うから調べなかった。

それだけの事件だ。


それをわざわざ捜査して、事件だと騒ぎたてている人の心情など知りたくもない。

しかし、仮にも先輩だ。

断ったり行かなかったら何をしでかすかわからない

とりあえず、放課後に行ってみようかと思い

「放課後、どこに行けばいいんですか」と尋ねた


うんと、と考えるような素振りをして

僕達の教室に来ればいいよと答えた


分かりましたと言って、早足で先に行こうとする僕に

先輩が僕の靴の踵をわざと踏み

いてっと言って振り向く僕の前に立ち


僕さぁ…あんまり君の機嫌なんて知らないけど

あんまりに先輩に対しての態度だとは思わないわけだよネ……と言いながら、僕の肩を押した


尻もちを着いた僕に向かって続けた。

「学年とか気にしないんだけど…目は合わせない、返事も関心がなさそうだし、止まってた時にも足は他の方向を向いてた。嫌な場所からはなく離れたいという人間の無意識上の動きってのは知ってるよネ?」

と笑いながら……と言っても威圧的な笑いだ


あっ……やばい……

と思った時には遅かった。

ケイ先輩は身長が高い為尻もちを着いた状態だと本当に巨人のようなもんだ。

それに怒り方が感情的ではなく、冷静に怒られるのが怖いとはこのことだ。


思わずでた、すっ、すいません……と言葉も聞いているのか分からないがとりあえず逃げるに限る…


放課後は必ず行きますぅ

と声をはりあげ、思い切り立ち上がり小学生のマラソン大会ぶりの走りを見せた。

後ろから氷のような視線が突き刺さったが

逃げるように走った。



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