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戦闘後のお楽しみ

H29.3/16前話の一部を改編しています

本筋に影響ありませんが違和感を感じるかもしれません


オーク→ハイオークに改編しました

 属性解放した俺は同時に展開したスキル『高速思考』のお蔭で周りの景色が一変したような感覚に襲われる。とは言っても不快な感覚では無く万能感が満ちるような不思議な感覚・・・ハイオーク達の動きが急にゆっくりした物に感じられる。


 気配を感じる感覚だとか視覚情報だとかが物凄い速さで処理されていく。相手が何をしようとしているのかが、その動き出しからハッキリ判る。しかし聞こえるハイオーク達の叫び声は普通に聞こえてくる。周りがスローモーションの様に流れていくのに叫び声や物音などは普通なので違和感もあるが、きちんと情報として統合されて認識できているのが自分の事ながら不思議な物だ


 ナティさんとの模擬戦で大きく変わった事、今までは周りに放電していた紫電が身体を覆う様に循環している。属性解放といっても自分の内部にある物を解放するので、放たれていた紫電も結局は自分のエネルギーの様な物だ、それを無駄に放出していた事が属性解放後の体調不良の一因だった


 勿論、普段使えない身体能力の強制開放にも成るので、疲労や負荷のかけ過ぎという事も在ったのだろうが、その辺は修行で身体を鍛える事で補える部分だ。結果として普段の修行時には前よりも自在に使える様にはなっていた


 しかし、実戦と練習では状況が違う為、大森林や魔境の様に身に安全が確保できない状態では使い辛かったのが条件が揃った今ならば、使用に関しての問題は少ないだろう


 自分の踏込で生じた音も置き去りにハイオーク達の群れに突っ込んでいく。隊列を変え先頭に立つキングはポンタさん達に任せて後方で支援の体勢を整えた奴らが目標だ


 曲刀や盾を長柄の武器に持ち替えている奴や弓矢を準備する等、普通のオーク達には見られない知性が感じられる。その際に生じる隙はキングが前に出て圧力を掛ける事で、一人で受け持つなど役割分担も出来ているようだ


 しかし折角の知能も、近接戦闘の武器を手放してしまった処に俺が踏み込んできて、混乱してしまう事で役に立つ事は無かった。そのまま長柄の武器で迎撃しようとする者が、近接武器を拾い直す者にぶつかってしまったり、弓矢で射ろうとして矢を取り落としたりと戦線として機能しなくなってしまった


 その中を紫電を刀にも纏わせた俺が走り抜けていく。切れ味を増した刀で斬り裂き、何とか防いだハイオーク達も雷撃に痺れて動けなくなってしまう。俺が走り抜けた後には倒れるハイオーク達の山が出来上がる。下手に金属鎧で身を固めていた事も拙かったのだろう鎧袖一触という様相を呈している


「プギャラアア」


 折角、自分が前に出て事態の収拾を図ろうとした事が却って事態を悪化させた悔しさか、叫ぶキングはブルーベルやポンタさんに背を向けると、こちらに向かって手にした巨大な曲刀を振り回しながらドスドスと走ってくる。


「それは流石に悪手じゃろう」


 ローラさんがキングの後頭部に火炎を叩きつける。鎧に覆われた身体では無く無防備な後頭部に炸裂した魔法は、キングの頭部を炎で包む。両手で頭を押えながら苦しんではいるのだが、一向に倒れる様子は無い。

 オークの特徴であるタフネスさが増している。・・・流石にキングと言った処だろう


 炎が消えても火傷が痛むのか、片手で顔を押えながら曲刀を振り回し俺達が近づけない様にけん制しているキング。その範囲に残っていたハイオーク達が慌てて逃げ出す様は、先程までの知性有る行動が何処かへ行ってしまったような感じだ


