生物部の活動(?)
あの、喜劇の様な悲劇の初日を迎えた僕は部活動がまだ本格的に始まっていないので1年生は帰っていいという感じだったから、帰る準備をしていた
すると、ねぇと声がしたが僕はスルーすることにした…いや、ダジャレではなく普通に
今度はトントンと肩を叩かれて僕を呼んでいるのだと気がついた
横を見ると、満面の笑みを浮べるザ・スポーツ系という感じの焦げた肌が良く似合う
……誰だっけ。
「俺は小咲甲斐だよ、多分覚えられてないなと思ったから自己紹介先にしとくわ」
あ、うん
と小声で答え、僕の名前は…と続けようとすると
「知ってるよ。日向佐屋だろ」
と首を傾げて聞いてきた
「そうだけど、どうして知ってるの」
はっきり言って自己紹介はグループに別れてゲームのようにやったので4人ぐらいしか自己紹介していないという感じだった。
だから、ほとんどのクラスの名前が分からないのだ
「いやぁ、隣の奴の名前ぐらい覚えようと思ってさ。昨日席の表を見て覚えたんだよ」
と、さっきと変わらず人懐っこいような笑顔を向けていた
というか、なんという記憶力…尊敬する
そこまでして名前を覚えようと思わなかった
あ、うん、そうなんだと答えてから
「で、僕に何かようかな?」
と肝心なことを聞いてみた
「えっとな…お前ってさ、部活とか決めた?」と、おずおずという感じで質問してきた
まぁ、一応は決めてあるんだが…強制的に
取り消すのもアリかな
と思いながら
「まぁ、うん、決まってるっちゃ決まってるけど…まだ一応みたいな感じなんだ」
そうかー決まってんのか…と考える様に呟くと「どこの部活?」とまた質問してきた
コミュニケーションが取れる人ってだいたい質問責めがすごいよな
とぼやぁと考えながら
「生物部だよ…一応」
というと驚いたように
「え!生物部!まじで!」
と今まで以上に迫力のある言い方をされた
「う、うん…そんなに驚く?」
生物部なんて無いものではないしよくある部活だ。そんなに驚く事なのだろうか
「いやさ、お前見た目がスポーツできる系っていうのかな…細マッチョに見えたから運動部かなって思ってたから意外だな」
僕のことか…まぁ、元運動部だったが高校では無所属の方が楽だし入る気もなかったんだけどね
「一応運動部だったからね」
と一言でまとめた
「うんじゃあさ、俺に付いてきてくれないか?」
と言いずらそうに言い出した
「付いてきてって何処に?」
と少し面倒な臭いがしたが話を続けることにした。
「俺さ、野球部に入りたいんだけど…誰も野球部の体験入部行く人がいなくてさ」
多分、このコミュニケーション能力だ
クラスの男子全員に声を掛けているに違いない
僕は最後ってことか
なんかにイラッとくるがこれは予測に過ぎないし、僕なんかに聞いてくるってことはかなり困っているのだろう
「えーと…体験入部だけならいいよ」
と最終的にOKする形となった
ありがと!!とめっちゃビックリマークが沢山見えるような気がした
運動着をもって甲斐くんと野球部の所に向かっていると
野球部から奇声が響いてきた
うぉぉぉぉおおおおおおおお!という感じな声だ。
多分野球部だろうけど、どうしたんだろうか
近ずいて熱狂している野球部の視線先を見てみると目を疑う様な風景が広がっていた
そこには
スコップを片手にバッティングの姿勢をとっている馬鹿の姿がみえた。
そして、もう一人野球ボールの代わりにサッカーボールを投げようとする馬鹿の姿も見てしまって目が死んでしまったのは言うまでもないだろう
とゆうか、なんでスコップで打とうとしているかそこが一番の不思議だがなんで野球部でサッカーボールを持ってきて投げようとしているか全く分からない。
そして、その馬鹿たちは昨日入った部活の先輩なんて信じたくない
するといきなり
「おぉと!ピッチャー大きなボール、サッカーボールを投げようとしています
スコップで打てるのでしょうか?」
というスポーツ漫画あるあるでいるいきなり実況し始める人がいた
なんで実況してるんだよ…
ふざけてやってるだけだよこの人達…
と思っている僕に気付かず
「サッカーボールをピッチャー投げました!!」
と言ったのと同時ぐらいに僕は視線を馬鹿達に戻していた
投げたサッカーボールは思いっきり投げられただけあって凄い勢いでスコップのある方向に飛んでいく
「すごい勢いだ!!スコップで打てるのかぁ!?」
と早口に実況がはやし立てる
スコップ馬鹿はよく狙いを定めて
サッカーボールをスコップで跳ね返した
「おぉ!!跳ね返しました!と、同時に走り出した
ピッチャーも走る!!ボールをとりに走ります!」
なんなの…?あの二人…
「すげぇ!!あの人サッカーボールをスコップで跳ね返したよ!
