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ギフト~イシス様

 

「創造神の出番じゃの・・・イシスよ神々の宴の用意じゃな。パンテオン(神の饗宴)を開くのじゃ!」


 そう宣言してみたものの、二日酔いの頭痛で(うずくま)るエシュム様


「エシュ姉、それは無理だよ。今の私にはその権限が無い」


 さらに追い打ちを掛けるようにイシスさまが声を掛ける。オチは最後につけて欲しい物だ、最初にそれでは話しが進まなくなる


「それに、創造神様・・・多分来ないし」

「なっ!そんな事は・・・あるか。全く何処へ行ったのやら・・・」


 どうやら、神さまの世界にも色々あるらしい・・・


 創造神については何やら事情があるみたいだが、パンテオンの件については教えてくれる。とはいえ別段特別な事でも無い様で、要は全体会議みたいなもので定例として年一回は開かれているという。まぁ日本の神無月みたいなものか・・・


「私はまだ身体と意識が一致していない。だから権限の一部は制限が掛かったままだよ」

「ぬぅ。まったく融通の利かん奴らじゃ」


 緊急事態などで開催を促す事も出来るらしいのだが、イシスさまは下界で調整中の身の為に無理らしい。前イシスさまが消滅と言うのはかなりの衝撃を天界にもたらしたのだという。力を、つまり信仰を失った神の消滅は珍しくなく必要であれば、近い神に権限が引き継がれるなどして特に問題は無かった様だが、イシス様の様に力ある神の消滅は天界と下界に一時混乱を生み出した。しかし信仰を失った訳では無いので行き場を失った力は新たなイシスさまを生み出したのだ


 今のイシスさまは力は引き継いだものの、前イシスさまとは別の存在だ。したがって下界にて調整と言う名の様子見の最中という訳で天界に干渉する権限については制限が掛かっているの状態だという


「エシュ姉、パンテオンを開いても創造神様は来ないし意味が無いよ。情報は共有できているから使徒さんがいれば大丈夫」

「そうじゃな。やはりお主たちが頼りじゃ」

「あの、話がサッパリなんですけど・・・」


 エシュム様とイシスさまの二人の中では結論が出た様だが、俺達には意味が分からない事の方が多かった。創造神の出番とか宣言したと思ったら行方不明で神さま達の会議も開けないというし、結局正体不明の存在については打つ手なしの状態で俺達に任せれば大丈夫って・・・


「創造神なら記録(ログ)を調べる事ができるからの」

「エシュ姉、それ禁則・・・」


 イシスさまの突っ込みにエシュム様がしまったって顔してる。そのままキッとした顔で此方を睨んでくるのでサッと目を逸らす。何も聞いてませんよ~って感じで口笛とか吹いてみる


「うむ。判っておるの。流石は使徒じゃ」

「なにが流石だ。酒が残っているのではないか?」


 ローラさんが迷惑そうに突っ込む。エシュム様のウッカリに巻き込まれて神さまに粛清とかされるのは勘弁してもらいたい


「それでは、引き続き調査って事ですね」

「う、うむ。その辺りはナティに任せておけ。魔族の総力を挙げて調査を請け負うぞ」


 名誉挽回とばかりに意気込むエシュム様。一番迷惑を被ったのはナティさんのようだが、彼なら喜んでやりそうだから気にしなくてもいいだろう・・・


「で、儂らは何をすればいいのじゃ。早く試練を示してくれんかの?」

「とは言っても、現状イシスさまへの信仰はかなり強いですからね。邪教徒達の事を考えると・・・」


 消滅した状態からでも復活させる程の信仰を集めているイシスさま。魔法と魔道具がこの世界に無くてはならない物になっている以上、彼女の力を疑う者はいない。そこから更に信仰を集めるだけの奇跡を起こせと言っても難易度が高すぎる試練になってしましそうだ。あまり試練に時間を掛けると邪教徒達の動向が気になってしまう


「ハルカちゃんが友達になってくれたから十分です」

「安っ!そんな事でいいの?」


 ハルカさんとニッコリ笑いあうイシスさま。確認し合う様にお互いに握った手を顔の高さに挙げてるのは微笑ましいがギフトってそんな簡単に授けて良いのか?


