作戦開始!
見事本懐を遂げる・・・事は出来なかったが、久しぶりの伶との時間を過ごせたことに満足できた
って、そんな訳は有る筈も無く、悶々としたまま翌朝を迎える。
思春期真っ盛りの俺があの状態でお預けを喰らえばどうなるかはお察しの通りだ。行き場の無いこの迸るリビドーを何処にぶつけるべきか・・・それに付けても起き抜けに下着を洗う虚しさよ
まぁ個人的な恨みは使徒としての使命として邪教徒達ににぶつけさせてもらおう。
け、決して女性陣が怖い訳じゃないんだからね!
そんな脳内での葛藤を見せる事無く、作戦の準備が出来たとの報告に神殿から再び神域へと移動した俺。今回は人数制限も無く何時ものメンバーが勢ぞろいしている。
アスタルテ様に出迎えられた俺達はそのまま奥に通されると、そこに広がるのは・・・
「定点カメラ準備完了。指示を待ちます」
「観測用モニター準備ヨシ。データ転送開始!」
「赤外線フィルター良好。監視の任に付きます」
制服に身を包んだ天使さん達が、頭に付けたヘッドセットを通して各所と連絡している風景だった。まるでアニメの世界で出てくる指令室、「パターン青です」とか言い出しそうなアレだ。・・・異世界で流行ってるのか?
「ふふ~ん。やっぱり指令室と言えばこれなのです~」
ドヤ顔のアスタルテ様だが、そのネタは既にユースティティア様がやってるぞ。二号に先を越された格好だ。
「このネタ二回目だぞ」
「げぇ!ま、まさか・・・彼女に裏切られるとは。ブルータスお前もか!?」
いや、君達、神の饗宴でも対立してたよね?ライバルじゃなかったの?実は仲良し!?仲良しなんだな!!
うん、少し落ち着こう・・・閑話休題、閑話休題
まぁノリはともかく各地の拠点の情報を得られるならば、それに越したことは無い。
モニター?魔道具?まぁ何でもいいや。画面の先では突入準備を終えた部隊が、作戦の開始を待っていた。無駄なハイテクの中で待機しているのは剣や杖を構えた獣人さんや冒険者達と連絡役の魔族さんだ
・・・これ魔族さんの意味あるのか?
しかしよく見ると魔族さんも小さな通信機の様な物を付けてる処を見るときちんと役割を果たしているらしい事が判る
「作戦開始三分前、カウントダウン入ります!」
ってこれも何処かで聞いたセリフだな。まぁ緊張感は伝わるからいいか・・・いいのか?
「10・9・8・・・・3・2・1・0.ミッションスタートです!」
天使さんの合図で画面の向こう側で部隊が動く。各々が目標に向かって武器を片手に突進していく様が複数の画面の中で展開されていく。廃墟だったり森の中の小屋だったりと拠点も様々だ、中には普通の商店の様な建物まである。しかし、俺は一つの画面から目が離せない・・・
「ひゃっはぁ汚物は消毒だ~」
先端から炎が出る魔道具を持った冒険者が叫びながら一軒の建物に向かう。髪型はモヒカンで見ようによってはセクシーな感じだが、ファンタジー要素よりも世紀末要素の方が高めの人物だ・・・って悪役だろ、あれ
マッチョな上半身を半ば露出したモヒカン君はお約束の型に棘の生えたプロテクタ―まで装着しているガチなタイプだ。・・・味方だよな!?大丈夫だよな?
「ふべぇら!」
世紀末系冒険者が建物の中から現れた人物に殴られる。予想通りっちゃ予想通りだが悪役は滅びる宿命らしい。お約束のセリフを放ちながらそのまま突入部隊が待機していた林まで空中遊泳を楽しんでいった・・・因みに秘孔は突かれてない
「エマージェンシー!ポイント3-5に敵性体発見。パターン青です!!」
天使さんがアスタルテ様を振り返りながら、焦った様子で告げる。って、そのセリフは大丈夫か?久しぶりの大人の事情案件にならないか?
「チッ!こっちの都合はお構いなしか・・・女性に嫌われるタイプです~」
アスタルテ様?