 キングの曲刀を避けつつ、残ったハイオーク達を無力化していく。痺れて動けなくなった者達は壁役の使命を果たし終えたルビーゴーレム達が止めを刺しており、俺はまだ動いているハイオーク達に突っ込んでいく、数が減った事で長柄の武器でも取回す事ができる様になった事で、俺に向かって槍を繰り出してくる者もいたが、直線的なその攻撃を身を翻(ひるがえ)す様に躱しながらも近付く足は止めない。伸ばされた槍を片手で握り、動きを封じれば身にまとった紫電がハイオークに伝わりくぐもった悲鳴を上げながら動きを停める。止めに鎧の隙間に刀を突き刺し、生死を確認する事無く視線は次の獲物に向けている


 徐々に数を減らしていくハイオーク達の残りを掃討し終わり、振り返ればキングとブルーベルが足を止めて打ち合っていた。タフネスさと膂力に任せたキングの攻撃を真っ向から受け止めるブルーベル。動きの止まった所でポンタさんが攻撃を仕掛ければ、苛立たしげに曲刀を大きく振るう事でポンタさんを近づけない。


 大型の魔物との戦闘の基本である包囲しての攻撃には聊(いささ)か手が足りて無い様だ。掃討を終えた俺も参加する事で、三角形の包囲網を形成する。ハイオークよりも大きな身体には触れただけの雷撃では動きを停める事は出来ない。しかし正面をブルーベルが受け持つことで、死角から俺とポンタさんが攻撃を仕掛ける。


 隙を見てハルカさんが矢を放ち、ローラさんの魔法が急所を狙ってくる。最早抵抗のしようがない状態に陥っているキングだが、迷宮の魔物だからなのか役目を果たす為なのか逃げ出す様子は無い


 流石のタフネスさも、自身が流した血が床に血溜まりを造る頃には目に見えて遅くなっていく。あれだけ軽々振り回していた曲刀も刃筋が通っておらず、フラフラとした軌道で目の前を通り過ぎていく


「行きます」


 大きく叫ぶハルカさんが、渾身の魔力を込めた矢を放つと狙い違(たが)わず眉間に刺さり遂にその動きを停めるキング。だらんと下がった腕から曲刀が音を立てて床に落ち、グラッと揺れたと思うとそのまま後ろに倒れてしまう


 地響きが響いて、動く事の無くなったキングを見て解放していた属性を解除する。やや強めの疲労感は残るが動けないことは無い。少し休憩を挟めば探索も続けられそうだ


 右手をニギニギして身体の調子を確かめていると、倒したハイオーク達やキング達が光を放ち始める。


「迷宮の魔物達はこうやって迷宮に吸収されるんや」

「吸収?」


 光が収まると後には魔石と宝箱が残っていた。なるほど吸収とはこういう事か、確かに死体が残ったままの迷宮と言うのは想像がつかないか・・・


「こんなんも迷宮の不思議やな。外で会う魔物みたいに逃げる事や隠れる事もあらへんし、迷宮が生み出した魔物っちゅうんは不思議だらけやで」


 言ってる言葉と裏腹に楽しそうに目を輝かせるシトールさん。


 ハイオーク達の魔石も中々の大きさで数もあるので色々役には立ちそうだ。キングの魔石に関しては伶が何かを思い付いたのか嬉しそうに眺めている


「ほら智大さん。宝箱ですよ宝箱」


 嬉しそうに手招きするハルカさんにデジャヴ(既視感)を感じる。ナティさんの迷宮でのシトールさんにそっくりだ。案外この二人は似た者同士と言うか相性がいいのかもしれないな


 急かされる様に皆が宝箱に近づき中身を楽しみにしている。シトールさんが罠等が無いか確認しているようだ


 この迷宮もナティさんが制覇して世界に危機を及ぼす様な危険な物など確認している筈なので、魔王様に怒られる事も無いだろう


 浅い階層・・・ていうかまだ一階だし大した物は出てこないのだろうけど、戦闘終了後のお楽しみって事でワクワクしている皆と一緒に宝箱の周りでシトールさんの作業を終了するのを待つ事にしたのだった


読んで頂いてありがとうございます

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