ギフト~イシス様2
イシスさま簡単に言うが、スキルの見直しなんて簡単に出来るのだろうか?この世界に渡ってきたときにアスタルテさまから受けっとったのを最初にレシェフやユースティティアさまと沢山貰っているので良く判らない状態になっている
「ローラさんとハルカちゃんに関しては特に問題は無いですね。ローラさんに関しては少し重複してスキルが生じてるので後で調整すればいいと思います。問題は伶さんと智大さんですね」
「そんなに拙い状態ですか?」
「いえ、拙いというより無駄が多いです。まだ、智大さんは近接特化という事で方向性は見えますが、伶さんの場合ちぐはぐな状態で方向性が見えません。正直パーティーの中でも微妙な状態になっていませんか?」
「微妙?そんな事は無い。戦闘職では無いけどゴーレム達を生み出したのは伶だし、移動中の料理番だってこなしてくれてる。作戦会議の時だって方向性を決めるインテリ組として十分役に立っている!」
思わず抗議の声を挙げる。只の幼馴染という事だけでは無い。キッチリとパーティメンバーとしても役に立っているのだ。幾ら神さまと言っても簡単に言わないでほしい
「ああ、ごめんなさい。言い方が悪かったですね。智大さんの仰っている事は理解できます。私が言いたかったのは、そこにスキルの影響が有るのかという事です。たぶん料理も作戦立案にしても元々の伶さんの能力の高さ故では無いでしょうか」
おっと、そういう事か。それだと少し理解できる。確かにアスタルテさまから貰ったスキルで元々の頭の良さに補正が掛かっているのは事実だが、スキル本来の使い方としてはゴーレムと刀を創った位か・・・
「抑々伶さんは何故生産職を目指したのですか?」
「智大が話を聞いていなかったのが原因ね。武器の無い世界と聞いていたのに近接戦闘に特化したスキルを取ってしまったから・・・」
「成程です。それにしてもスキルの説明は有ったのですよね?」
「はい。始めの説明は使徒としての能力の底上げの為にスキルを与えると、そうする事で本来そのスキルを持つのに必要なステータスの値まで私達の能力が上がると聞いてます。その後は都度、必要だと思うスキルを頂きました」
話を聞いたイスト様が難しい顔になってくる。と言うよりも呆れているのか?この表情は・・・
「誰が説明をしたのか判りませんが説明が不十分ですね。それでは無駄が生じるのも当たり前です」
まぁ、カンペ片手に説明していたし本人も理解していたのかは怪しい。これがキュベレー様みたいにしっかりとした神さまなら兎も角、説明していたのはアスタルテさまだ。問題が合っても不思議じゃない・・・
「本来スキルと言うのは、技能を極めた結果として生じる物です。ですから方向性を決める事で無理なく能力が補完し合う物なのです」
呆れた様子でもう一度説明を始めるイシスさま。どうやらスキルという物の根幹から説明する様だ。
「そうですね、例えば『剣術』持った戦士の場合、熟練してくると『筋肉増強』や『高速移動』といった身体能力が上がる系統のスキルが生じます。それによって『剣術』が更に生きてくる訳です。メインのスキルに補助のスキルが生じると思ってもらっても構いません」
「ふむ。戦闘職の場合は判り易いな」
「はい。魔法職の場合はもう少し複雑です。どの系統の魔法を使うのか、攻撃メインなのか回復メインなのか、精霊魔法なども有ります。まずは自分の系統という物が初めになければいけません。しかし、伶さんの場合そこがはっきりとしない状態で補助系のスキルを付けていってしまったので無駄が多くなってしまってます」
成程。それで方向性という表現だったのか。伶の場合『万物の理』というユニークスキルが有る為、知識という点では他の追従を許さないだろう。問題はそれを生かして何かをするっていう物がハッキリしていない事だ。レシェフやユースティティア様から貰ったギフトは刀をうまく作れなかったからだし、方向性と言う意味では考えていない筈だと思う。伶も心当たりが有るのか真剣に話を聞いている
「伶さん。まずは生産職という考えは捨てましょう。そして智大さんも刀に拘らない方が良いです」
「でも、使い慣れた武器の方が・・・」
