表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/175

お仕置きタイムの始まり

「僕は神々を許さない!」


 ヘラヘラした笑みが消え失せて怨嗟を宿した顔で宣言する教祖。


 これってあれか。母親に拒絶された逆恨み?こいつ実はマザコンなのか??


「勘違いしないでくれよ?母様の事は良いんだ。主神マルドゥックの転生も僕の転生も管理された上で行われた筈なんだ。奴らは僕の魂を生贄にして主神の力を増強するつもりだったに違いない」


 いやいや母上が母様になってる時点でマザコン認定されるだろ・・・それに神さま達ってそんなに狡賢いか?寧ろなんかの手違いで偶々って気がするのは贔屓目で見てるからか?


「そのせいで僕は・・・異常な力を手に入れた僕の人生計画は全てが駄目になった」


 全身血塗れの中、傷一つない美しい顔を歪めて滔々(とうとう)と自分語りを始める教祖


「父上と兄上が亡くなって僕が跡を継ぐ筈だった・・・でもね出来なかったんだ。なんでだと思う?」

「さあな?その身体が気味悪がられたとか?」

「いいや。自分で言うのも何だが僕はイケメンで頭も良い。人気も高かったし後継者としては問題なかったよ。でもね父の弟のアイツが出しゃばって来たんだ。まだ幼すぎるってね、そしてそのまま父上の跡を継ぎやがったんだ」


 ・・・それって主神云々(うんぬん)関係あるのか?


「しかも上手い事やりやがった叔父上は領地も安定させて父上よりも上手に領地を治めたんだ」

「それで?お家乗っ取りでもしたのか?」

「いいや。叔父上の跡継ぎは僕って事になっている。あくまでも代理って形を宣言しているよ」


 コイツ結局何が許せないんだ??叔父さんが代理として領地経営して発展させた状態で自分に回してくれるんだろ?問題ないどころか良い叔父さんじゃないか・・・


「僕がやろうと思っていた事を叔父上に全部取られたんだ!しかも母上と結婚までしやがった。領地も上手く納めて領民も大満足さ。でも本来はそれを僕がやる筈だったんだ!」

「・・・ちょっと良いか?。それって叔父さんの後にやっちゃ駄目なのか??」

「何を言ってるんだい?最初にやらないと母上に褒めて貰えないじゃないか!!」


 え!?それが理由??ひょっとして俺達ってマザコンを拗らせた馬鹿のせいで召喚されたのか?


「えっと。それ神さま達関係あるか?」

「だって妹まで生まれたんだぞ!母様とあの男があんな事やそんな事して可愛い妹が生まれたんだぞ!もう可愛くて可愛くて目に入れても痛くないって位可愛い妹なんだぞ!!」

「そ、そりゃ良かったな・・・」


 話が通じ無さ過ぎてそれしか言えない俺に畳み掛ける様に教祖が続ける。マザコンの上にシスコンまで発症しているのか・・・


「そうさ!でもそんな妹に自慢できるはずの事を全部あの男にやられたんだぞ!」

「でもその男がいなかったら妹は生まれてないぞ?まさか自分が母親と、とか考えてないよな?」

「・・・」


 って、無言かよ!母親とそう言う事しちゃったら妹じゃなくて娘になっちゃうだろが!


「言いたい事は判った。それで結局何をしたいんだ?」


 なんか色々飲み込めない部分が多々あるがこのまま話していても進展が無さそうだ。時間稼ぎには丁度いいんだが、これ以上精神値がゴリゴリ削られていくのは勘弁願いたいので先を促す


「な、何って・・・神々に復讐だよ!こうなった原因はあいつらが悪いんだ!!」


 うわっ!完全に八つ当たりを隠さなくなった。これならさっきまでのヘラヘラバージョンの教祖の方がまだ話が通じたよ。これもう神さまと直接話してもらった方が良くね?こんな奴と命のやり取りしてたと思うと情けなくなってくるぞ。氷の壁の向こうの皆も作業の手を止めて呆れてるよ・・・


 要は神さまに復讐したいから邪神に力を与える様な事したの?それもう嫌がらせのレベルじゃないか・・・転移した異世界の人間の保護とかの話は何処に行った!!


