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第四戦 イケメン対決

「うんうん。これぞバトルって感じだったね」

「これ毎回お前が感想述べるのか?」


 もうパターン化してきたが戦いが終わると教祖へと画面が入れ替わる。腕を組んでうんうん頷く様子が映し出されている


「そんなに嫌わないでよ。試合ごとのインターバルだよ」


 相変わらずヘラヘラしている。今回は使徒が倒されたというのに気にもしていない様だ。目的がサッパリ見えて来ない・・・って言うか、目的が有るのか?本当に楽しんでいるだけなのかと疑ってしまう


「さぁ最終戦だよ、これに勝てば僕に会えるからね」

「いいだろう、首を洗って待ってろ!」

「あはは。僕も楽しみだよ」


 笑顔の教祖から画面が入れ替わる。タンドさんが腰に差したレイピアの柄に手を掛け佇んでいる様子が映し出される。


「フフフ、待たせちゃったかな?」


 顔の前に被さる様な前髪をファサ、って感じでかき上げながら現れた幹部。しかもキラ~ンって感じで歯が光っている・・・


「いいや、待つのも男の仕事さ。ただ出来れば美女の方が良かったかな?」


 肩を竦めて答えるタンドさん。なんだろう、この微妙に引っ掛る感じは・・・


「それはお互い様かな?出来れば観衆が欲しい所だね」

「フッ。自らの醜態をさらす事になっても?」


 負けずと髪をかき上げるタンドさん。こちらも笑顔が眩しい・・・


「フフフ、男の嫉妬は醜いよ。素直に自分の負けを認めた方が良いね」


 負けず劣らずのイケメン対決。キャラ被りの二人の決戦は睨み合いから始まったのだが何故か爽やかな風が吹いているように見える


「「フッ!」」


 お互いに抜き打ちでレイピアを抜くと相手に攻撃を加える


「キィッキキキキィン!」


 神速の突きがお互いの軌道で打ち合わさり火花を散らす。鋭い先端を正確に見切って相手の攻撃を防いでいるのだが二人とも肩から先が見えない、打ち合わさった火花だけが二人の間に無数に散らばり、打ち合わさるスピードが速すぎてキンッと言う金属音が連続で響く


「やるようだね。でもこれならどうかな?」


 一旦距離を取った幹部が挑発すると、直線的な動きだった二人の姿がブレる。左右にステップしながら間合いを詰めるとレイピアの一撃を放って離れる。それを防いだタンドさんが幹部の動きに付いて行き突きを入れる。幹部躱す、タンド離れる、幹部攻撃、タンド躱す、タンド追撃、幹部躱す・・・


 目まぐるしく入れ替わる二人に目が付いて行かない。しかも似たような服装で攻撃のスタイルまで一緒だ。唯一服の色が薄い緑なのがタンドさん、薄い青なのが幹部と上着の色の違いだけが識別出来る点だ


「どうやらスピードも剣技も互角だね~」

「フッ。僕と此処までやり合えるとは・・・認めるよ、君は僕のライバルだ」


 ・・・セリフまで似通っているのでどちらのセリフかすら判断できない。因みに先に話したのがタンドさんでライバル宣言が幹部のセリフだ


「ならばこれで如何だい?エアカッター!」


 今度は幹部のセリフ、そして放たれる風の刃がタンドさんに向けて放たれる。風の魔法の特徴は見えずらい事が長所なのに宣言しちゃったら意味が無いのに無駄に魔法名を宣言する幹部


「ならば此方も。風の精霊よ力を貸したまえ」


 タンドさんも風の精霊(シルフ)を呼び出して同じような攻撃を返す。どうやら正々堂々と魔法の威力対決をするつもりらしい。二人の美学の中では不意打ちの魔法で相手を倒す事は有り得ないという事なのだろうか?


「まだまだ!」


 幹部が放ったエアカッターを迎撃したタンドさんはそのまま風の精霊(シルフ)に命じて複数の風の刃を放つ。精霊魔法は精霊を呼び出す時に多大な魔法を使うがその後は精霊が自身の魔力を使って攻撃してくれる。その上、魔法と違って精霊が自身の属性に働きかけて発動させる為、通常の魔法よりも発動が速い。


 幹部も無詠唱で魔法を放つが、ローラさんの様に無数の魔法を発動って訳では無い。


「チッ!ならば威力で!!」


 精霊魔法と違って魔法は込める魔力によって任意に威力を変えられる。精霊魔法はあくまでも呼び出した精霊の力なので高位力の魔法を放つ為には高位の精霊を呼び出すしかない。そこで幹部は数に対して一発の威力を高めて相殺する作戦に出た


「フッ、それは悪手だね~」


 通常、密閉された室内や洞窟には風の精霊(シルフ)はあまり居ない。なのでその力を借りて魔法を放つ場合は精霊の力は弱まる為、幹部の様に威力を高めて相殺していれば精霊の方が先に根を上げる


