”人の話はききましょう”
今日は二話投稿してます
この話の前に『戦神レシェフ』を投稿してますので、合わせて読んでください
…
……
………
ステージ上の男がセリフを言ったまま、ドヤ顔でこちらを見ている
その姿は親爺が青春を捧げたと言っている某有名人のコンサートのようだった
いや、某有名人のものまねをする芸人、のがほうが正しいか
「おい、おっさん!!。それ下手すると熱狂的な方々に殺されるぞ」
「お、おっさん!?」
某有名人は知っているがDVDとかは見た事の無い伶は固まっているし、ローラさんは初めて会う神さまに呆れている
昔、親爺が見せてくれたDVDを知ってる俺が辛うじて突っ込みを入れる事ができた
「い、いや最高にカッコいい異世界の登場の仕方だと聞いてるぞ」
「誰に聞いたんだそれ…」
「いや、そのちょっとまて」
そういうと、何かを取り出しステージの隅で背を向け蹲りながら話し始める
「もしもし、ああ俺だ……この間の……」
「えっそうなのか!?……いや……その…」
って携帯かよ。神さま随分染まってないか!?
「ゥオッホン」
通話を終えた神さま。バツが悪そうにしながら咳払いをして指を鳴らすと、部屋に入ってきたときの様に眩しい光が空間を満たし一瞬何も見えなくなる
光が収まると、鎧を着け片手に戦斧を持った男が立っていた
「良くぞ参った使徒たちよ。我が戦神レシェフである」
「いや、おっさん!!。なにシレッとしてやり直してんだよ!!」
「だ、駄目か…」
「駄目かじゃねぇよ!。なに下らないことしてんだよ!」
「いや、アスタルテに聞いて…」
俺の突っ込みにおっさんがゴニョゴニョ口の中で呟いていると、上の方から光が降りてくる
その光が実体を伴ってくると表れたのは…
「だから、あれほど言ったでしょう~!」
そう、駄女神さまことアスタルテ様だ
駄女神さまは姿を現すと怒りの鉄拳を、おっさんに叩きつける
おっさんは頭を抱えて姿勢を低くして躱そうとするが、駄女神さまの拳骨はおっさんの頭に炸裂する
「おい、駄女神さまどういう事だ」
「だ、駄女神…あんまりです~」
「いいから説明しろ」
駄女神さま曰く、使徒を迎えるのにあたってレシェフから俺達の世界の事を教えてくれと頼まれたらしい
特に、カッコいい服装や流行の事などを…
その情報に某有名人の事が入っていたらしくそれを見たおっさんがいたく気に入ったみたいだ
「散々、神々の威厳を損なうようなことはするなと言ったのですが…」
「聞いていなかったと…」
「申し訳ないです~」
何なんだこの世界の神様は…
「まぁいい。取敢えず忘れてやるから初めからキチンとやってくれ」
「うぅ~、申し訳ないです~。この穴埋めは後日にしてください~」
光に包まれ駄女神さまが退場すると、よほど痛かったのか頭を押さえていたおっさんが立ち上がって言う
「改めて、儂が戦神レシェフだ。歓迎するぞ使徒たちよ」
「んで、おっさん。俺達をここに呼んだ理由はなんだ」
「お、おっさん!?」
「にゃはは、邪竜を倒した戦神もこうなってはの?」
おっさん呼びが気に食わなかったのか、鳩が豆鉄砲喰らったような顔してる
まぁ忘れるとは言ったが、威厳なんて欠片も無いからなおっさんで十分だろう
「話が進まないのでここからは私が承りますわ」
「う、うむ。この世界に危機が迫っておるのは聞いてるだろう。それを救って貰いたいのだ」
「それは駄…アスタルテ様より聞いておりますが、具体的に危機とは何を指すのでしょう」
「うん?アスタルテから聞いてないのか?儂も知らんぞ」
「「「……」」」
三人とも固まる。まさかの知らない宣言とは…
「え~とレシェフ様?知らないというのは…」
「何やら、他の連中は言っておったがの。会議なんぞ眠たいだけで良く判らんからの。途中からは使徒たちに与える試練とかいうを考えるのが面白くてな…。考えっておったら会議が終わっておったわ」
「はっはは」と笑うおっさん…
要は会議中に居眠りこいて途中からは考え事してたって事だろ。一応神様だろ、人の話聞けよ全く…
…俺が言えた事じゃないが
「レシェフ様は八柱の神だとお聞きしてますが?」
「うむ、この世界の守護をになっておるの」
「自分達では干渉できないので私達を呼んだと伺ってますが?」
「う、うむ。そうだと聞いおる」
「招いた側の神々が使徒に内容を説明できないと?」
「いや、まさか一番初めに儂の所に来るとは…」
「世界の危機が迫って困るのはそちらだと思うのですが?」
「いや、その…。試練、そう試練じゃ。つまり儂の役目は危機を救う為に試練を与え力を授ける為に…」
「私達の力が足りなくて困るのは貴方達なのに私達が試練を受けなければならないと?」
出た、伶の質問突っ込み。駄女神さまもこれでグダグダになってスキル増やしてくれたんだよな
さぁ、おっさんどう対処するつもりかな?
「にゃははは、伶よ、そう苛めるな。レシェフよ、ただ力を与えると世界に干渉する事になるので試練の褒美にギフトを授けるという事でよいのか?」
「そ、そうだ。流石は獣人族だ、我が加護を与えてるだけあって鋭いの」
「ん?我ら獣人族がレシェフの加護を貰っているなど聞いたことが無いぞ」
「そんな筈は無いぞ。確かに主神に届け出を出しておる」
あれ、折角ローラさんが助け舟を出したのに変な方へ向かってるぞ
っていうか、加護って届け出制なの!?
「おっさん、また話聞いてなくて必要な事忘れてるんじゃねえのか?」
「いや、そんなことは無いぞ。儂が獣人族を加護する旨を主神に伝えて、獣人族が儂を祀ればそれで加護を得る事ができる」
「その話、獣人族に伝えたのか?」
「………忘れてた」
駄目だこいつ…本当にこの世界の神さまってどうなってるのよ?
いつも読んでいただいて有難う御座います