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大酒呑みの魔王さま

少し短いので一時間後にもう一話、幕間を投稿します。合わせてお楽しみください

 さて、自称平和主義の魔王様が求める元の世界のお酒だが醸造と熟成に時間が掛かる為、当然直ぐに出せる訳ではない。この辺りは魔王様も理解しているようなので後々の楽しみって事でいいらしい


「取敢えず、これで我慢して頂けますか?」

「な、なんじゃこれは。うむ喉にガツンとくるのう」


 伶が差し出した一杯はこの世界にあるお酒を蒸留したものだ。伶の持つスキル『錬成術』と称号の『錬金術師』。これを使って蒸留酒を作ったようだ。


 う~ん、蒸留は出来ても醸造は出来ないというのはどういう事なのだろう?『万物の理』に統合されたとはいえ『解析鑑定』が有るのに『鑑定』を取ったりと伶の持つスキルの事が良く判らないな・・・


「この世界のお酒の酒精だけを取り出した物です。これを樽に入れて熟成させれば薫り高いお酒になりますよ」

「ふむ、それまでの楽しみか。善哉善哉(よきかなよきかな)


 難しい事は置いておいて、魔王様もスラちゃんを膝に乗せて、なでなでしながらコップに入ったお酒を見つめつつ先の楽しみに満足いただけた様なので善しとしよう


「ナティ。細かい事は任せた。数名選び出して邪教徒共の動向を探れ」

「はっ。姫様の仰せのままに」


 ナティさんは魔王様に(ひざまず)いて命令を受け取るとこちらに向かい挨拶してくれる


「この度、アエーシュマ様よりご命令を拝しました。改めてよろしくお願いいたします」


 熟練の執事さんという感じの態度に反して若々しい見た目で深々とお辞儀してくれる。姫様呼びなのは何故なのだろう?先代の魔王様の娘とかなのかな?


「此方こそよろしく頼む。詳しい報告はポンタにしてくれればよいからの、一度顔合わせの機会を作ろう」

「いえ、それには及びません。こちらから御挨拶に向かいたいと思います」


 ローラさんは頷くと魔王様と一緒に蒸留酒を楽しみ始めた。うん、ポンタさん驚くだろうな。いきなり上位の魔族が目の前に現れるんだから・・・いい加減胃に穴が開くんじゃないか?


 とはいえ、魔族の能力なら調査も有利になるのだろう。イメージとして夜の闇の中での活動とか得意そうだし、邪教徒の連中だって闇の中での密談とかしてそうだし。ギルド、教団、獣人やエルフの皆さんの調査とは別角度の調査結果が出てきそうだ




「ところで、エシュム様とローラさんはどのような関係なのでしょう」


 二人のコップにお酒を()ぎながら伶が問いかける


「ふふふ、昔なやり合ったのじゃ。今まで生きてきた中でローラは一番の強敵じゃ」

「あぁ、あれは熱い戦いじゃった。今度こそ勝敗を着けなければいかんの」


 お互いに不敵な笑みを浮かべつつ杯を合わせる二人


「姫、ローラ様ご勘弁を願います。あの惨劇を繰り返すのは・・・」


 ナティさんが脂汗を流しながら身震いをしている。よっぽどの戦いだったのだろうか?


「結局引き分けじゃったな。」

「ああ、今度は伶の作る酒で勝負じゃ」


 酒!?、酒って言ったか今?


「国中の酒を飲んでも勝負が着かぬとは何とも情けない幕切れじゃったの」

「うむ、しかしこの酒精ならば量は関係ないじゃろ」


 いやいや、今も結構な量を飲んでますよね?二人とも全然酔ってないですよね!?飲んでなくても部屋に漂う匂いだけでも酔いそうなんですけど・・・あぁハルカさんがポワポワし始めているよ


 ナティさんも困っているようだ。ああ、この人も苦労性なんだな。ポンタさんと気が合うかもしれない・・・


 すっかりお酌係になってしまった伶が必死にお酒を生み出しては()いでいく。消費されていく酒が無くなるまで夜が()けても二人の飲み会は続いて行った


 _____________________________________________


 翌朝二人の呑兵衛が起きてきたのは日もだいぶ高くなってからだった。頭を押さえて二日酔いに苦しむエシュム様とケロリとした顔のローラさん。少なくてもお酒の分解能力ではローラさんに軍配が上がったようだ


「むぅローラは狡いのじゃ。」

「にゃはは、まだまだひよっこじゃの」


 プクッと頬を膨らませながら抗議するエシュム様は外見に似合う可愛らしさを見せていた。これで抗議の元が二日酔いという、おっさん臭い理由じゃでなければ本当に可愛らしいのだが・・・


「それでは私は姫様を城に送り届けた後、活動に入らせていただきます。打ち合わせ通り報告はポンタ様へとさせて頂きますのでよろしくお願いします」


 ナティさんがそう挨拶した後、エシュム様を抱えて飛び立っていく。上空であの黒い竜に姿を変えると凄い速度で北に向かって飛んで行った


「あれで、結構苦労しておるのじゃよ。数は少ないとはいえ魔族たちは個体の能力が高い、それを纏め上げて従えるのは自身の力の誇示も必要じゃし餌も必要じゃ。偶の気晴らしには付き合ってやらねばの」


 異世界転移から貴族とか王様になる物語とかよく有るけど、支配階級というか為政者とかも大変なんだなと思ってしまう。幸い俺達の使命ならそんな事にはならないと思うけど・・・フラグにならないよね?大丈夫だよね??


読んでいただいて有難う御座います

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