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衝撃の事実2

伶の周りにはお酌をしようと皆が集まってくるが、お酒は年齢を理由に断って挨拶だけしている

俺はする事もないので、ひたすら食べまくる

ただ、何を食べても似た味付けで不味くはないが美味しくもない微妙な味だった

(まぁこの状態で味わうってのも無理だけど…)

相変わらず、席には女性しか居らず男性は壁際に控えて給仕役に徹している。

席についている男性は俺だけなので常に好奇の目で見られている。

居心地が悪い事、悪い事


食事会が飲み会に変わってきたので、伶がお暇を告げると先程の男性神官が宿屋に案内してくれるそうだ

伶が皆に引き止められている間に男性神官にそっと聞いてみる


「何故、女性ばかりが優遇され男性が虐げらえているのですか?」

「虐げられている訳ではないですよ。ただ我々は役立たずですから…」


ちょっと吃驚した様子の神官さんはそれでもきちんと答えてくれた

別に普通の事ですよと言いながらも、あまり他の人には聞かないようにした方がいいと教えてくれたところで伶も挨拶を終え此方に来たので、神官さんの案内で宿屋に向かった



「従者と同じ部屋にしてください」


宿に着くなり伶が吃驚するような事を言う

一瞬驚いた顔をした宿屋の主人はすぐにその表情を引っ込め黙って部屋に案内してくれた

部屋に入ると荷物を置き、ベットに腰かけると普段の表情に戻った伶が聞いてくる


「さてと、何から説明したらいいかしら?」

「沢山あるよ!」

「まず、なんなんだよ。この徹底した『女尊男卑』は!しかも俺が従者っておかしくない?勇者じゃないのかよ」

「しかも『剣』の事が判らないって…剣と魔法のファンタジーはどこにいったんだよ?」


俺も伶の向かい側に座り今まで我慢していた疑問が口に出してみる

そして口に出してみるとそれは不満へと変わっていき、つい口調が荒くなる


「あ~やっぱりね。智大、小説の読み過ぎよ」

「確かに智博が隠し持ってる本はそれ系のばっかりだもんね」

(うっ!何故知ってる!?)

「ベットの下に隠し棚まで作って隠している本の事よ」


目が泳いでいる俺に隠し場所まで知っている伶の突っ込みが刺さる

先程までの不満が吹っ飛んだ。


「まずね、この世界は剣と魔法の世界じゃないわ」

「この世界は魔道具と魔法の世界よ」

「な、なんだって~!」



まるで金○一少年の様に指を指しながら宣言する伶に定番の返答してみるが俺は本気で吃驚している

伶が詳しく教えてくれる

確かにこの世界も神話の時代には剣と魔法の世界だったらしい

戦いでは剣や槍などを使い、畑を耕すのは鍬だった

弓で獲物を狩り、竈で煮炊きをする

道具を使って体を動かすのが当たり前だった…

だが、ある時気が付いたのだ『魔法でやったら楽じゃね?』と


「ほら、さっきの智大の好きな小説でも最後は魔法で『俺TUeeee』してるじゃない」

(なんで内容まで知ってるんだよ!)

「そうは言っても皆が魔法使いって訳じゃないだろ」

「そうね、そこで魔道具の出番よ」


この世界の住人は強さは別にして全ての人に魔力があった

その魔力を使って動かせる魔道具を造り、しかも量産に成功したのだ

戦闘や畑仕事、狩猟、土木に建築など体を使う事は全てゴーレムで

食材をセットすれば料理ができるし、掃除や洗濯は部屋に浄化魔法を組み込んだ魔道具が置いてある

通信に移動まで、生活の全てに魔道具が存在するのだ


「家電の代わりに魔道具でって事か…」

「でも戦闘とか、複雑な動きは無理じゃないか?俺達の世界でも全自動の無人機なんてなかったし」

「うん、初めは戦争に男手が取られて女だけでも生活できる様にって事から作り始めたみたい」

「それが使用魔力の効率化と魔法回路の縮小が可能になった結果、一人で扱える量が増えて普通の人でも5体くらいは動かせるのよ」


確かに普通の人でそれなら、軍人とかはもっと動かせるだろう。

数を動かせれば複雑な動きが出来なくても、個人の技量だけで戦える訳がない

しかも前線で戦うのはゴーレムだ。範囲魔法で巻き込んでも問題ないから敵の足止めさえ出来ればいいのだ

人死にもなくなるから、戦闘の仕方も変わるだろう


「そうして戦闘の仕方に変化が起きて大きく変わったことが出てきたのよ」

「変わったこと?」

「ええ、まずは平和になったわ」

「いい事じゃないか」

「そうね、でも男性が余ったのよ…」

「余ったら何が問題なんだよ、故郷に帰って仕事…」


言ってる途中で気が付いた。

その仕事が無いのだ…

例えば国家間の戦争なんてものは、戦闘はゴーレムに任せて範囲魔法でけりがつく

必然的に魔力の強い者か魔道具の操作の上手な者が軍隊に残る

軍を除隊した男達は、魔力が弱いか魔道具の使い方が下手な者達だ

そんな男達が魔道具で便利になった故郷に帰っても、役に立つはずがない


「悪い事に、この世界で魔力の強さは種族と性別ではっきりしてるのよ」

「種族では獣人族→人間族→妖精族の順に強いわ。ただ、獣人族は特殊能力持ちが多いから一概に言えないのよ」

「そして、女性と男性では圧倒的に女性の方が魔力が強い。その上、人間族の男性は獣人族の女性よりも魔力が少ないわ」


つまり人間族の男性の魔力はこの世界で一番弱い事になるのか

ってことは軍隊だって男性が必要なく、寧ろ女性を入れた方が良くなるわけか…

そんな状態が何千年も続いているのだ。男性の立場が低くなるのは当然だろう

だから我々は役立たずって言葉になるのか…


読んでいただきありがとうございます


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