いつの間に着替えたのか黒のインナーに赤のジャケット、スリットの入ったミニスカート姿のアスタルテ様が腕を組んで立っていた・・・が、語尾が妙に流れるいつもの口調が何処か緊張感に欠けてしまう
「こっちも行くです!秘密兵器をサービスです~」
って、大人の事情が~!!
各モニターは同じ大きさだったのだが、アスタルテ様の言葉に画面が切り替わり一際大きな物に変わる。そこに映し出される先程の男は指をポキポキ慣らしながら、ゆっくりと建物から歩いてくる
武器を持っている様子は無いので先程の世紀末系冒険者を殴り飛ばしたように格闘系を得意としているようだ。こちらの突入班はその男、おそらくは邪教徒達の幹部を半円状に取り囲むがジリジリと後ろに下がっていく
「使徒?」
「いや、まだ判らない。」
「でもさっき、パターン青って・・・」
「いやいや、伶さんや。偶然だからね!その設定はタマタマダヨ」
俺と伶が掛け合い漫才をしている内に画面には転送陣が浮かび上がる。先程アスタルテ様が言っていたサービスか?
「あら~ン。なかなか楽しめそうね・・・じゅるり」
現れたのは我らが誇る肉弾系!アッティスさんだ!!何時ものマッスルポーズを決めながら転送陣から出てきたアッティスさんは強敵に胸が高鳴るのか、その瞳は獲物を見つけた猛禽類の様に獰猛な光を浮かべる・・・強敵だからだよね!?タイプだとかじゃないよね??
転送陣から現れたアッティスさんにポキポキ慣らしていた指を止めて立ち止まる幹部・・・どんだけなるんだよお前の指は!
「ほう、一本だ。指一本でお相手しよう」
「ふふ~ン。大した自信ね~」
人差し指をアッティスさんに向けて構える幹部。背中からは闘気の様な物が立ち上っている。二人が浮かべるオーラが高まり切った、その瞬間、『ゴウッ』と空気が震える様に振動する・・・
「アベシ!!」
おふ・・・アッティスさんの神速の打ち込みに飛んでいく一子相伝の伝承者系幹部
「まだまだね。乙女の高みは遥か先よ~ン」
「「「・・・」」」
あっさりと勝ってしまったアッティスさんが画一杯に広がる。カメラ目線でウインクする姿に指令室の中に微妙な空気を醸し出す・・・
「完全にオーバキルだな。サービスし過ぎだろ・・・」
「てへ?」
「てへ?じゃねぇよ!」
まぁ一部、過剰戦力の投入などありながらも作戦は順調に進んで行く。実際には邪教徒側の抵抗は殆ど無く拠点内部の人員の数も非常に少なかった
「これは・・・」
「予想されていた?・・・いや、誘い出されたか!?」
ローラさんと伶の表情は苦々しい物だった。その口ぶりから予想されるのは俺達の作戦が読まれていたという事だろう・・・
「既に幹部は封印の地で待っているって事かな?」
「そうじゃろうな。あまりにも抵抗が少なすぎる」
教祖なのか使徒なのか・・・策略と言う意味では相手に軍配が上がったって訳か・・・
「やる事に変わりはあるまい。乗り込んで叩き潰すだけだ」
「そうだね~教祖の位置を特定できたことは間違いないだし、結界オーライだよ」
おお!流石に社会人組は動揺は少ないか。ネガティブな空気が広がりそうな指令室に渋い声と爽やかな声が響く。タイプは違うけど非常に頼もしいセリフだ・・・アッティスさんがいなくて良かったね
「そうね。それじゃあ行きましょう」
「おう。使徒の力見せてやるぜ」
一変した空気に乗っかる様に気合を入れ直す
いざ、封印の地へ!
「待って下さい~。転送陣の準備が~」
「って、この駄女神!空気嫁・・・って違う。空気読め!!」
結局このパターンか・・・
本日徹夜明けでの執筆でやらかした感満載です・・・
なんか読み直したら恥ずかしくなりそうなので放置!!
読んで頂いて有難うございます