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イシス様との触れ合いタイム

「という事はお主が現イシス様の面倒をみているのか?」

「そうじゃ。まぁ儂も神の子というよりほぼ神という扱いじゃろうて。遅れて出来た妹の面倒は楽しくも有る」


 うわ~魔王様が実は神さまだったってどんなオチだよ。そりゃぁナティさんも強い筈だ、神さまの執事なんて強いに決まっている。どこぞの黒い執事も真っ青だよ・・・


「あまり飲ませんようにな」

「判ってるわい!」


 神さまと聞いても一切口調を変えないローラさん。物怖じしない人だと思っていたら睨まれた


「少年。お主も大概じゃと思うぞ・・・」

「そうですか?」

「そうですね~。神さまに突っ込み入れる人も少ないと思いますよ」


 ローラさんの一言にハルカさんも乗っかってきた。てか、俺の考えってそんなに判り易いのか?


「きゅ~」


 定位置になっている肩の上からスラちゃんが慰めてくれる。まぁそういう事か・・・もう諦めよう


「で、イシス様の試練は何じゃ?」

「・・・・の・・・・して・・・」


 なんだ?綺麗な声なのだが、あまりにも小さくて聞き取れない


「ほれ。もう少し大きなか声じゃなくては聞こえぬぞ。胸を張ってお腹からじゃ」

「あ、あの・・・わ、私の人見知りを直してください・・・」


 うん、やっぱりきれいな声だ。自分の意思表示が出来た事でやり切った表情のイシス様と微笑ましい物を見るようなエシュム様・・・満足そうな表情の二人だが、ちょっと待ってもらおうか


「ふむ。それは使徒に頼む内容では無いの・・・」

「そうですね。もう、それは試練では無くなっています」


 ローラさんと伶の言葉にイシス様の表情が見る間に曇っていく。


「な、何をけちくさい事を言っておる。試練もお願いも大した変わらんじゃろ。同じみっしょんじゃ!」


 ミッションってどこで知ったんだよ!と突っ込みたくなるのを堪える。


「いやいや。そこはご自分でどうにかしてください。抑々(そもそも)使徒の役割って試練を果たす事で神の奇跡を体現させる事で信仰を、ひいては神さまの力を増す事に在った筈ですよね」

「う!し、少年。暫く見ぬ間に成長したの。男子ミニカー会わざればカツモッコリせよという奴じゃな」

「三日!そして括目だよ!!」

「おや、そうじゃったか?」


 なんだよカツモッコリって・・・前に流行ったお土産じゃないんだから。思わず突っ込んでしまったじゃないか


「ふむ。冗談はそれくらいで良かろう。本題に入らせて貰おう」

「・・・私は・・・本気なんですけど・・・」


 囁く様にイシス様が(こぼ)していたが取敢えずはスルーの方向で行こう


「まずは邪教徒達が使ったアンデッドに関する呪術の件。それから魔物を転送する術や召喚魔法に関しても邪教徒達は新たな物を開発している節があります。その辺のお話しと防ぐ術が有るのならばお教え願いたいのです」


 オドオドしているイシス様をスルーして話を進める。一部キュベレー様とも話していた無い様なのでイシス様も了解してる筈だ


「・・・邪教徒の呪法に関しては聞いてます・・・転移と召喚ですか・・・そちらは聞いてはいません・・・ですが魔法はイメージの産物でもありますので・・・」


 途切れ途切れの答えに若干苛つく。話の終わりなのか次の言葉が出てくるのかが掴めないのがイライラしてしまう。その気配を敏感に感じ取るのか更にオドオドするイシス様。あ~これもう悪循環だ、本気で人見知りを直してからじゃないと話しも進まなさそうだ


「ふむ。エシュムよ。飯は食べたのか?」

「まだじゃ。先に食べるか?」

「そうじゃの。伶、何か作れるか」

「判りました。では神殿の前でバーベキューなんてどうでしょう?」

「バーベキュー?何かは知らんが任せる」


 という事で早速準備に入る。コミュ障の女神さまとの触れ合いタイムって事にするつもりの様だ。


「私と智大様で獲物を取ってきます。シトールさんは草刈りをして場所を確保しておいてくださいね」

「なんや。結局草むしりかい」

「シトールといったの。何か不満でもあるのか?」

「め、滅相もありマセン。」


 エシュム様にジロリと睨まれて冷や汗を流しながら、草むしりに走り出すシトールさん。因みに鎌なんてないので手でむしるか魔法で処理するかのどちらかだ。エシュム様が見張ってる以上任せておけば大丈夫だろう。神殿の出口で腕を組みながらシトールさんを監視するエシュム様。その後ろでエシュム様の服の裾を掴んで立っているイシス様が少し可愛い


「ほら、智大さま。私達も行きますよ」

「グゥエ!」


 二人を見ていたらハルカさんに襟首を掴まれて引っ張られる。首が閉まるから勘弁して欲しい・・・


 神殿の近くは人も寄り付かない状態だったので獲物の影が濃い。ハルカさんは天雷弓で狙うようなので彼女とは距離を取りつつ俺も獲物を探す。スキルを全開にして必殺モードに入った俺は刀では無くナイフを手にしている。パラパーとトランペットで始まるあのシーンを脳内で再生しながら目の前の兎にソッと近づきサッとナイフを滑らす。そのまま血抜きも兼ねて逆さに吊るしておくと次の獲物に必殺モードで近づいて行く


 見ると通常モード、雷を発生させない状態の天雷弓で狩った鳥を数羽、腰からぶら下げているハルカさんと眼が合う。彼女の方も順調に狩れているようだ。というかもう十分じゃない?そう思い声を掛けようとするがギラリとした捕食者の眼になっている彼女に声を掛ける事が出来ない・・・オニクスキーが捕食者に進化した瞬間だった


 とはいえ、食べきれない命を無駄に奪う事も無いので流石に止めに入る。馬車に積んである食料も有るのだからと説得したのだが聞き入れない。最終的に「乙女の心得に反しますよ」と一か八かで行ってみるとハッとしたように反応するハルカさん。なんでも言ってみる物だ、一応は食欲よりもアッティスさんの教えの方が大事らしい


 神殿に戻ると綺麗に整地された広場に鉄板を中心にして椅子が並べられている。その横でシトールさんがへばっているが見なかった事にしよう。獲ってきた獲物を伶に渡すと量の多さに顔を(しか)められた。・・・兎の数はまともです。鳥が多すぎなのは俺のせいでは無いです


 馬車の竈も使うようで鳥を片手に伶が向かっていく。機嫌を取る為にも手伝わねば・・・湯を沸かし羽を毟って下拵えの前、料理に使える様になる段階までは手を出す。この先は伶にお任せだが下処理位ならば手を出しても怒られない


 俺が捌いた鳥と兎をぶつ切りにしつつ鍋へと投入していく。鉄板の横には既にお肉が並べられている。俺達がとってきた獲物が多すぎた為にもう一品スープでも作るつもりだろう。どうせエシュム様とローラさんは食べるよりも飲む方に重点が寄るだろうし、こりゃぁ気合を入れないと食材が余る。


 コミュ障の女神さまとの触れ合いのつもりが本格的な宴会になりそうだ・・・


 まさかの流れに少し不安が残る・・・


 イシス様が神殿に住んでいる理由も疑問だし試練を貰う前に熟さねばならない事が多そうだ


 凄い勢いで片付いていく食材を前にまともな神さまはこの世界にいないのかと嘆きつつ配膳を手伝うのだった


読んで頂いて有難う御座います

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