「私も初めに言ってますし大丈夫ですよ。あとキュベレー様の分も預かってますから、欲しいギフトを選んでくださいね」


 ああ、確かに人見知りを直して欲しいとは言ってたな・・・この世界の神さま、ホントに人間臭いと言えば良いのか個性に溢れている。神さまが善性に溢れているのは当たり前なんだろうけど使徒である俺達に対して疑うって事が無い。


 (あまね)く愛・・・アガペーだっけか?・・・これが基本にあっての行動なんだろうな。元の世界の一神教の様な父性、厳しさってものが存在していないのだろう







 イシスさまが手を(かざ)すと天から二つの光が現れる。光が収まり実体化するといつものカタログギフトが現れる。


「ではギフトを選んでください。片方はユニークスキルの一覧ですから慎重に選んでくださいね」


 成程、公開していないスキルの一覧はユニーク扱いになるのか・・・この世界のユニークスキルは珍しいスキルでは無く唯一のスキルになるそうだ。カタログにも「重要」とか「機密」って赤いハンコが押してある・・・って、なんだかな~。妙にリアルでファンタジー要素が少な過ぎる。


 ともあれ、複数人に渡してしまうと世界に影響を与える程の力を持つ程のスキルみたいなので普段は公開していない。だから慎重に扱えっていう事らしい


「あれ?魔法以外も載ってる?俺も選んで良いの?」

「はい。一覧に載っている物は大丈夫です。選べない物は初めから載っていないので問題ありません」


 どうやらユニーク版カタログギフトを展開した時点で許可が出ているらしい。諦めていたチートスキルを手に入れるチャンスが来たようだ


「儂は『魔力制御』じゃな。後は光魔法を使える様にするか」

「それならこっちの『属性支配』の方が良いです。ローラさんは私の加護が色濃く出てますからサービスです」


 ユニークと通常版の二つのスキルを選んだローラさんにイシスさんがもう一つユニークを授けてくれるようだ。ちょっと狡い・・・


「私は・・・うん、これに決めた」


 ハルカさんが選んだのは、ユニークが『精霊支配』、通常盤が『狙撃』だ。『狙撃』は遠距離攻撃に補正が掛かる物で『精霊支配』は文字通り全ての精霊を使役できるものらしい


「あっ、ハルカちゃん。それじゃ駄目。精霊さんは支配じゃなくて加護を選ばないと、力が弱くなっちゃうの」


 なに、その罠みたいな設定。まぁ精霊魔法って支配するイメージじゃあないけど、それなら始めっから載せるなって話だ。まぁ支配の場合は別の使い道が有るみたいだけど・・・


「判った。『精霊の加護』だね。これでタンドさんにでかい顔させないのです!」


 う~ん若干動機が不純だ・・・


「私も『魔力制御』と「魔力付与」にするわ」

「伶さんの目指すのは生産職ですか?少し偏り過ぎてますね。重複しているスキルも多いですし・・・」


 そう言うと少し考え込むイシスさま。


「皆さん。一度スキルの整理しませんか?」

「そんな事できるの?」

「はい。本当は駄目ですが、幸い私は調整中で天上界の管理から離れてますので、チョコチョコっと弄っちゃいましょう」


 悪戯っぽく笑うイシスさま。


 初めて会った時のオドオドした感じは何処へ行ったのやら・・・


 そんなイシスさまの変化に二日酔いも治ったエシュム様が嬉しそうに微笑んでいる


 まぁ、強く成れるのならそれに越した事はないし、俺達が強く成るのは神さまにとっても悪い事じゃない。悪用するつもりも無いのだから問題にもならないだろう


 ワクワクしながら自分の番が来るのを待ち侘びる俺の肩の上でスラちゃんも楽しみにしていた


「きゅ♪」











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