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戦いの幕開け

 心当たりは余り無いのだが、俺の活躍でナティさんが協力してくれる事になった。懸案だった術者の確保も目処が立った事で少しは難易度が下がった気がする。強力な魔族であるナティさんが動くのだブロックの時の様な事には成らない筈だ


 暗闇の中、馬車は道なき道を走る。既存の道を使って村に近づけば邪教徒達に気が付かれる可能性がある為に他に方法は無いのだ。ナティさんの先導で暗闇の中、障害物の確認もできない場所を信じて走る


「もう少しで村が見えてきます。ここからは徒歩で移動しましょう」


 息を切らせもせずにナティさんが立ち止まる。馬車の速度はそれ程早くないにしても素晴らしい体力だ


 前方に微かに灯りが見えるのが村の入り口なのだろう。あの灯りの向こうに村は有る、しかしそこに暮らす人々の命の(ともしび)はもう失われている筈だ。遣り切れない思いが浮かびそうになるがこれから始まる戦闘を考えればそんな事を考えている余裕は無い


 俺達は無言のまま村へと近づいて行く。ナティさんの使い魔の報告では帝都の方から邪教徒達が近づいているようだ。動きを予想して考えていたパターンの一つに当て嵌まる行動に、此方もそれに合わせた配置につく


 村は帝都の近くで治安がいいのか(さく)などの防御壁はなく周囲から幾らでも侵入できるつくりになっている。入り口付近の森の中にアッティスさんが潜み、俺達四人は別の場所でいつでも奇襲を掛けれる様に潜んでいた


 俺達が潜んでいるのを気付かないまま邪教徒達が村に到着する。ローブを着て先の少し曲がった杖を持つ如何(いか)にもな感じの奴が何かの呪文を唱えると、その手に持った杖が魔法とは違う光を放つ。


 その光に導かれる様に村の中央に陣取った邪教徒達の元にアンデッド化した住人達が集まってくる。誘蛾灯に集まる蟲の様にそこに集まれば訪れる運命は決まっているのだ。しかし何か形容し難い形相をした住人達、人の意思が込められていない不気味な表情のまま中央の広場に集まって来る住人達


「お~ほっほっほ。さぁ私の可愛い僕たちよ、顔を見せてごらんなさい。」


 邪教徒に囲まれるようにしていた如何(いか)にもな奴が前に進み出ると、楽しそうにアンデッド化された住民たちを見渡していく。周りには同じようなローブを着た魔法使い達と護衛らしき人影が見える


「カイト様。問題ないようなら速やかに処置をした後、この場を離れろとの指示でございます」

「あら、無粋ね。折角の作品たちの成果を見てるのに、どうせこんな場所に誰も来ないわよ」


 高飛車そうな女の声で答える『カイト』と呼ばれる人物。言動からこの村を襲った呪術を操る術者であるのは間違いないだろう


「しかし、命令は絶対でございます。枢機卿の指示に従ってください」

「もぉせっかちね。いいわ特に問題は見当たらないわよ」


 少し()ねた様な声色でカイトが答えると後ろに控えた魔法使い達が詠唱を始め、大地に浮かび上がった魔方陣からアンデッド達が湧きだしてくる。


 呪術により支配されアンデッドと化した村の住人達は、湧き出してくるアンデッド達の姿を見ても何も反応する事はない。意思の込められない表情、そのままで蹂躙(じゅうりん)されようとした、まさにその時・・・


 村の入り口が突然、眩い光に包まれる


「そこまでよ! 迷える子羊ちゃんの魂を操るのはこの私が許さなくてよ」


 スポットライトに照らされプレイメイトも真っ青なセクシーポーズで登場したのは勿論アッティスさんだ


 いや、確かに「私が気を引くわ~ン」とか言ってたけど!、言ってましたけど!!、まさかこんな登場とは思いませんて・・・


 突然現れた場違いさ+漢女(おとめ)のセクシーポーズにに邪教徒達は悩殺されたのかポカーンとしてる。ついでに打ち合わせていた筈の俺達もポカーンとしちゃいましたよ


「あ、怪しい奴め! しかし見られた以上は黙って返す訳にはいかないわ。お前たちや~っておしましなさい!!」


 口調だけはアッティスさんに似ている女王様キャラのカイトが最初に復活したようだ。彼女の指示にあらほらさっさと動き出す邪教徒達。・・・今週のビックリドッキリメカでも出てきそうだ


 正気に戻った俺達も不意を突くべく邪教徒達の後ろへと廻りこむ。その間にもアンデッド達はアッティスさんに襲い掛かろうと集団で移動し始める


「ふふん、多少驚いたが所詮は一人。アンデッドの大群に襲われて骨も残らず食い荒らされればいいのさ」

「あら~ン。判ってないわね、美しいは正義なのよ。私が負ける訳がないでしょ~」


 女王様キャラのカイトが挑発すればドラッグクイーンの様な漢女(おとめ)が胸筋をピクピクさせながら答える。


 アッティスさんの筋肉が膨れ上がり、鬼の形相を浮かべながら気合の声というか叫びというか、良く判らない物と共に後ろに引き絞られた右拳に凄まじいエネルギーが集まってくる


「ん~!可憐悩殺撃滅拳セクシィーショットォォ!!!」


 途中から野太い掛け声を出しつつ、空手の正拳突きのお手本のようなその動作から放たれた光は、暗闇を引き裂きながら虹色の軌跡を描き、その正面に迫るアンデッド達を飲み込む。


 その光に包まれたアンデッド達は先程までの意思の無い表情や何かを恨むような表情では無く恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべ、おそらくは生前の姿なのだろう取り戻した姿形で天に向かって浄化されていく


「な、なによそれ・・・」


 カイトが(うめ)く様に絞り出した声・・・


 うん、敵だけどすっごく気持ちが判ります。


 だいたい浄化って言ったら白い光とか眩い光だろ?虹色ってなんだよ!色々怒られるぞ!!


「少年!やる事があるじゃろ!!」


 突っ込みに忙しい俺に掛けられた、ローラさんの一言でやる事を思い出した俺達は邪教徒達を確保するべく背後からの急襲を掛ける。


 と言っても電池の切れたおもちゃの様に動かない邪教徒達に当身を食らわしていく簡単なお仕事です


 ふと見ると、いつもの優雅な雰囲気に多少の(ほころ)びを見せつつもナティさんが、しっかりと呪術を操るカイトを確保し結界で拘束している


 結局、刀も抜かないまま戦闘は終了してしまった


 アッティスさんに全部持ってかれた・・・


 折角のお披露目だったブルーベルも所在なさげに突っ立ているし、その横で伶が額を押えている


 これ、俺達要らなかったんじゃないの?


「あら~ン。やっぱり美しすぎるって罪なのね」


 アッティスさんが頬に両手を当てながらクネクネしている


 あ~ハルカ(天然娘)さん、拳を突き出してどんなに真似しても手からビームは出ないですよ・・・


幕が開いたらと思ったらすぐ終わってしましました・・・


シリアス先生VSアッティスさんの戦いはアッティスさんの圧勝です



読んでいただいて有難う御座います



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