 しかしタンドさんは風の精霊と契約しているので、精霊界から直接呼び出している。なので精霊の力の源は精霊界に在る為ほぼ無限に供給されるのだから先に魔力が尽きるのは幹部の方だ


「ええ~い!それならばこれでどうだ!クリエイトゴーレム!!」


 余裕の表情で笑うタンドさんに自分の判断の悪さを実感したのかゴーレムを作り出す幹部。その声に応えるように二体のゴーレムが立ち上がる。


「ま゛っ」


 妙な声を出しながらタンドさんに向かって歩き出すが、普段ブルーベルやルビーゴーレム達を見ているだけにそのお粗末さが目に付く


「大地の精霊よ、ウォーノーム!」


 タンドさんが呼び出したのは土で出来た身体に鎧を纏い盾と槍を携えた姿で顕現した土の中級精霊ウォーノームだ。一体だけだが幹部が創りだしたゴーレムよりも一回り大きく動きも滑らかだ


「行け、ゴーレム!!」


 ぎこちない動きながらも拳を土の中級精霊ウォーノームに向かって繰り出すゴーレム。しかし盾で防がれた拳はあっさりと崩れ去る。そのまま槍の薙ぎ払いで二体とも引き裂かれ土へと帰って行く


「これで終わりかい?」

「フッ。しょうがない、私の本当の姿を見せてやろう」


 風の精霊(シルフ)を肩に乗せて土の中級精霊ウォーノームを従えたタンドさんが余裕の表情で問い質すと髪をかき上げながら幹部が答える・・・ってか、タンドさんさっさと攻撃して倒しちゃえばいいのに


 幹部はそのまま背後の空間に魔力を込めると、空間が割れ黒い箱のような物が出てくる。そしてその箱が自動で開いていくと中から出てきたのは・・・


「人形?」

「ふふふ。私にこれを出させるとは大したものだ・・・マリオネットマスターの力見せてやる」


 そう言うと、背中の部分にに有る操り糸に指を通す幹部。その動きに合わせて人形がタンドさんに・・・


「チュドォ~ン!」


 見るとタンドさんの肩、風の精霊(シルフ)の反対側に火の精霊(ブルガン)が座っており彼が放った炎の塊が人形に炸裂して、タンドさんに向かおうとしていた人形は一瞬で焼け落ちてしまう人形・・・


「あああぁ。わ、私の、私のマリたんがぁ~」


 焼け落ちた人形を抱きしめようと必死に灰を集める幹部に冷たい言葉が投げ掛けられる


「ひょっとして、器用貧乏って言われたことない?」

「ギクッ!」

「あとね、普段一番初めに戦わされるでしょう?」

「ギクギクッ!」

「それで他のメンバーに、ふはははアイツは四天王で最弱の・・・とか言われてない?」

「い、言うな~。やっと、やっと今回は最後に戦えたんだ。どうせみんなだって負けるのに初めに戦ったからって最弱呼ばわりはもう嫌なんだぁあああ!!!」


 あ~そうだよね。よくあるセリフだけど言ってる三人も呆気なく倒されるのにアイツは最弱とか言われるのは可哀想かもしれない。って言うか、幹部のくせに弱すぎないか?まんま見た目だけじゃん


「ううう・・・俺だって、俺だって努力してるんだ、でもいつもいつも報われなくてやっと、やっと認めて貰えたのにぃ~うわぁあああん、おがぁぢゃ~ん」


 うわ、ガチ泣き入っちゃったよ・・・折角のイケメンフェイスも涙と鼻水で台無しだ


「いいや、まだまだ君は伸びるよ。だってまだ若いじゃないか」

「へ!?」


 歯をキラ~ンとさせながら本家イケメンエルフのタンドさんが幹部の手を取って慰める


「そうさ、僕も若い時は弱かった。でも努力して此処まで強く成れたんだよ」

「うう、お、俺にも出来るかな?」

「勿論さ!」

「し、師匠・・・」

「頑張って二百年位修行すれば君も人並みには強く成れるよ!」


 サムズアップを幹部君の目の前で決めるタンドさん。二百年って・・・エルフ以外無理だから!


 しかも頑張って人並みって!・・・判っていて言ってるよね、絶対!


 微かな希望を見せてから叩き落とすって鬼だと思うぞ・・・


 絶望に打ちひしがれる幹部君を余所に、画面には満面の笑みのタンドさんが映し出される。


 ああ一応これで決着なんだ・・・いいのか?邪教徒と神々の使徒の最終決戦じゃないのか?こんな決着で大丈夫なのか???


読んで頂いて有難うございます


って五月中に終わらなかった・・・予定では後五話位の筈です


多分・・・

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