「智大さん『剣聖』ですよ。武器にこだわる必要が無いです。しかも伶さん只の刀では無く色んな付与まで考えてますよね?」
「はい。邪教徒達の事や魔物の強さを考えたら少しでも強力な武器をと考えてます」
「なら、尚更ですね。魔法の付与された刀ってイメージ出来てます?」
「そ、それは・・・」
そっか・・・伶はそこまで考えてくれていたのか。刀を構成する素材や熱処理での構造変化、それを為す為の鍛治技術。口伝にて伝えられていた技術は現代に至る過程の中で失われたロストテクノロジーだ。元の世界でだって技術の再現が試みられているが、所謂古刀の再現には至っていない。魔法を使う事でクリアできる部分もあるだろうが、イメージが出来ていない以上完璧な再現にはならない
「それならイメージしやすい剣の方が良いわね。そこに付与したい、魔剣を創りたいと言うなら、付与する為の魔法を覚えた方が早いわね」
「ふむ。確かに付与魔法と言う物が存在するのじゃ。別に魔剣である必要はないの」
「そう。生産職では無く補助系の魔法使いの方が良いわね。」
「でも、ゴーレム達はどうするんだ。生産職としての立派な成果じゃないか」
「いえ。智大そんなことは無いわ。錬金術の可能性として考えれば十分な筈よ」
伶の答えにニッコリと笑うイシスさま。
「そうね。錬金術を魔法として、いえ魔術として考えれば方向性としては問題ないでしょう。無から有を生み出すのが錬金術よ。イメージとして成り立つのならば問題は無く成る筈よ」
またイメージか・・・レシェフにも繰り返し言われた。スキルはイメージだと・・・それが出来なければ何も出来ないのだと。魔法でも同じか
「まずは伶さんの方向性を決めましょう。それに智大さんのスキルも見直さないと。折角の『剣聖』よ、これを生かさないなんて勿体無いわ」
「そんなに凄いんですか?」
「・・・お主ら、自分たちの実力も判ってないのか?パーティで考えた場合、この世界でほぼ無敵ぞ」
エシュムさまの言葉に驚く。大森林の魔境であれだけ苦労しているのにほぼ無敵?そんな訳が無いだろう・・・
「良いか?。大森林の魔境に人の身で入れる事の方が異常だと考えよ。あそこは正に人外の魔境ぞ」
「でもナティさんとか簡単に魔物とか倒してますよね。大森林の迷宮だってクリアしてるっぽいし」
「基準がおかしいの。ナティも我と同じ神の子じゃぞ。あれに勝つつもりならばそれこそ邪神が復活せねば無理じゃな。儂でも底が見えないつよさじゃ」
そうなの?そのレベルの人がいるなら使徒なんていらないんじゃない?
「小僧。考えている事は判るが神の子と神の差じゃ。神の子は信仰では強く成れない。邪神が力を蓄えれば儂らでは太刀打ちできん。未だに魔族を邪神の勢力と思っておる輩も多い、儂らが表だって動けば民は儂らを恐れるじゃろう。それは邪神に力を与える結果になるのじゃ」
「智大さん個人の強さも異常ですよ、一対一で対抗できる人類はいないでしょう。勇者と言っても差し支えは無い筈です」
そんな馬鹿な・・・
俺のやっていた事って、囮になって逃げまわったり後ろからコソッと近づいてグサリとか殆どせこい勝ち方ばっかりよ?
「それはローラが規格外じゃからな。規格外の魔法と言うのはそれだけで脅威じゃ。しかし近接職がいてこその魔法じゃからな。小僧が気付かぬのも無理はない、少し自信を持っても良いと思うぞ」
衝撃の事実だ・・・
実は俺ってチートなキャラだったのか。俺Tueeeが出来るのか?
「但し、周りがもっとちーとじゃ。ちーとの中では下っ端じゃの」
「四天王の内、最弱って奴ですか?」
笑いながらエシュム様が告げ、それにハルカさんが乗っかってくる。その知識はどっから得たんだ
最後のオチに使われ肩を落とす俺をスラちゃんが慰めてくれる・・・
「そうじゃ。そのスライムの方が強いのを忘れるなよ」
あぁ神さま、助けて下さい・・・
って目の前にいるのか・・・
何とか投稿できました。
活動報告には入れてありますが、現状日曜日は投稿が難しい状態が続いています。
平日にストックが出来ればいいのですが、決算期が過ぎても忙しい状態なのでなかなか難しいです
ってか、決算期よりも忙しいのはなぜなんだぁぁぁぁ!
読んで頂いて有難う御座います。頑張りますのでよろしくお願いします