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戦いの後始末

 結局、アッティスさんの活躍であっさりと終わってしまった戦い。移動だ準備だで時間を掛けたのに、ものの数分で終わってしまった印象だ


「あ~折角、訓練とかしたのにな。」

「にゃはは。少年、いつかは役に立つ。誰も怪我も無く戦いが終わったのだ喜ぶべきだろう」


 別に今回の為だけに強くなりたい訳じゃないのだが、どうせなら強くなった自分を試してみたい男の子成分が在るのも事実だ。


「そうですよ。あの洞窟の戦いとかは無駄にならないですよ。あの、その、か、カッコ良かったですし・・・」

「あ、ああ。あの洞窟ね・・・」


 ハルカさんが俺のトラウマを(えぐ)ってくる。


 あとな伶、睨み付けなくても俺は無実だぞ。寧ろ被害者だ!


「あら~ン。智大ちゃんったらモテモテね。お姉さん嫉妬しちゃうかも」


 クネクネしながら頬を押える、この戦いの功労者は汗一つ掻いていない。アッティスさんが言うには特別な力では無く、キュベレー様の眷属ならばアンデッドの浄化で消耗することは無いらしい。


「でもね~普通に浄化しただけなら美しくないじゃない?ピンクでも良いんだけど、やっぱり虹色の方が私らしいでしょ?」


 全身の力を込めていたのは浄化の光に色を付ける為だという。暗闇を斬り裂くピンクの光・・・うん、なんか妖しいお店みたくなるからやめた方がいいと思うが虹色もどうかと思う


 色々規格外の力を見せてくれたアッティスさんだが、陰の功労者はナティさんだろう。邪教徒達を特殊な結界で囲い、今は自分の影の中に閉じ込めているそうだ


「事前にお話を聞いていて心当たりが有りましたので対処できて僥倖です」

「ふむ、結局は何だったのじゃ?」


 ナティさんが言うには過去の大戦で使用された技術に似ているという。対象になる者に魔力を込めた魔石を埋め込み条件が揃うと込めた魔力に応じて魔法が発動する様だ


「危険な技術の為、徹底的に消滅させた筈ですが何処から漏れたのでしょうか・・・」


 過去には爆発の魔石を埋め込み、都市部で発動させ無関係の市民に被害を与えたり、狂化の魔石を魔獣に埋め込み村や町を襲わせたりと、戦争とは関係の無い一般市民に被害を与える卑怯な手段に魔王様が激怒したらしい


 幸いにも邪教徒達が使用しているのは、かつて作られた情報漏れを防ぐ為の魔石と重要人物を救出する為の魔石らしい。捕えられた邪教徒が干からびて死んだ事やブロックの様に転移されたのは条件が満たされた事によるものらしい


 結界で包み込む事で外部からの魔石への干渉を防ぎ、ナティさんの影の中で魔石の無力化を図っているらしい。因みに無力化の方法を聞いてみたら、大変いい笑顔で聞かない方がいいと言われたので、それ以上は聞かなかった。答えたナティさんの眼が全然笑っていなかったからだ


 かつて頻繁に戦争が有った大昔、その頃には既に魔族はあまり世界に(かかわ)ら無い様にしていたらしいのだが、ある小国が行った余りの非道に怒った魔王様の命令で魔石の加工と身体に埋め込むための技術、両方をそれを開発した国ごと徹底的に消し去ったというのだ。


「ふ~ん。じゃあその技術を復活させたって事?」

「いや、魔石自体は過去の物じゃろうな。それでなければもっと非道な物を埋め込んでいる筈じゃ」

「どこかに秘匿されていたものが有ったのでしょう。これは我々のミスです、魔王様に報告の上で対処させて頂きます」


 今回捕えられた邪教徒達は魔族の手で徹底的に尋問されるだろう。邪教徒達の手がどこまで伸びているか判らない以上、下手に公的な機関に預ける訳にもいかない。しかしこの世界に干渉する気の無い魔族、まして魔王様の忠実な執事のナティさんに任せておけば詳しい事が判明するだろう


