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アルバイト

 深い木々の中を木の陰に隠れながら見つからない様に警戒をしつつ進んでいく

 獣道ですらないその場所を進むのはこの先にいるであろう集団に気付かれない為だ


「森の奥の小屋に見慣れない集団と見張りの様な奴がいた」


 森の奥で活動する狩人がギルドに入れた報告がきっかけだった

 ギルドでは、最近この街道沿いで頻繁に現れる盗賊たちと結び付け、その拠点ではないかとの推測を立ててはみたもののその正体や規模も判らないのでは対策も立てようがないとの事で、そこの調査を行うの依頼を募集していた


(さっきの獣道にいた見張りから言ってもあと少しだな…)

(侵入者感知の魔道具に気を付けるのじゃぞ)


 小声で話す俺とローラさんは周囲の気配を探りながら進む

 今回、伶は街にお留守番してもらっている

 長く生きた獣人であり獣の特性も身体に宿すローラさんとスキルで自分の気配を操れる俺にとってはうってつけの依頼だったが、気配を消すことができない伶には難しいと言える

 実際、宿場町のギルドで募集を掛けてみても手を上げる冒険者は少なかった

 近くに迷宮などないこの宿場町に滞在する冒険者達は護衛の任務をこなす者たちが多く、調査や探索などは得意としていない

 調査の担い手が少ないので報酬は高めだったのが俺達が引き受けた理由だった



 宿場町は街道に沿って左右に建物が立ち並び、そのまま街道がメインストリートになっている

 その建物の裏手に様々なお店や住居が有り、町の中心に役所やギルド等の公共の建物がある


「身分証の提示をお願いしてます。身分証が無い方は補償金を支払って入った後に役所で仮証明を貰ってください」


 入り口の警備をしているおじさんが慣れた様子で口にする

 俺と伶は教会発行の、ローラさんはギルド発行の身分証を提示した


「宿泊等で一定の金額を払った方は通行料が掛かりませんのでお店発行の証明書を出口で提示してください。通過するだけだと通行料が掛かりますのでご注意ください」


 警備のおじさんは簡単な地図と共に笑顔で身分証を返してくれた

 一言御礼を言って受け取り馬車を中へと進めて行く


「さて、どうしようかな」

「ギルドへ行けばおすすめの宿を教えてもらう事も可能だ。いい機会だから少年もカードを作ったらどうじゃ」


 ローラさんの勧めもあって、まずギルドでカードを作り町の情報集めをする事にした


「ようこそ、冒険者ギルドへ。本日の御用はなんでしょう」


 定番だと受付にお姉さん。荒くれ者の冒険者たちが併設の酒場にいて主人公に絡んでくるがこの世界はちょっと事情が違う

 受付にはイケメンのお兄さんが立ち、冒険者の皆さんは女性がほとんどだ

 魔力に劣る男性では冒険者にはなり得ないのでポーターや料理番などの男性が少数いるだけだし、武器や鎧を着けてる人なんていない。厚手の皮の服を着て手には魔道具の女性ばかりだ


 必然、ギルドの内部は清潔で酒場ではなくカフェの様な物が併設されている

 内装も明るくパステルカラーな内装は冒険者ギルドといった雰囲気ではなかった


「この二人のギルドへの入会と何か適当な依頼を探しに来た」

「かしこまりました。ではこちらに必要事項を記入していただきけますか。もし、身分証をお持ちの場合は記入の必要はございません」


 教会発行の俺と伶の身分証を提示すると、受付のイケメンさんは一瞬驚いた顔をするが、すぐに顔を引き締め奥に下がっていく

 数分の後、イケメンさんが持ってきたカードは教会発行の物と同じ色のカードだった


「ギルドへの新規加入でこの色のカードの発行は非常に稀有な事です。もしよろしければギルドが依頼者の探索を受けて頂くと助かるのですが」

「内容によるの。まずは内容の説明と何処かいい宿が有れば教えてもらえるかの」


 そんなやり取りの後に受けた依頼が、俺とローラさんが今行っている謎の集団の調査だった

 報酬はギルド提携の宿屋お店での値引きと金貨で五枚

 金貨一枚の価値が良く判らなかったが、一か月の宿代が金貨で三枚程度な事を考えると破格の報酬だと思う

 金貨一枚で十万円位で考えていいわと伶が教えてくれた


 森の奥とはいえ駄女神さまから貰った地図にはしっかり載っていたし戦闘ではなく調査だけなら難しくは無いだろうとの判断だ


「っていうか地図に盗賊の拠点って出てるんだけど…」

「本当に便利な地図じゃの」



 ということで、宿の手配と買い物を伶に任せて歩いて半日程の森へと出張ってきたのであった

 少し開けた場所にある小屋の周りにはテントが何個か立っている

 小屋は狩人たちが休憩や寝泊りするための物で大きさ押してはそれほど大きくは無い


(テントの数からいって十人から十五人程度かな)

(ゴーレムが四体、幾つか魔法使いの気配もあるの)


 侵入者感知の魔道具の気配はなく見張りが何人か立って居るところを見ると装備はそんなによくは無さそうだ

 ただ、魔法使いがいるのであれば戦力的にはかなりあると思った方がいいとローラさんが教えてくれる

 攻撃用の魔道具は誰でも使える反面、軍事用のもの以外はそれほど威力は無い

 しかし、魔法使いは自前の魔法で攻撃するので威力に関して制限が無いのだ


(だいたいの規模も判ったし、地図に盗賊と出ている以上盗賊で間違いないな)

(よし、町に戻って報告したら依頼達成じゃ)


 俺とローラさんは来た時と同じく獣道を避け、森の中を気配を消して戻っていく

 あとは報告をして終わりだと考えていた俺達はその後の厄介事に気づくはずもなく暗くなり始めた森を町に向かって帰って行くのであった


すいません、身内に不幸があって更新が遅れるかもしれません

一応、ストックを放出しつつ…とは思っているのですが肝心のストックがあまりないという

可能な限り頑張ります

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