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ギフト

 俺とレシェフが模擬選に夢中になっている間に女性陣はギフトの内容を決めたみたいだ

 一通り手ほどきを終え、汗だくになった俺に伶がタオルを渡してくれる


「何か掴めた?」

「ああ、思っていたよりも手応えが有ったよ」


 道場でしごかれた後もこうして伶がタオルを渡してくれていた。なにか懐かしいような気分に浸りながら渡されたタオルで汗を拭く

 満足そうな表情の俺を見る伶の表情もいつもより明るい


 ふとローラさんを見ると、いつもの様に頭の上で手を組みながら悪戯っぽい笑みを浮かべながら尻尾をユラユラさせている


「邪魔者は消えた方が良いかの?」

「むむ、そういう関係であったか。どうも儂はそういう方は疎くての」


 年長組のからかいに伶は顔を赤くして俺の後ろに隠れる

 結構レアな伶の反応に俺まで恥ずかしくなりつつ誤魔化すように話を変える


「そ、それより二人ともギフトは決めたのか?」

「うむ、伶と相談してこのあたりがいいと思っての」


 ローラさんは『オリハルコンの腕輪』、伶は『鍛治』のスキル、そして俺には『魔力の腕輪』と決めたらしい

 って俺の分まで決められていた…

『オリハルコンの腕輪』は魔法の発動媒体になるらしく杖を持ちたくないローラさんにはぴったりだ

 魔法の威力と精度を上げる効果もあり、戦力の増強にはちょうどいい

 しかしオリハルコンって…こんな序盤にいいのか?ゲームでも最後の方に出てくるアイテムだろうに


 伶は『鍛治』のスキルを選択した。『練成』スキルじゃあ刀を創れなかったってのを気にしてたから判るんだけどいいのかな?

 もっと身を守る事の出来るスキルにして欲しいんだが…


 俺の『魔力の腕輪』は装着者の魔力を倍増するアイテムだ。

 俺の魔力を強くするんならスキルを取った方が上がる気がするのだがアイテムの方がいい理由があるのか?


「一度スキルを取って個人の方向性が決まってしまうと違う方向性のスキルを取っても効果が薄いのよ。智大は戦闘特化だし、私は生産職って事になるわね」


 そういわれれば前に駄女神さまが苦手分野は成長しにくいって言ってたな

 戦闘職の俺はスキルを取っても効果が薄いからアイテムで倍にするって事ね。倍にしても少ないのは変わらないけど…

 伶は生産職になるのか?万能に行ける気もするんだが費用対効果で考えるとその方が伸びがいいわけね

 って事はオリハルコンにも何か訳があるのね


「にゃはは、私の魔力は強すぎての。中途半端なアイテムでは壊れてしまうし貰えるものならば遠慮なく一番いい物を貰った方がいいに決まっておるからの」

「そうだな、どうも現実感が無いけど身を守るなら当然の選択だな」


 俺にとってはギフトよりもレシェフとの模擬戦の方が為になった。

 いつもキング戦の様に一対一で戦える状況になるかは判らないし少しでも足手まといにならない様にならなくては


「さて、ギフトも授けたし儂の試練はこれで終了じゃ」


 太い腕を組んで胸を反らしながらレシェフが言う

 こうしてる所をみると、戦神としての威厳が出てくる。特に模擬戦で鍛えられた俺としてはその強さに尊敬の念を覚える


「レシェフよ、少々お話を宜しいでしょうか?」


 片手で眼鏡をクイッと持ち上げながら伶が発言した


「今回、試練を果たした事でギフトを頂いたわけですが、試練の内容について色々問題が有ったと思うのです」

「ま、まぁの儂としてもちとやり過ぎたとは思う」

「次の神殿に行った時に他の神々から試練の内容を聞かれることが有ると思いますが正直に答えてもよろしいでしょうか?」

「ん!?、ま、待て。それはいかん」

「そういわれましても、使徒として嘘をつくわけにも参りませんが…」

「いやいや、そこは嘘ではなくて、その~なんだうまく言っておいてもらえるとだな」

「「私たちにうまく誤魔化せと?」

「誤魔化すとは人聞きの悪い事ではなく…」

「そういえばレシェフ様。私達ギフトを選ぶときにどちらにしようか大変悩んだものが御座いまして…」

「そ、そういえば儂が考えた試練を見事に果たした者たちにギフト一つでは足りぬ気がしておったのだ」


 またこのパターンね…

 伶の活躍により貰えるギフトが増えた。

 ローラさんはスキル『無詠唱』、俺はスキル『縮地』、伶はアイテム『天雷弓』を貰った

『天雷弓』はレシェフが使う弓と似ているアイテムで、矢の代わりに魔力を飛ばすものらしい

 その名の通り天に向かって打つと雷が天から落ちてくるというとんでもない物だ


 うん、この世界の神さまチョロ過ぎる。それとも伶が有能すぎるのか…


「レシェフよ、もう一つ大事なことが有るのだ」


 今度はローラさんがレシェフに話しかける


「な、なんだ。もう渡せる物は無いぞ」

「違う、獣人族への加護の事だ」


 ローラさんがレシェフに提案した内容は神託が出せないならば、獣人族を代表をこの神殿へ向かわせるので直接話をすれば良いだろうという事だった


「うむ、それならば話が早い。その者に話を通せばよいのだな」

「近くに住むもので長老たちにも顔が利く丁度いいのがいるからの、勇者でも使徒でも任命してやってくれ」


 近くに住むって絶対あの人だよね…。また振り回されるのか可哀想に…


 愚痴を言いつつもいつもローラさんのフォローをしていたポンタさんを思い浮かべて、まぁ何の勘の言っても丁度いい人材だなと思いそのままにしておく


 用事も済んだので、神殿を後にすることにした


「少年、修練を怠るなよ。積み重ねた修練はイメージとなってスキルに反映される。自分の技に自信を持てればいずれ力になるであろう」

「あら、智大だけに言葉を贈るのかしら?」

「い、いやその…。取敢えずあの件は内密にな」


 最後まで伶には頭が上がらないようなレシェフだった

 師匠と呼んでもいいかなと思っていたが、伶にペコペコしてる様子を見るとやっぱりおっさんで良いな


 光る空間をもと来た方向へ歩いていくと、神殿の入り口に着いた

 馬車に乗り込み次の行く先を話し合うのであった


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