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戦いの第二幕

 初戦は完勝。とはいえ相手も様子見、もしくは嫌がらせ位の感覚だろう。


 周囲の気配を探ってみたが、邪人たちの気配は無い。俺達の転移に対して彼方此方(あちこち)に邪人を配置した訳ではないようだ。


「読まれたと言うよりは対応された感じじゃな」

「それって、転移の魔方陣が出現してから邪人を召喚したって事?」

「そう考えた方が良いだろうね。雑魚が多かったのもそのせいかな?」


 実際に魔方陣が出てからか、それとも魔力の流れを感知したとかその辺りは不明だが、短時間であれだけの邪人を召喚できるという事、周りに召喚者の気配が無い事から遠距離からの召喚も可能だという事を見せつけられた訳だ。


 数を減らせば、もっと強い個体の召喚も可能だろうし戦闘中に後ろから襲われる可能性も出てきた訳だ・・・


「ルビーゴーレム達を配置して時間を稼ぐしかないわね」

「僕も最後尾に付くよ。精霊の召喚はハルカちゃんに任せる」

「任されました」


 敬礼をしながら胸を張るハルカさん。まぁ何時もの如くツルぺタ~ンなお胸はスルー推奨です


 さて、改めて周りを見渡す。目の前に広がる草原には目印となる様な物も無くどちらに進めば良いのか判らない状況だ。邪教徒達が何処に潜伏しているのか、邪神が封印されている中心部がどの辺なのかも情報が無い。


 奇襲の危険を避ける為に中心部から離れた場所に転移したらしいという事は判っているのだが・・・


「またうっかりミスかよ。あの駄女神め・・・」

「あ、大丈夫よ。これを渡されたわ」


 そう言って伶が取り出したのは、球状の水晶に閉じ込められた方位磁石のような物。針の先が目的地を指し示す仕組みになっており、腕にはめて移動にも邪魔にならない仕様になっているらしい・・・


「なぁ。これって某海賊漫画の・・・」

「ストップ!それ以上は駄目よ。」

「いや、どう見てもログ「駄目よ」ーズ」


 まぁいい。役に立つなら見た目は目を瞑ろう・・・


 って、駄女神様の地図に載っていないのか?って、載ってるじゃん!そんな大人の事情に引っ掛りそうな物使わなくても、こっち使おうよ!累計発行部数でギネスに載るような物に手を出すな!


「はぁ、どうせ勢いだけで作ったんだろ。破棄だ、破棄!」

「そうね。こっちの方が使いやすい物ね」


 結局は地図を片手に現在位置を確認する。やはり、中心地まではかなり距離が有りそうだ。ひょっとすると野営が必要になるぞ。しかも結局は奇襲されてるんだから無駄に歩くだけじゃねぇか・・・


役に立たない駄女神さまを恨みつつも、その駄女神さまから貰った地図を広げる。 まぁなんてチートなアイテム!って、感じのこの地図。TVショッピングのアシスタントのお姉さんも吃驚な性能だ


潜伏している邪教徒達の伏兵まで示してくれている上に教祖の居場所もキッチリ載っている。これならば最短ルートを進めそうだが・・・そうは甘くないようだ


「これ教祖の居場所の前、何か変な記載になってないか?」


 そう。地図に変な筋が描かれているのだ。全体からみれば細い線なのだが、それらが迷路の様に複雑に描かれている


「行ってみるしかないの」

「そうだね~悪い予感しかしないけど、それしか無いだろうね」


 話す内容の不穏さとはまるで反対のタンドさんの口調。実際問題、教祖側がどのような準備をしていようともそれを打ち破らないと教祖一味の元までは行けないのだ。


 まだ見ぬ脅威にビビって歩を止めてる場合では無い。休息も十分取れたという事で先に進む事にする。


 地図を確認しつつ、奴らの伏兵を避けながら進んで行くのだが遠回りしたりという事も有って途中で野営は避けられない。教祖達の居場所までの距離と、進んで来た速度を計算して今日の野営地を決めるしかないだろう。


「こっちから夜襲とか掛けれませんかね」

「地図上のコレが無ければね~。向こうも僕達の転移場所は判っているし伏兵との戦闘が無ければ進行ルートの想像位は付いているよ。寧ろ夜襲を警戒しなければいけないのはコッチだろうね」



 このまま野営をせずに教祖達の元へ向かえば辿り着くのは夜襲に丁度いい時間だろう。そう思って言ってみたがタンドさんに反対される。


 まぁ俺も言ってみただけだ。地図上のコレ・・・おそらく壁だろう。それを迷路状に張り巡らせる事で時間稼ぎをするつもりだな。俺が薄々感づいている位だ、みんなも予想しているだろう


「入り口だけで出口は無いかもよ?」


 笑いながら嫌な事を口にするタンドさん。転移魔法を使える以上は移動に制約などないのだから行き止まりの壁で十分だ。俺達が必死に迷路を攻略してる間に後方に邪人を召喚してくる事は有り得る話だ。


 召喚魔法で土の上位精霊を呼び出せば壁位は易々と破れるだろう。でもその時の音で結局は気付かれてしまうのだから夜襲は失敗する訳だ


「俺程度の考えじゃ無理っぽいですね。降参します」

「ははは、その分戦闘は任せるよ。若者は身体を使ってくれたまえ」


 両手を上げて降参のポーズでおどける俺に、見た目の若さを棚に上げて年寄り臭い事を口にするとタンドさんが背中をバシンと叩いてくる。


「この辺りで野営しましょうか」

「は~い賛成です。もうお腹ペコペコです」


 明日の朝一番で向かえば昼前には付ける距離で野営をする事にする。見渡す限りの草原なので不意を突かれる事は少ない代わりに、こちらも身を隠す場所も無い。しかも奴らは召喚魔法での奇襲も可能なのだから厄介だ


 夜襲をされる事を前提に警戒しておく他ないだろうな。ブルーベルとルビーゴーレム、それに精霊さん達に見張って貰いながら睡眠をとれる分だけまだましだろう


「馬車が無いから竈が無いのよ。簡単なものだけど食べて早めに休みましょう」


 焚火と即席の竈でも変わらぬ料理を作ってくれる伶。謙遜しているが野営でこの料理を食べれるのだから満足だ。


 念のためテントなどは使わない。防具を付けたまま枕もとに武器を置いてのごろ寝の状態で休む。日が暮れて間もない時間なので直ぐに眠れるわけではないが横になって疲れを癒すだけでも効果はあるだろうと、思っていたがあっさりと睡魔に屈服していたようだ・・・


「智大君、お客さんだよ。さぁ約束の肉体労働の時間だ」


 睡魔に負けていたのを教えてくれたのはタンドさん。見ると皆準備を終えて武器を構えている・・・どんだけ熟睡してたんだよ、俺


 何処でも寝れるのは才能だと自負しているが(いささ)か自分の図太さが恥ずかしくなる


「安眠妨害のお客さんには相応の歓迎をしてあげましょうか」

「おう、任せとけ!」


 暗闇に光る邪人達のギラギラした瞳に、こちらも獰猛な笑みを返す


 決戦の第二幕は暗闇の中、静かに始まるのだった


読んで頂いて有難う御座います。

明日は午後から出張の為、執筆の時間が取れないかもしれません。

なるべく投稿したい処ですが、何時もの時間より遅れる可能性が有ります

最悪は休載になるかも知れませんので、予めご了承ください


読んで頂いて有難う御座います

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