獣人の町
すいませんが今週末は投稿をお休みさせてください。
ストックなしで自転車操業での投稿はガリガリと精神を削ってきていて…
土日で少し書き溜めた後、投稿していきたいと思います
今俺達はコンタさんの案内で獣人の集落に来ている。ルクテから小一時間ほどの距離にあるこの集落も街道の中継地という事もあってポンタさんの集落よりも大きく集落というよりは町に近い位だった
「よう来なさった使徒様。ローラ様も息災で御座いましたか」
「はい、長におかれましても変わらぬご様子で安心いたしました」
ポンタさんの集落の様に和風テイスト溢れる町並みの中心に立つ屋敷はポンタさんのそれよりも立派な寧ろ城とでも言っていい位の大きさだった
ローラさんが言動を改める程には権力があるであろう長が上座に座り、一段低くなった処に俺達三人は座っている。長の後ろには傍仕えの屈強な獣人さんが控えその真ん中に小柄な長が座っている。その耳は丸く大きな形をしており某夢の国のカチューシャのようだった
(チュータだ!これ名前は絶対チュータだ!。獣人さん達判り易すぎるだろう)
「して長よ、お話があるとの事ですが」
「うむ、実はのレシェフ様の加護の件じゃが正直困っておる。ポンタが神殿に向かい直接レシェフ様から御言葉を頂き神殿の管理と祀り事を承ったのは良いのじゃが、人間族の神殿を管理しておった者達が聞いておらぬと騒いでおるのじゃ」
うん、想像できたよ。たぶんレシェフが他の神殿に神託を出してないから真偽を確かめられない神殿側の人間と揉めてるんだろう。加えて主要八柱を祀る神殿を管理する人間族は、それが一柱とはいえ獣人族の管理になるのはその利権が失われると認めたくないんだろう。さんざん末席の神さまとか酷い扱いをしておいて勝手な事だ
「深く考える事ないですよ。あのおっさ…失礼、レシェフ様が神殿の管理の仕方とか祀り方とかを気にすることは無いと思います。寧ろレシェフ様の神官戦士団とかを名乗って邪人討伐とかした方が喜ぶと思います。神殿の管理は今まで通り任せてしまって集落にレシェフ様の石像を祀る位で満足すると思いますよ」
「長よ、この少年はレシェフ様に稽古をつけてもらった言わば弟子の様な者です。彼が言うのならば間違いないでしょう。そしてレシェフ様と直接会った私も彼と同意見です」
腕を組みながら思案するチュータさん(仮)は俺達の意見を聞いても半信半疑の様だったが、勢いよく膝を手で叩くと今度の長老会で提案してみると言ってくれた。まずは戦士団をポンタさんに銘じて組織すると言った時にローラさんがニヤリと意地の悪い笑みを浮かべていた事は内緒にしておこう
「私達も次の神殿に赴いた時に、神々に真意を聞いてみて可能であれば神託を出して頂けないかお願いしてみましょう」
だいたいの想像は付いているが、まさか本当のことを話す訳にはいかない伶の取り繕った一言に長は感謝の言葉を述べ会見は終了した。この後夕食を用意してあるので是非食べて行ってくれと言われたので、このまま今日はこの集落でお世話になる事にした
ポンタさんの集落の様に宴会かと思っていたら流石にこの町の大きさなので全員参加は無理なので町の主要なメンバーとの食事会との事だったが、結局は宴会へと変わっていく。何はともあれ飲める理由があればそれでいいのだろう。さっぱりと気持ちのいい獣人さん達との宴会は楽しい物だった
「楽しんでいますかな。あ~そのまま、そのまま」
「はい、非常に楽しいです。私達のいた世界と獣人さん達の食事や雰囲気は似ているので気兼ねなくやらせてもらってます」
チュータさん(仮)が席から立ち上がろうとする俺を制し横に座る
そのまま、俺達の世界の事を聞いてきたり俺の持つ刀の事などの話で盛り上がっていた
「どうでしょう、使徒様が宜しければこのまま此処に拠点を移しませんかな?」
「個人的には嬉しいお誘いです。しかし長様には何か思惑があるのでは?」
「ほっほっほ、手厳しいですな。儂が気にしているのは戦士団の事です。気ままな獣人達が集団で戦闘出来るのかどうか…レシェフ様の弟子であるならばその辺も上手く教えて頂けないかなと」
ポンタさん達との模擬戦の感じなら上手に連携取れていたと思うんだけどな…
取敢えず仲間に聞いてみますと答えておいた。でも獣人の集落なら主食も米だしお風呂も有るしで俺にとっては有り難い。ギルドに依頼を探しに行くとは言っても馬車で一時間ほどなら大した負担でもない。いい話だと思いつつ後で伶に相談してみようと思う
結局、宴会が終わったのは夜中だったので、翌朝伶とローラさんに相談してみる
二人とも良い考えだという事でチュータさん(仮)の所に報告に行く事にした。二日酔いのローラさんはもう少し寝ているとの事なので伶と二人で町を歩く
俺達を見ると皆が挨拶をしてくる。俺達が元いた世界とは少し違うのだがどこか懐かしいそんな風景に癒される。
「獣人さん達の集落って匂いが似ているのよね」
伶の一言で思い出す。外国人や海外から帰って来た人は空港で醤油や味噌の匂いがするのが判るらしい
俺達も無意識にそれを感じていたのだろうか。ホームシックに罹った訳ではないがやはり落ち着くのは日本人だからなのだろう
チュータさん(仮)の屋敷で要件を伝えるとすぐに会う事が出来た
是非お世話になりたい旨を伝えると、空いてる一軒家をすぐに用意してくれた。庭付き二階建ての家は想像していたよりも広い。勿論お風呂も付いている
「考えていた所より立派な所だったな。庭も広いから鍛錬も出来るしお風呂も広い」
「智大そればっかりね。でも台所も立派だしここならありがたいわね」
身の回りのお世話をする者も付けようと言ったチュータさん(仮)の勧めを伶は断っている
料理や掃除などの家事全般をお袋に仕込まれている伶にとっては誰かにしてもらうよりは自分でやった方が気が楽だという。長期間、家を空ける時だけ管理を頼む事だけお願いしておいた
「にゃはは、ここが二人の愛の巣になるじゃな」
「「!!」」
いつの間にか後ろに来ていたローラさんのからかう言葉に伶は真っ赤になっていた
って、ローラさんだってここに住むでしょうが。伶も飛躍しすぎだよ…
いつも読んでいただいてありがとうございます