みたか?!」
と甲斐くんもかなり興奮しているようだった
う、うん…と苦笑いを返すしかなかった
「ボールを取りに行ったピッチャー…!
なんとボールを蹴ってこちらまで運ぼうとしています!!なんという早さ」
蹴るな!!野球やってるのにサッカーボールのルールを持ってくるのは反則だ
というか、サッカーをしろ
「と言っているあいだに1点入ってしまったぁ…」
とあっさり勝敗が決まったようだ
スコップ馬鹿はスコップを振り回しながら喜んでいる
サッカーボールマンはサッカーを始めたようだ…アホなの?
「あの人達どこの部活の人かな」
と僕に甲斐くんが聞いてきた
さぁ…僕は知らないと言いたかったが、嘘をつくのは気が引けたので
「あぁ、あの人達は生物部の先輩だよ」
と一応説明してみた
「すごい変人だな」
とニカッと笑いながら言った
純粋な笑顔に少し癒された
あと、付け足したいのは変人ではなくヤバイ人達という事だ
と、話しているとスコップを振り回していた変人はこちらに気づいて近寄ってきたようだ
あ、ヤバイな
と思って、逃げようかと考えている間に話しかけられてしまった
面倒な事になった…違う部活動の体験入部と聞いたら何をされるか分かったもんではない
こっちよりもサッカーしてる方がヤバイんだが
やぁやぁと話しかけてきた
「こんな所で何をしているんですか佐屋くん」とにやけながら言っている
「あ、えーと…部活の体験入部ですけど」
と言うと
「あぁ、そうですか…で、そっちの方は誰です?」
案外体験入部の事をいっても反応が無かったのは意外だったが、とりあえず紹介先にすることにした
「えっと、僕のクラスの小咲 甲斐くんですよ」
と名前を紹介するとよろしくお願いしますとハキハキと挨拶をした
スコップ馬鹿ことツッキー先輩は
「僕は瑠璃院月彦といいます2年生ですよ」
と自分の自己紹介をすませた
ふと、サッカーボールマンことケイ先輩を見てみるとサッカー部に乱入して試合をしているようだ
なんなんだあの人…サイコパスなの…
しかも、さっきまでボールを蹴っていたのにボールを抱えて走るラグビーみたいにしているせいで誰も近寄れないという感じだ
野球ではサッカーボールを蹴るのにサッカーではラグビーの様に抱えるあの人は頭のネジがかなりとんでいるのであろう
ほっとこうかな
ていうか、顧問の先生はいないのか
と思っていると
「今日は職員会議なので前半は先生達はいないんですよね」
とニヤニヤしながら答えた
そんなにわかりやすい顔してるかな
まだ一言を質問してないんだけど
もうそろそろ部活だったら半分くらいは終わる頃だから戻ってくると思うのだが
「あの、ケイ先輩回収しなくていいんですか」
と一応聞いてみた
まぁ…と言って考えるような素振りをみせて
「いいんじゃないですかね」
と言った
薄情者か、さっきまで一緒にふざけてたんじゃないのか
ねぇねぇと甲斐くんが呼んだ
ん?なにと言うと
「ケイ先輩ってあの人?」
と言ってサッカー…いや、ラグビーをしている先輩を指した
う、うんと答えた
「名前って何ていうの?」
あぁ、そういえばまだ言ってなかった
あんだけ目立って入れば誰か気になるのも分かる
「あの人は右陰蛍先輩だよ」
