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仲良く修行3

先週と同じく週末という事で二話投稿してます

このお話しの前に”仲良く修行2”があります

合わせてお読みください

 切り分けられた肉の山と大量の野菜。各種香辛料を混ぜたタレや岩塩から取った塩が並べられた机に男女に分かれた獣人達と俺達

 七輪の炭は十分な火力に達し後は乾杯の音頭を待つだけであった


「皆も知っている通り、先日我らの集落に客人が来た。その客人は我らに力を示しその資格を得た。そして今日をもって獣人族の守護者になる」

「長老たちもそれを認めたのだ。我らの守護者にして新たな仲間に乾杯」

「「「乾杯!」」」


 ポンタさんのよく通る声で乾杯が宣言された。

 地味に重大な宣言もしていたけれども…


 それは置いておいて、集落を挙げての大宴会のスタートだ。

 席が男女別になっているのは単純に食べる量の差を考慮してあるだけで特に意味はない

 酒や食材とかは足りなくなったら自分たちで取りに行くスタイル。当然無礼講だ


 無礼講といっても、俺や伶の所にはお酌をしに来た獣人達が輪になって囲んでいる。

 ラクト村の時の様にお酒は断りたかったのだが、そもそも飲み物は酒しかない。あるのはアルコールの強弱のみという獣人らしい?宴会だ

 無理に飲まそうとする者はいないのが幸いだが、元の世界では未成年の俺達にとっては開始10分で結構飲まされた

 男の俺は悪友や親戚の付き合いなどでそこそこ飲酒の機会が有ったのだが、正月のお神酒位しか経験の無い伶が心配だったのだが周りを獣人達に囲まれている俺にはそちらを窺う事も出来ずにいる


 先日の模擬選で戦った人狼や人豹達も俺の戦い方や技などを聞いてきたり、別の獣人達は伶との関係を聞いてきたりと会話の中心が俺になって騒いでいる

 宴会を盛り上げろとばかりに舞を踊る獣人さんや歌い始める皆さん。


「ポンタさん、俺たちの為に有難うございます」

「フム、我ら獣人は親子でも違う姿で生まれる。当然兄弟でも姿は違うが、血が繋がっておらずとも姿形は同じ者がいるわけだ。だから獣人は仲間を大切にするのだ。一度仲間になったならもう家族なのだよ」

「ポンタさん…」

「おぬしらは使徒として世界を渡ったという…この世界に血縁の有る者はおるまい、ならば儂ら獣人族がこの世界での家族じゃ。遠慮するでない」

「ましてやつがいの片割れが悩んでおるなら手助けもするさの」


 ちょっと気になる言葉もあったけどニヤリと笑うポンタさんに感謝の言葉を述べる

 何て気持ちのいい人達なんだろう…

 早く世界の危機とやらを救って元の世界に帰る事ばかり考えていた…駄目なら伶と二人で暮らせばいいと思っていた俺にポンタさんの言葉が染み渡る。

 この人達の為にも世界を救って見せると思った


「お~い使徒の少年」

「トモヒロです。トモヒロと呼んでください」

「んじゃトモヒロ。つがいの姉ちゃんが潰れたぞ~」


 いや、つがいじゃないですよと、一応否定しながら伶を迎えに行った

 酔ってしまった伶を背中に乗せ、部屋まで運び水を飲ませる。

 その水の冷たさに多少意識が戻ったのか、しかしまだフワフワした目で伶が話す


「あのね、ありがとうってみんな言うの。下拵えしてた時もこんな切れる包丁をありがとう。魔道具を改造して使いやすいようにしてくれてありがとうって…」

「うんうん」

「でもね、私は別に何もしてないの。そこにあった物を使いやすいようにしただけなの…」

「うん」

「さっさと解決して元の世界に戻る事しか考えてなかったの…」

「うん」

「でもね、みんなありがとうって言ってくれたの」

「ポンタさんがお前たちは家族だって言ってたよ。遠慮するなってさ」

「…私は一度家族を失ったわ。でもその後で智大や智大の家族達が私の家族になってくれた…。もう家族を失うのは嫌だった、早く皆の処へ戻らなきゃって…」

「でもこの世界でも家族になってくれるって言ってくれる人達がいる…の…ね」


 そう言って安心するかの様に安らかな顔で眠りに落ちた伶の頭を撫でてやり、俺もホッとしたような何だか幸せな気分で部屋を出るつもりで扉を開ける


 …

 ……

 ………


 そこには扉に耳を付けていた姿勢で固まるローラさん…


「にゃはは…いや伶の様子が心配での…決してこの後のムフフな展開を期待していた訳では…」


 無言で首根っこを掴んで部屋を離れた俺は、ここ数日で上達したスキルを使ってしっかり拳骨を落としておいた

 頭を押さえて蹲るローラさんを残して、もう一度ポンタさん達と合流して宴会の続きを楽しんだのであった



 翌日からの伶の行動は大きく変わった。

 今まで自分の知識だけで行動していたのを、人に聞くようになった。

 魔道具をどう使っているのか、自分が作った魔道具に不便が無いか、何か欲しい物は無いか積極的に聞いていた

 それと同じく自分が欲しい物や疑問に思ったことを聞いていく。鉱石なども一緒に採りに行ったりしていた

 万物の理を持つ伶にとって知識は自分の中にあった物で十分であると思っていたのが、改めて聞く事で知識が知恵に変わるという事に気が付いたのだと笑っている伶は元の世界にいた時よりも明るかった


 ローラさんともよく話していた。魔法の知識を聞き、どうすれば魔力の操作をし易くなるのかよく話している姿をよく見る様にいなっていた

 それは伶が行う練成にもいい影響を与えているのだろう

 試作の武器やゴーレムが出来上がっていくのが良く物語っていた。


酔っぱらってフワフワしながら話す女性ってかわいいですよね

…絡み酒にならない限りは


いつも読んでくださり有難う御座います


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