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智大冤罪に巻き込まれる

 一夜明けて問題点と対応策を話してみる。タンドさんとベジンさんは長老衆に根回しの為出掛けているのでうちの頭脳班とハルカさんで原案を作成する事になった。


「結局、ハルカさんは相手にご遠慮願いたいって事でいいのよね」

「はい、そもそも好みのタイプじゃないですし、やっと成人したんですからもっと世界を知りたいんです」


 そもそも単純に考えればハルカさんに一目惚れをした相手にどうお断りを入れるかって事だけなので特に難しい話では無い。公式にお断りの書簡でも送れば問題解決である筈なのだ。ただ…


 ちょっと、相手が同じ森の守護者で喧嘩っ早い短気な種族の長で

 ちょっと、返事を待つその短気な相手を散々待たせて

 ちょっと、返事を催促に来た使者を力尽くで倒して追い返しちゃった事ぐらいだ


 うん、流石にちょっともここまで重なればかなり問題かもしれない。


「まずは返事が遅くなった事を詫びて年齢の若さを理由にして断るのが無難じゃろうの」

「それで納得してくれますかね?」

「う~ん、少年が問題を大きくしてるからの。そこをどうするか…」

「ちょっ、俺じゃなくてタンドさんでしょ!」

「いや、実行犯は智大だし」

「……」


 女性陣の結論が俺を悪者にする流れになってないか!?、しかもハルカさんまで俺に非難の目を向けてくるし、冤罪だ!タンドさんに嵌められたんだ!!


 そう叫んでみても聞き入れては貰えない。まさか異世界で冤罪事件の当事者になるとは…

 とは言え、そもそも相手にしてみれば指示したのが誰であれ実際に戦ったのは俺である訳だし、本当の事を話せばエルフ側が力尽くで問題を排除したって事になるから問題ある訳だ。その辺は馬鹿な俺でも理解できる。理解できるのだが俺一人が悪者になるのは納得がいかないのだ


「まぁ、少年の評判は無視して使徒としての地位を利用させてもらうかの」

「ちょっ、無視しないで下さいよ。しかも地位を利用って最悪じゃないですか!」

「智大はだまってて」

「はい…」


 伶のプレッシャーに負けて項垂れる俺を伶の肩から移動してきたスラちゃんが慰めてくれる。もう味方はお前だけだよスラちゃん。言葉の通じる相手よりも言葉が通じない相手の方が俺を慰めてくれるなんて…

 スラちゃんのスベスベ&プニプニな身体、略してスベプニなボディをなでなでしながら拗ねる俺を余所に問題解決に向けてのストーリーが出来上がっていく。どんな悪代官チックな演出になるのやら…









 根回しを終えて帰って来たタンドさんとベジンさんに解決策の原案を見せてみる。難しい顔をして悩むベジンさんとサムズアップをしながら笑顔を浮かべるタンドさん、歯がキラーンってする位の笑顔を浮かべてる


 対照的な二人のハイエルフに成り行きを見守るしかない俺は、まさしくまな板の上の鯛。後は頭脳班に美味しく調理されるだけである


「しかし、これではエルフ全体に係る事になるのではないか」

「別に全世界に発表する訳ではないんだからもっと簡単に考えましょうよ。しかもハイエルフに関する事ですからエルフ全体にも無関係な事じゃ有りませんよ」

「いや、そこではなくてこの部分が…」


 ベジンさんは話が大きく成り過ぎるのを心配しタンドさんはもっと楽観的な考えを押している。二人の話し振りを見ているとタンドさんに分があるようだ。絶対この人『話術』とか『詐術』のスキルを持っているよ


「ですが、この方法ならエルフ側も言い訳が成り立ちますし相手側も文句を付ければ度量の小ささを責められる。いい案だと思いますけど」


 伶がそう提案する原案の内容はこうだ


 ①エルフが使徒を援助するにあたって補佐役としてハルカさんが付いていく事なった

 ②返答に時間が掛かったのは使徒の補佐役という大事を誰にするのかの選考に時間が掛かった為

 ③選定の基準は年若いエルフの見識を深める為と使徒と歳が近く思考が柔軟な事

 ④候補者の中から最終的に使徒側からハルカさんが使命された事

 ⑤期間は使徒が使命を果たすまでとし、その他にも問題があった場合は補佐役を解除できる事


 これならば、返答に時間が掛かった言い訳もしつつハルカさんと婚姻できない理由にもなる。最終的に選んだのは使徒だという事を明記すればエルフ側の意図を隠す事もでき、しかも寿命の長い両種族が期間限定の大事な役目を果たすことに反対すれば度量の小ささを疑われるのだ。どうしてもと言われれば解除は出来ますけどどうします?という問いかけを入れる事によって夜叉側が納得したという形が作る事が出来るという完璧な物だった。俺も悪役になってないしまさしくwin‐winな提案だ


 ベジンさんが気にするのはエルフが使徒を補助するという項目で、タンドさんは夜叉に提示するだけだから問題ないだろうって考えなんだろう。最終的にはベジンさんが折れてこの案で行く事が決定した。因みに長老衆からは白紙委任状を取り付けたそうなので後で問題になる事は無い様だ


 早速この内容を美辞麗句で飾った書簡を作り夜叉側に受け渡すべく使者が送られた。

 後は夜叉側の出方次第だが仮にも森の神霊と言われる立場だ断られることは無いと思っていたのだが、事態は予想の斜め上を見せる事になった


(確か、俺のステータって運が上がっていた筈なんだけど)


 夜叉側の返答に思わずそう思ってしまった…


いつも読んでいただいて有難う御座います

最近週末に複数投稿がきつくなってきてます。何とか毎日更新は出来ているのですが複数投稿はもう少しお待ちください

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