「さて、難しい話は終わりにして食事にしましょう」

「ふふ~ン。男の人は胃袋から掴めって言うのよ。ハルカちゃんも覚えとくといいわよ~」


 アッティスさんの活躍で戦闘も早く終わったのでまだ夜明け前だ。態々(わざわざ)暗闇を移動する必要もないので夜が明けるのを待ってからの行動になる。どうせならばと伶とアッティスさんが食事を作ってくれたのでまずは腹ごしらえとなった


 温かいスープとパン、あとは簡単なサラダを大皿で出してくれた。野菜を多めに出すのはアッティスさんの譲れない部分らしい。食材はちょっとその辺の家から拝借させてもらった・・・まぁ住民が居なくなったのだから誰にも怒られないだろう


 呆気(あっけ)なく終わってしまった戦闘だったが、やはり緊張は有ったのだろう。温かいスープに身体が(ほぐ)れていくのが判る。規格外の参加者のおかげで戦闘の痕跡は全くないのだが、夜中に住民が居なくなった村で普通に食事をするというのもシュールだ


「この村どうなるのかな?」

「そうね邪教徒の事は発表できないし、そこを秘密にすると説明が難しいわね」

「そんな時こそ神さまじゃろ。適当な理由で神託を出して貰えばいいのじゃ」


 住人がアンデッドと化していた事は誰も知らないのだ。事情を知らない者からすれば、たった一晩でしかも争った形跡も無く、いきなり住民が行方不明になった不気味な村になる。いくらファンタジーの世界でも大事件になる事は目に見えている。ローラさんの言う通り神さまに任せて有耶無耶(うやむや)にした方が簡単そうだ


「まずはキュベレー様に相談してみましょう。ただ国の上層部には情報を与えた方が良さそうね」

「ふむ、今回の様な手を使って来るとなると、それなりに上の連中に対応してもらう必要が有るかもしれんの」


 何処に邪教徒の手が有るか判らない以上、王国や帝国の上層部へ、出来れば皇帝や王様に直接情報を与えたい。しかしそんな伝手が無い以上は何処かで情報が漏れる可能性は有るだろう


「それでしたらお任せください。魔族は各国と秘密の協定を結んでおりますので、会談の場を設ける事は可能です」


 思わぬ助け舟がナティさんから出た。なんでも強力な力を持つ魔族が世界に干渉する事の無い意思表示の為、そして世界を荒す戦争を起こさせない抑止力として魔族は各国とパイプを持っているのだという


「姫様はこの世界が今のままである事を望んでおりますので」


 驚く俺達に(うやうや)しく頭を下げながら説明するナティさん


「まさか、お酒じゃないですよね?」


 皆が驚く中、思わず出た俺の疑問に眼を逸らすナティさん。・・・魔王様(呑兵衛)の考えそうなことだ


「良いではないか。酒で世界が平和に為るなら結構な事じゃ」

「それでは、各国との調整に入らせていただきます。参加者は使徒の皆さまでよろしいでしょうか?」


 誤魔化すように話を進めるナティさんに悪い笑顔のローラさんが告げる


「いや、ここは調査団の団長殿にお願いしよう」


 ああ。本人の知らない所で話が決まってしまう・・・


 いい加減、胃に穴が開くんじゃないだろうか・・・


 ポンタさんすいません。俺には止められそうもないので、せめて癒しの存在だけは用意しておきます


 そう思いながらスラちゃんの頭を撫でておいた


「きゅう~?」


 え!?、俺が面倒事を避けてるって?スラちゃんそれは気のせいだよ。思わず撫でていた手に力が入る

 

 ・・・偉い人は苦手です


後はギフトを貰ってキュベレー編も終了です。

あくまでもキュベレー編です!アッティス編ではありませんので!!


次はどんな神さまにしようか迷ってます。誰かアドバイス下さい(笑)

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