街道は続くよどこまでも
いつもより短いです
話の区切りというかつなぎというか…
なんかうまくいかなかったです
次の行先は少し大きな街へ行くことになった
その目的地、商業都市『ルクテ』はこの国の王都が有る中央と南と北の都市をつなぐ中継点、そして辺境へ向かう最終地点として街道の交わる街だ。
レシェフの神殿を出た俺たちはそこからまず街道を目指している
ルクテは街道に出てしまえば後は道なりに進み一週間程度で着ける距離に有った
「ポンタさんの所へよってレシェフの件をつたえなくてよかったのか?」
「直接行けばまたお小言を言われるからの。それに手紙を読んで慌てるポンタを想像すると笑えるだろう?」
田舎道を進む馬車の中でそんな会話を交わす。ローラさんはポンタさんが頭を抱える所を想像して悪戯っぽい笑みを浮かべている。そんな事をするからお小言を言われるんだろうに…
「はぁ、早く風呂に入りたいよ」
「普通は水浴びか生活魔法で済ますのだからシャワーが付いてるだけでも快適だがの」
街道の途中には宿場町もあり、野営だけではなくきちんとした宿にも泊まれる。
魔力の修行で長風呂の習慣が付いてしまった俺としては宿にお風呂が付いているかどうかは切実な問題なのだ
しかし、風呂は別にしても泊まれる宿があるならば泊まった方が良いとローラさんは言う
「保存食だけでは身体が持たんからの」
食事の問題に深夜の警戒。疲れてないように思えても疲労は少しづつ身体に溜まっていく
そうすると、思わぬ病気にかかったり盗賊や魔獣に遭遇した時に力を発揮できなかったりと問題があるみたいだ
街道までもう少しの所ではあったが良い場所が見つかったので、今日はここで野営する事にした
実際、旅慣れたローラさんがいてくれて助かる
いくら地図が有って距離や場所が判っても俺と伶だけでは安全な旅にはなっていなかったろう
どんなにスキルが有っても生き抜く知恵は別なのだから
「明日は最初の宿場町に着ける筈だから、保存食も全部食べてしまいましょう」
食事を運びながら伶がそう言っていつもより多いメニューを机に並べていく
辺境からルクテに向かう俺たちには最初の、辺境に向かう人たちにとっては最後になる宿場町は、言葉のイメージよりも大きな町らしいので少し滞在して装備の買い替え等をするつもりだ
しかし、一番の問題が金策なのも事実だ
ゲームだと敵を倒すとお金をドロップしてくれるがいくらファンタジーだといってもそこまでは甘くなかった
キングのいた洞窟でいくらかのお金を得ていたが、長い旅をするなら定期的な稼ぎを見つける必要があるのだ
「一番簡単なのは、魔獣や邪人たちからとれる核を売り払う事だが安いからの。ギルドで依頼を果たす方が効率的かもしれん」
「でも時間が掛かるのではないですか?」
「急ぐ旅でもなかろう。あと討伐依頼などはどこのギルドでも換金できるから一か所に留まることはないから旅をしながらでも大丈夫じゃ」
街道沿いや村々の近くに出る討伐依頼はすべて倒さなくても数が減ってくれるだけで有り難いものらしく、旅の冒険者たちが達成し易いよう考えてあるようだ。
そうしないと、通過地点の村々などは討伐してくれる冒険者たちがいなくて困ってしまう
実り豊かななこの世界では、危険の多い冒険者たちの数は少なく平和になった国々は軍隊などの兵も少ない
邪人や魔獣に対する対策は色々考えられているようだ
翌朝、伶やローラさんよりも早く目覚めレシェフの神殿を出てからの日課の鍛錬を始める
ストレッチで体をほぐした後、道場で叩き込まれた方を倣う
初めはゆっくりと一つ一つの動作を確認しながら、徐々にその速度を速め身体に馴染ませる
刀を納め、イメージを固める
キングとの戦いで見せた抜刀術をイメージしながら繰り返し行う
「鍛錬を怠るな。イメージがスキルに影響するのだ」
レシェフの言葉を信じ、ひたすらにイメージして実際に技を繰り出す
もっと強く、もっと早くと念じながら様々な技を試していく
「智大、食事が出来たわよ」
伶が起きていたのも気づかず集中していた俺は、その声で鍛錬をやめ刀を鞘に納める
気づかぬうちに汗まみれになった身体を拭いて食事へと向かう
いざという時に少しでも役に立てるよう普段から力を磨いていく
少しでも旅が安全に行くように。伶やローラさんを守れるように…
いつも読んでいただいてありがとうございます




