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仲良く修行2

先週と同じく週末という事で二話投稿の予定です


 新たにポンコツ勇者?、まぁ一応使徒?が増えたところで修行内容が少し変わった

 ポンタさんとの組手の横でローラさんが伶の作った魔道具で魔力操作の訓練を行っている

 俺は相変わらず入浴中に行っているのだが、ローラさんの場合爆発の危険を避ける為に洞窟の中での訓練になった。俺が使う物よりもかなりの大型で、中の球体も重く動かすのに大きな魔力が必要になっているのだが、俺の場合と違い箱の横からコードがローラさんに繋がっている。

 必要以上の魔力で球体を動かすとその過供給された魔力はコードを伝いローラさんを痺れさせるのだ


「フギャ」

「ウミャ」

「オフゥ」

「ンアァ」

「アフン」


 俺が動かしている球体よりも大きなそれを動かしてなお余計な魔力が発生しているというのは、かなり驚きなのだが結構な頻度で電流の様な物が流れているらしくローラさんが悲鳴に似た叫びをあげている

 その声に艶が帯びてきたなと、そちらに目をやるとローラさんが荒い息をついている。はたしてあの息の荒さは訓練の疲れなのか、新たな扉を開いたからなのか…

 取敢えず集中の妨げになりかねないそれを無視して組手へと意識を向ける。伶が怖いから…


 そう、伶もまたこの場にいるのだ

 練成で武器や防具の作成をしていた伶だったのだが、これが難航しているのだ

 防具は練成で創らなくても獣人達が使っていた魔蜘蛛と冥獄蚕と呼ばれる蟲系の魔物が出す糸で服を作って解決した

 冥獄蚕の糸は絹の様な手触りで二重に編みこまれ衝撃を吸収する性質があるシャツに仕立て、鋼の様に丈夫さを発揮できる魔蜘蛛の糸は漆黒のロングコートの様な装いに仕立てたのだが、性能を発揮するのに魔力を流す必要が有るので、俺の修行待ちになっている


 問題は武器の方だった

 伶もうちの道場に保管してあったご先祖様が使ったとされる刀を見ている

 その、通常よりも少し長い二尺九寸の刀を練成で再現してくれたのだが、見た目は完璧なのだが強度の方はさっぱりだった

 ある物は曲がってしまい硬さを出せば折れてしまう。切れ味を求めれば脆くなり丈夫さを求めれば切れなくなるのだ

 鍛冶で作ったとすればひょっとしたら似たような性能の物も出来たかも知れないが錬成はイメージだ

 材質だとか焼入れ、焼鈍し、研磨など現代では失った技術であるものを伶が理解しているとは言えない

 これでは、刀を錬成で作るのは不可能だろう

 刀ではなく剣でも構わないと言ったのだが、伶はそれに納得しなかった

 結果、朝食後の授業は日替わりで俺が知りうる刀の性質や材質、大まかな刀鍛冶の手順等を教える事になった

 今日はおれの授業の日だったので、ブツブツ言いながらノートに纏めたことを整理している


 もう一つはローラさんの使う道具だ

 まずローラさんは細かい魔法やゴーレムの操作等が苦手だ

 強力な範囲魔法の様な大規模な魔法はいとも簡単に放てるのだが、当面俺たちは軍隊など相手にする予定はない

 狭い場所で味方も巻き込みかねない魔法は遠慮していただきたいのだ

 そこで、ローラさんの魔力を抑える道具なり制御の助けになる様な物を創らなくてはならないのだが、魔法に必要な魔力とは、範囲、威力、発動までの長さと色々な要素が係るらしく、道具で魔力を抑えれば燃費が悪くなるとか発動まで長くなる等のデメリットも出てしまう

 では制御しやすくするというと、通常その様な道具は威力を高めるとか消費魔力の節約等の効果を狙うのであって、威力を抑えるなんて機能は普通つけない。その為イメージが全然湧かないらしいのだ


 逆にゴーレムに関してはイメージはできたらしい

 強すぎる魔力の過供給を防ぐためにいきなり制御回路に魔力を流すのでは無く、魔力プールの様な物を創り一度そこに魔力を溜めるのだ

 溜めた魔力を使って動かす方法を取るのだが、その方法だと魔力を流した時に術者の意思を込める事が出来ずゴーレムに命令を与える事ができないのだ

 その為に自立型の思考回路を作らねばならずその作成に頭を悩ましているのだ



 そんなこんなで、この集落に来てから十日間が過ぎた。

 最近伶が煮詰まってきている。もともと人見知りするタイプなのだが、俺以外と殆ど交流していない

 修行でも訓練でもいいのだが、本来そんなに早期に成長など見えないものだ

 ただ、俺とローラさんはスタート地点が低かっただけに自分で成長が実感できる。逆に伶の場合は道具として使える形に成らないといけないので俺達よりも追い込まれているのだろう


「フム、今日は焼き肉大会を催す。修行は休みにするのだ」

「そんな事をしている暇は…」

「これは集落の長としての決定なのだ」


 ポンタさんが突然集落での焼き肉大会の宣言をした

 最近の伶の状態を見たポンタさんなりの気遣いなのだろうその宣言は、集落のみんなを巻き込んで準備が進められる

 午前中は狩りや収穫に行く者、下拵えや会場の準備をする者とに分かれて行動するのだが驚いた事に集落に居る全員が参加しているのだ

 そもそも、獣人族は魔道具をあまり使わない。種族自体の魔力が強くないのもあるが、逆に身体能力が高いので使わなくてもそれほど不便はない

 しかも、能力的に男女差よりもベースになっている種族の方で得意とする分野が違うのでラクト村の様に女性の方が社会的地位が高いとかもないのだ


 だからこういう行事は『得意な者が得意な事をやればいい』という考えで特に指示がなく勝手に動いているのに、全体的に纏まりがあるという不思議な事になっている

 俺とローラさんは狩りへ、伶はポンタさんと下拵えに回っていた


「えっと料理の得意なクマって想像つかないんだが…」

「にゃはは、別に変身して料理する訳ではないのじゃ」


 そうは言われても狩りの方が似合うような気がするのだが、ポンタさんが狩りをすると食べる所が少なくなると言われるとなんとなく納得する

 俺はここ何日かの修行を生かし、伶が創ったナイフで狩りをする。スキルの使い方を確認するように自分の気配を消し得物の気配を探る

 死角から忍び寄り神眼で見抜いた弱点を一刺し。逃げられることも有ったが概ね順調に狩っていく


 ローラさんは石に魔力を通し投げつける方法を取っている。魔眼を使えば目が合っただけで動きを止められるみたいだが、魔力の操作の練習もかねて投石で狩りをしているらしい。たまに得物を貫いて地面が爆ぜたりしていたけども…



















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