と紹介した
「だから、ケイ先輩なのか」
漢字のことだろう
納得したという感じだった
ふっ…と口元を抑えて笑っているツッキー先輩は笑いながら
「あ、あぁ…漢字よく分かりましたね」
といってクククッと笑ってから
「いやぁ、佐屋くんより勉強ができるんですね」と前僕が読めなかった事を遠回しに言ってきた
嫌な性格だ…
でも、甲斐くんはよく分かってないらしく
?マークを浮べ、あざっすと一応返事を返した
すると、遠くからおいっ!何してるんだ!という声がした
サッカー部の顧問の先生だろう
ということはあの人が怒られているに違いない
と思っているとケイ先輩はこちらに気づいた
嫌な予感しかしないな…
と思った瞬間にケイ先輩はこっちを指を指していた。多分、ツッキー先輩の事を言ってるのであろう
二人してやっていたから当たり前なのだが
ツッキー先輩も指を指されている事に気付きそして、サッカー部の顧問がこっちに向かっていることに気づくとニヤと本当一瞬笑って
走り出した。
驚いた事に走っていく先はサッカー部の顧問の方向だった
先生は完全に怒っているので謝りにきたのかという呆れまじりの顔をしている。
僕が知る限りあの人は謝るという行動は知らないと思うのだが、まだ会ってから日が浅いし思っているよりも素直なのかもという事も考え始めていたとき
ツッキー先輩の次の行動に目を疑った
なんとスライディングで顧問の先生の股下をくぐると体制を立て直しまた走り出すという
アニメみたいなことをしたのだ
先生はそのせいで驚いたような顔をしたがすぐに走り出し全力疾走でツッキー先輩を追いかけ始めた
これこそリアル●ごっこだな…
ツッキー先輩は見た目めっちゃ運動苦手そうだが脚が速かった
一定の距離を保っている
と、大人しく待っていたケイ先輩が動き出した
多分こっちに逃げて来るであろうツッキー先輩を捕まえるためにか倉庫の裏に隠れた
そこに全力疾走のツッキー先輩と顧問の先生が走り込んできた
どうなるのかと思っていると
ツッキー先輩が倉庫の前の小道を挟んでケイ先輩が隠れている大体直線にある草むらに隠れ、ケイ先輩から糸のようなものを投げられキャッチして足元にトラップのように糸をピンと張った
慣れているような早業だった
てか、共犯かよ
先生はすぐにきたので見事に引っかかり全力疾走だったので脚が引っかかったと同時にでんぐり返しのように前に転がっていった
同情してしまう、痛そうだ
先輩達はそれをみてグッと親指をつきたてお互いに良くやったみたいな顔をして早々走っていった
先生はというと
ムクっとすぐに起きるとお前らぁぁぁあああちょっと待てやぁぁあぁあと怒りが限界を超えてしまっていた
このままだと僕にも何かしら被害が出そうだしもうそろそろ帰ろっかな
と思っていると
「生物部って面白そうだな」
と甲斐くんが言っていた
そういえば野球部の体験入部にきたはずだったのだが参加せずにもう終わりそうだった
ちょっと申し訳なかったが僕のせいではないしあんまし気にしていなかった
甲斐くんは唐突に
「明日は生物部を体験入部しにいくから一緒に行こうぜ」
と言われて
まぁ、断れない性格もあるので
OKしてしまった
明日は何があるのだろうか…心配だ