「さぁこれで僕の目的は判ったろ!僕を止めたければ力を示せ!!」


 この世界に来て何回か言われたけど、今まで一番嫌な理由だな。正統派の悪役に言われるなら良かったがマザコン&シスコン教祖を止める為に力を示せって・・・


 理由はアレだがこいつを倒さなければ話が進まない・・・ハァ、目的とか理由とか聞かなきゃ良かった。戦う意欲が完全に消失したよ。このままアスタルテ様に会わせて丸投げしたら駄目なのかな?駄目なんだろうなぁ・・・


「フッ!同情は要らないよ?残念ながら君とは立ち位置が違うのさ。神の使徒になった事を後悔するがいい!」


 すっかりやる気をなくした俺の様子に、何を勘違いしているのか都合の良い様に解釈した教祖が全身から流れていた血液を右手に集まめて真っ赤な大剣を作り出す。悪魔とかが良くやるパターンだ・・・テンプレな展開だが主神を受け入れる為の身体に流れていた血液、その威力も相当な物になるのだろう


「いくぞ!」


 身の丈ほどもある大剣を上段に軽々構えて突っ込んで来る教祖。そのスピードに気持ちを切り替え武器を構える。


 振り下ろされる大剣を受け流すように斜めに受ける。ギャリンッと嫌な音を立てながら滑っていく大剣。流れた体勢の教祖にもう一方の剣を突き立てるがそのまま転がる様に前に出た教祖に躱される。


 クルリとこちらに向き直った教祖が繰り出す斬撃。一撃一撃が重い上に速い。双剣で受けなければ押し込まれる威力に手数で攻める事が出来ず押し込まれる一方だ。スラちゃんも援護しようと動くが巧みに体を入れ替える教祖。俺とスラちゃんの射線が重なる様に意識しているようだ


「チィ!」


 剣に纏う暴風を一際強く放ち教祖を押し返す。そのまま突っ込む!双剣での連撃を繰り出し奴に攻撃の隙を与えない。守勢に回ると此方が不利になるのが判った以上攻め続ける事で勝機を見出すしかない


 円を描くような体捌き。そして遠心力を得る為に身体ごと回る様にして斬撃を打ち込む。右手の剣で小さく斬り付けながら体も時計回りに捻る様に左手の剣で威力の突いた攻撃、受け止めた教祖が衝撃で地面を滑る。大剣を斜めに構えて力を溜めている様にも見えるがお構い無しに突っ込み双剣で更に攻撃を加える


「おおお!」


 教祖が叫ぶと大剣が炎に包まれる。血液で出来た大剣と炎にどんな関係が有るのか知らないが赤熱した大剣で弾く様に押し返された


「その動き厄介だね。でも僕だって負けてないよ!」


 そのまま遠心力を付ける様に俺と同じく身体ごと回転する様に剣戟を繰り出す教祖。間合いの広さと威力では向こうが上、速度と手数ならば小回りの利く俺の方が上だろう。暴風で身体を押すように速度を上げて間合いを詰める・・・が、それを嫌がる教祖は牽制で魔法を放つ。『神眼』で魔力の偏りを見抜き弱い所に目掛けて振るった剣で魔法を引き裂く。


 しかしその一瞬の間で距離を取られて再び大剣の間合いに戻されてしまう。なかなかに厄介な戦い方だ、先程までの戦いでこちらの動きを読まれているようで対策はバッチリって感じだ


「スラちゃん!」

「きゅ!」


 俺の打ち込みのタイミングで足元に寄ってくるスラちゃん。そのまま身体を伸ばす様にして教祖を狙った打撃を放つ。更に小さい魔法を放って目晦ましすらしてくれる


「それは流石に卑怯じゃないか?」

「何を言ってやがる。テイムは能力の一つだよ!」


 一応この設定は有効という事で押し切ろう。教祖が使う魔法でこっちの手数が足りなけりゃ増やせばいいだけだ。上下から繰り出される攻撃と目晦ましの魔法で一挙に守勢に回る教祖


 その教祖にとっては良くない音、俺にとっては待ち望んでいた音が部屋の中に響き始める。伶達がいた場所から氷の壁にピキピキと(ひび)が走っていく。グルリと囲まれた氷の壁全体に万遍なく広がる罅・・・やがてパリーンと乾いた音と共に壁がキラキラと光る粒子状になって砕け散る


「さぁ乳離れの出来ていない小僧にお仕置きの時間じゃ」

「な!確かに母様の胸は豊満だが、とっくに卒業しているぞ!」

「例えだ例え!」


 てか、母様の胸豊満なのか・・・って、ハルカさんの機嫌がみるみる悪くなる。俺が悪い訳じゃないぞ!


 仲間も揃った。此処からは正しくお仕置きタイムだ!


 今迄の借りを万倍にして返してやる

なんかやらかした様な・・・

異常性の表現のつもりが変な方向に行ってしまいました、がこれはこれで良いかなと思ってたりします


読んで頂いて有難うございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めました。こちらも宜しくお願いします
守護霊様は賢者様
↓↓ポチッとすると作者が喜びます↓↓
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