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邪教徒との戦い

 剣と刀という同じ人を斬る事を目的とした武器を使う二人は同じスピードタイプ。同時に動き始めた二人は一挙にその間合いを詰めると真ん中で剣と刀が打合わせるとそのまま左右に別れる。


 刀と比べると斬れ味の落ちる剣では隙が大きいと判断しているのか素早い突きを虚実織り交ぜながら繰り出してくるブロックと、足捌きの緩急とスキルを利用した動きで翻弄しつつ必殺の一撃を狙う俺。


 同じスピードタイプだが狙いがまるで違う二人の戦いはどちらかが小さいいミスをすれば決着がつくだろう。それを理解している筈の俺達は揃って口元に笑みを浮かべる


「楽しいなぁ、おい。磨いてきた技を振るえるってのはいいもんだ」

「喜んで貰ってなにより」


 繰り出される突きを躱し牽制も兼ねつつ刀を振るう。軽く躱すと死角に廻りこもうとしつつ突きの連撃を繰り出す。地図には邪教徒とあったがこの男もその一味の筈だが不思議とその剣からは邪悪なものは感じられない。伝わってくるのは言葉のとおり戦いを楽しんでいる事だけだ


「何故?」

「まぁ、話せば長くなるからな。ここは俺を倒したら教えてやるって事にしとこうか!」


 短い言葉に色々な意味を乗せた俺の質問にブロックはある意味テンプレな返答で答える。しかし勝負がついた時はどちらかの命がなくなる時であろう事を理解している二人はその返事が意味の無い事も理解している


 そして、返事の言葉と共にブロックの動きが大きく変わる。

 剣を持つ手とは反対の左手から放たれる魔法と剣を使った攻撃。時に魔法を目晦ましにして剣で攻撃し、逆に剣と思わせて魔法と、攻撃の幅を広げてくる。特に魔力の感知に鈍い俺はどうしても魔法攻撃に反応が遅れてしまう


「はっはっは、まだまだ行くぞ」


 魔法攻撃が有効だと見抜いたブロックは両手も使いつつ無数の火の玉を向けてくる。威力を押え発動の速度を上げた魔法に間合いを詰める事が出来ない。


「くっ!」


 魔法の回避に気を取られ死角からの突きが脇腹を(えぐ)っていく。


「どうも使徒様は魔法が苦手の様ですね、泣いて謝ってくだされば命だけは保障いたしますよ」


 勝利を確信したのかブロックの言葉遣いが丁寧になる。今まで本性を出していたのだから今更なのだがこれがこの男の様式美なのだろう


「悪いが負けるとあいつ等に怒られるんでね。期待には応えられないな」

「そうですか、では此れでフィナーレとしましょう」


 そう言うと。今までよりも数の多い魔法を繰り出すブロック。火の玉だけではなく氷の礫や風の刃まで生み出し放ってくる


『迅雷』


 小さく呟くと俺の身体から発せられる紫電。後方に土煙が上がるほどの踏込で間合いを詰める俺は途中にある魔法を(いかずち)を纏った刀で真っ二つに斬り裂いていく。はたして俺が目の前に来たことを認識できただろうか?


「ばっ・・・か、な・・・」


 言葉を発する時間も無く袈裟懸けに斬られたブロック。

 確かな手応えに確認せずとも息絶えている死体を残しすぐさま伶たちの方へ向かう。ゴーレム達が壁を作りローラさんの魔法で数を減らしているとはいえ、多すぎる数の暴力にいつ廻りこまれるかは判らない


 紫電を纏ったままの俺は横合いから魔物達の群れに突っ込むと、慌てた魔物達が振り返る間もなく刀で斬り倒され俺から発せられる紫電に触れ黒こげに成りながら倒れていく。


 勢いのまま通り抜けた後には半数の魔物達は倒れており反転して再度突っ込もうとした時


「少年、離れろ」


 ローラさんの声に慌てて進路を変えてゴーレム達の後ろに飛び込むと、とびきり大きな炎の塊が炸裂した


「ちょっ、ローラさん。もうちょっと余裕を持って声を掛けて下さいよ」

「大丈夫だったのじゃから細かいことを言うでない、少年」


 視線だけは敵に向かったままのローラさんが軽く答えると、迅雷の効果が斬れた事で押し寄せてくる疲労感を無視して俺も油断なく刀を構える。


 しかし舞い上がった土煙が収まるとそこには動く者の姿は一切なく、魔物達の後ろにいた魔法使い達の倒れている姿が炎の余韻に照らされている。強力な魔法では有ったが魔物達に押し込まれていた為魔法使い達までは距離が有り魔法の範囲外の筈だったが動く気配はない


 警戒しつつゆっくり近づいて行く


「死んでますね」

「はりゃ~魔法使いさんミイラさんになってますね」


 死体の凄惨さもハルカさんに掛かれば可愛い感じになるのが不思議だ。その干からびた死体はおそらくタンドさんが尋問するはずだった盗賊達と同じ末路なのだろう、今度は捕えられる前に口封じされたのだろうか?しかし、海の真ん中にあるこの島で周りには他の気配はない。


「ふむ、おそらく少年が戦っていた優男(やさおとこ)が倒された辺りでやられたのだろうな」

「見張られていたのですか?」

「いや、奴が倒されたら自動的に発動する呪いの様な物だろうな」


 邪教徒・・・邪神を祀る狂信者たちの考え方に背筋に冷たい物が流れる。こいつ等の暗躍が力を盛り返して来ている邪神と関係が無い訳がない。


 おそらくあの盗賊たちも邪教徒に関係が有ったはずだ。


「気に入らんな」

「ええ、ただ神殿を回れば済む問題では済まなくなりそうですね」



 戦闘の間隠れていたスラちゃんが跳び付いてきたので撫でてやりながら不気味な予感を感じてしまった


いつも読んでいただいて有難う御座います

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