神の饗宴
なんとか女神さまにこっちの世界に戻ってきてもらう為に伶が作った特製エリクサーで体力もスタミナも回復させてみる・・・が、実はこのエリクサーかなり臭い。蓋を開けた瞬間に漂う匂いはシュールストレミングも可愛いと思えるくらいだ
「ンゴフォッ!・・・くっさ!どえりゃあくさい!」
そして副作用として名古屋弁になってしまう様に改良してあるというおまけ付きだ
どえりゃあくさい・・・どえりやくさい・・・どえりくさ・・・えりくさ・・・伶、やっぱり無理があるぞ!?
「まさか、そのボケの為にこんなに臭くしたんですか?」
「まぁ、偶には良いかな?と思いまして・・・その・・・」
涙目で抗議するアスタルテ様。・・・伶がベロベロに酔っぱらった時にノリで作った秘薬だから多少の事は許してやってくれ。ほらあるだろう?深夜に酔って好きな子に連絡しちゃって翌朝に送った内容を見て後悔するのと同じだ
「こんな物作って、自分達で飲む時はどうするつもりだったんですか!」
「でもぉ~、私ぃ~回復魔法あるし~」
「嫌がらせ?。私苛められてます!?」
ギャル風の答えで誤魔化す伶。何だろう・・・ストレスでも溜まっていたのか!?
まぁ、アスタルテ様も伶のボケに付き合えるくらいは回復した様で抗議の声を上げつつも何処か楽しそうだ
「伶、その辺にしておけ。そろそろ本題に入るとしよう」
一転して真面目な表情でこの間ユースティティア様と話した邪教徒達の拠点を摘発して最終的に邪神の封印された地に追い込む事計画とその際に主神代行であるアスタルテ様と話して欲しいと言われた事を告げる
「う~丸投げですか・・・なんで私ばっかり~・・・」
「ほ、ほら信用されてるんだよ、きっと」
「いや。作為の匂いがします!みんな神力を使いたがらないんです~!!」
どうやら神さま達が神託だったりギフトをくれたりというのには神力という物を消費する様だ。神力は信仰や供物等を受け取る事で溜まっていくもので、それを使って色々な奇跡を起こしたり自分を強化するのに使える、まぁポイントみたいな物?
「例えば収穫祭に出ると供物とかで神力が溜まるんですけど、その神力で来年の豊作に使っちゃうので結局はプラマイゼロなんです~」
ただ、豊作になれば収穫祭意外の時でも、信仰してくれるのでトータルで考えれば結構なプラスになるらしい。アスタルテ様はそうして得た神力を惜しみも無く還元するタイプなので民衆からの信仰が更に厚くなってるそうだ
結局は他の神よりも多い神力を得るのだが、あまり自分の強化には使っていないのに他の神さま達はアスタルテ様の神力の多さを知っているので何かと雑用を廻してくる事が多い
「他の神さまの神力なんか判るのか?」
「グラフが張り出されます~。あと年二回の賞与に影響しますので・・・」
「って、サラリーマンかよ!」
うん、神さまも色々世知辛い世界らしい・・・
「それで邪神の封印の場所とその神力にはどんな関係が?」
「あ~そこに行くのが大変なので転移以外だと、とてもじゃないけど行けないんですよ~」
「成程ね。それで神力が、って話なのか」
まぁそれだけでは無く、一応はそこに行く為の許可みたいなものが要るという。封印の地という事もあり基本的には認識が阻害されているので簡単にも行けず、結界も通り抜けられない筈だというのだ
「あれ?それじゃあ教祖も入れていない?」
「いえ。お話しを聞く限り、伶さんの話しは筋が通ってますし内部まで入れなくても近くに拠点があると考えた方が良いでしょうね~」
アスタルテ様も伶の意見に同意か・・・まぁ少なくても封印の場所がバレているのは確定と考えて行動するのは確定だな
「一応、他の神々とも協議したいです。私一人で決めると責任問題になるので~」
「立場弱いな・・・主神代行!」
「所詮代行ですから・・・はぁ主神がどっか行っちゃうのが悪いんです~」
主神=創造神で一番偉い神なのだが、世界を作った後は他の神さまに任せてプラプラしているんだそうだ。
「だって儂の仕事終わったも~ん」
これが口癖らしい・・・そいつがシッカリしてりゃ問題起きないんじゃね?
「兎も角、神の饗宴を開催します~。天使さん皆に通達してく・・・えっ!忙しいから自分でやれ!?神力余ってるんだろ!って・・・う~また神力が・・・」
おいおい、部下にまで使われるのか?本当に可哀想になって来たぞ・・・
「ではその間に拠点の摘発を進めておきます」
「あっ!伶さんと智大さんも神の饗宴には参加してくださいね。でないと・・・」
神の饗宴で味方が少ないのか?下手したら一人で仕事を押し付けられるのかも・・・まぁ流石に可哀想か、参加するくらいなら問題ないだろう
「良かった。これで説明する人が出来た。内容覚えてる自身が無かったんですよ~」
「って、覚えようね!それ位自分でやろうよ。てか、やれ!」
「ふぇぇ~」
やっぱり駄女神でいいや。甘やかすとドンドン駄目になる奴だ、こいつ・・・
神さま達が集まる日にちが決まったら連絡してくれるらしいので、一旦神域から戻る事にする。こっちはこっちで打ち合わせもしないといけないのだ。獣人にエルフ、魔族に教団と各代表を交えて具体的な話を進めていこう
「ナティさん。どうですか?」
「此方は万事抜かりなく進んでいます」
ホントこの人便利だな・・・話しかければ何処にでも出てきてくれるのだから連絡取りやすい
「主要な都市部では調査は完了しています。後は隠れた拠点ですが・・・」
「森に在る拠点は僕たちが粗方調べてるよ」
「町や村も儂ら獣人が入り込んでいるから大丈夫だ」
「教団は?」
「イスト殿が上手くやっている。信者からの情報を元に神官騎士団を動かすそうだ」
あら、今回は敬称付きだ。ちゃんと意識したようだな
「教団も自分たちの利益になりそうだからな。他の枢機卿も賛成したらしいぞ」
「よし。では日取りを決めて一斉に攻め込む。神の饗宴の結果次第じゃが準備を進めておいてくれ」
いつもの様にローラさんが会議を〆て一同が頷く
待ってろよ邪教徒共・・・
正義なんて事を言うつもりは無いが散々振り回してくれた事へのお返しを楽しみにしておけ
態々異世界まで来たんだ、その分の迷惑料も込みで払ってやるからな
なんか五月の中頃じゃあ終わりそうもない・・・
多分五月中?って感じになりそうです
読んで頂いて有難う御座います