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食後の運動

 危うく肉抜きのスープになりかけた俺だったが鍋の中にはちゃんと具が残っており、自分でよそって無事食事にありつけた

 しかし、伶の勘の鋭さには脱帽だ。少しでも他の女の子に目が行くとすぐに気づく…

 伶のスタイルだって悪いわけではない。

 長身でスラッとしたスレンダー体型で手足は長く、細いウエストのおかげで全体として綺麗なラインを描いている。

 華奢な体に艶のある黒髪をうなじの所で一つに纏めた後姿はなかなか色っぽい


 対して、ローラさんは実年齢はともかく、姿はちょっと年上のお姉さんという印象だ

 非常にグラマラスなその体型は、南の島で撮ったグラビアアイドルの様な健康的な、だが女性としての豊かさにあふれている

 単衣の羽織を袴の中に仕舞い、細めの紐の様な帯で締めているので豊かな身体の線が余計、強調されている


 モデルとグラビアアイドルを比べるのは趣味嗜好の問題でどちらがいいというのは愚かだと思うのだが、やはり視線を誘う引力はローラさんの様にボンキュボンの方が強い

 これは男の本能なのだと、そんなくだらない事を考えていると何か違和感の様な気配を感じる

 今まで感じた事の無い気配だ…


「智大、また変な事を考えているでしょ…」

「シッ」


 何か言いかけた伶に口の前に指を立て静かにするようジェスチャーで示す

 ローラさんも耳をピクピクさせて辺りを窺っていると


「ゥマッ」


 ゴーレムが独特の発音で警戒を促す。頭から出た赤色灯がクルクルピカピカして目がサーチライトの様に光を発している

 (余計目立たないかこれ…)

 照らされた先を見ると川向うから、人型の何かが数体こちらに向かってきていた

 小柄な姿で皮膚はうっすら緑色をしている。違和感の正体は今まで出会った事の無い人型の魔獣が放つ気配のせいだろう


「ゴブリンじゃの。匂いに惹かれて寄ってきたか…」

「俺が前に出る。ローラさんは伶と馬車を守ってくれ」


 俺はそう叫ぶと腰から下げた刀を抜いて、丁度川から上がったゴブリン達へ向かって距離を詰める

 ゴブリンは全部で八体。ボロボロの衣服の上から何かの毛皮を片方の肩から纏い、手には棍棒や石斧を持ってウギャウガ言いながら拙いなりの連携を取りながら前に出てきた俺に向かってくる


 身体操作で各種パラを上げて刀にオーラを通す。この世界に来て初めての戦闘に緊張とアドレナリンの分泌が高まっていくのが判る

 肩の高さまで柄を持ち上げ走る速度も斬撃に乗せる


「ウオォォー」


 思わず出た咆哮と共に込められたオーラで刀身がうっすら白く輝く。そのまま切りかかろうとして…


「ズズゥン」


 大きな地響きと共に目の前に三体のゴーレムが何もなかった空中から姿を現し地に降り立つ

 ゴーレムたちの目がキラーンと光ると石で出来たその拳をゴブリン達に振り下ろし手前にいたゴブリン達を纏めて吹き飛ばす。そして突然出てきたゴーレムたちに足を止めたゴブリン達には拳大の火の玉が複数表れその身に炸裂していく

 火の玉が炸裂した音が静まるとそこにいたはずの八体いたゴブリン達は動かなくなっていた


 残ったのは白い光で輝く刀を振り上げたまま固まる俺と、そんな俺を見つめて無表情なはずなのにどこか申し訳なさそうな表情をしているゴーレム達だった


「智大、いきなり飛び出したら危ないでしょ」

「そうだぞ少年。こういうのは私たちに任せて後ろに控えていなければ駄目なのだ」


 え~と、こういう時の為に修行したんだし、伶を守るのは…

 ポカーンとしている俺をほっといて、ゴーレムが自分たちを生み出した伶の指示に従って魔物の心臓部分に当たる核を取り除いた後ローラさんが魔法で掘った穴に埋めていく

 核を残したまま放置するとアンデットに成ったりして危ないのだ。また魔物の核は魔道具を作るのに使用したりするので後で換金する為でもある

 後始末を終えたゴーレム達は小さな光の粒になりその中心となる核だけが伶の手元に戻ってくる


 通常ゴーレムは素材を決めてから形を作り、その中心に核を移植する。

 なので、ゴーレムを使役するには初めから連れて歩くか召喚魔法で呼び出すしかない為、初めから警戒をしている場合を除いて緊急時に使用するには不都合が多すぎる

 しかし例の場合、核を中心として素材をその場で魔力を通しながら創り上げてしまうので、いきなりゴーレムを使役する事が可能になっている




 後始末を全て終えた伶とローラさんがハイタッチをしながら焚火の所へ戻って来る


「何なのだ、この辺だけやけに暗いのだ」

「どうやら智大から黒い物が漏れてるような?」

「やり過ぎてしまったかの」

「安全かつ最速で問題を排除したのですが?」

「いや、少年のプライドというかの…」

「プライドなど安全には代えられないと…」

「「………」」


 なにやら伶とローラさんがひそひそ話している

 俺は膝を立て体育座りの姿勢で頭を膝の上にのせて落ち込んでいた。しかもひそひそ話していても結構聞こえるのだから堪らない


「し、少年。さっき現れたゴブリンの数から言って近くに巣があるはずじゃ」

「そ、そうよ智大。明日その巣を調査しましょう。規模が大きいようなら周りに被害が出る前に退治しないと、その時には智大も活躍できるわよ」


 うん、気遣いありがと…

 ただ余計落ち込むから暫くはそっとしておいて欲しいな…


女性キャラの想像つきましたでしょうか?

タイプの違うヒロインにしたいのですがうまく表現できているかどうか…

ブクマが10件超えました。嬉しいです

初評価もいただきましたありがたいです。創作意欲が高まります

どんな事でもいいのでご意見ご感想お待ちしております。



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