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イシスの神殿

すいません、予約投稿ミスりました

 一夜明けて翌日。みんな各々の用事を済ませてここからは別行動になる。俺達は新たにシトールさんを加えて魔法を司る神さまであるイシス様の所へ、タンドさんとポンタさんは王都に向かう。タンドさんはその後自分のギルド支部へ顔を出した後、ギルドとして邪教徒達の動向を見張る為の提案をするらしい。


 昨日の間にクビトのギルド長ジッコさんとはクビト内部にある邪教徒達の拠点の監視と、各支部の(おさ)が集まる会議の根回しを依頼していたみたいだ。ジッコさんは古参の(おさ)であると共に教育係を請け負っているだけに顔も広いので、そこら辺を利用しようって事らしい


「まったく、私の教え子の中でもとびっきりに迷惑を掛ける子だよ。」


 話を聞いたジッコさんの言葉らしい。笑いながらその事を話すタンドさんには彼女に対する絶対の信頼が覗える


「彼女が未だに弟子扱いするのはくすぐったいけど、任せて安心。もうこの問題は考える必要すらないよ」


 そう言いながら話を締めくくったタンドさんは、自ら入れた紅茶を飲みながら微笑んでいた。その顔が普段見せない素の表情だったのが印象的だった


「智大。そちらも怪我の無いようにな」

「はい、ポンタさんも。聖女様()にもよろしくお伝えください」


 色んな意味を込めてポンタさんに言葉を返す。裏の意味に少し照れながらも頷いてくれるポンタさんが可愛い。イストさんとの事がうまく行く事を切に願うのだった


 先にタンドさんとポンタさんがドライアドのトンネルを潜り、その後に俺達もイシス様の神殿近くまで道を開いて貰う。


「って、いうか~。ちょっと()き使い過ぎ~」

「あはは。今度お土産持ってくるよ」


 一昔前のコギャル風の喋り方のドライアドにお土産の約束をしてトンネルを潜りぬける。どうも変な形で元の世界の文化が伝わっている。詳しい話を神さまに問い質してみたい・・・


 万能アイテム、駄女神さまの地図で現在位置を知らべてみると、大陸の南西に位置する小さな森の辺りにいる事が判った、イシス様の神殿もすぐそこだ。大陸の西側は帝国領が広がっているのだがその南端に当たる場所だ。この辺りは余り開発が進んでいないのか集落や村などは地図上では見当たらない。


「基本的に南部と言うのは余り人が住んでおらん。魔物の発生も多いのでな態々(わざわざ)危ない所に住む事も無い訳じゃ」

「帝国に併合される前は小国群があったトコやさかい、開発も手つかずなんやな。人が少ないから魔物が多い、魔物が多いから人が住まない。って、どっちが先かは知らんけどな」


 鶏が先か卵が先かって話と同じなのか?少し違う様な気もするが・・・


 どちらにせよ、この大陸は大きさに比べて人の数が少ない。豊かな実りも有るし態々(わざわざ)危険を犯してまで人類の生息域を増やす必要性は低い。


 魔王様の拠点・・・つまり魔族たちの住まう場所も大陸の北端にあると言われるが実際に人族でその場所に行きついたものは少ない。ローラさんが数少ない内の一人ではあるのだが、身内なだけにその凄さがイマイチ伝わらない。大森林の魔境だってそれを超えた先にも大陸は続いているがその先に行ける実力のある物はいないだろうと言われている、しかしそこから帰って来たばかりだと流石に実感がわかない。取敢えずはこの大陸にはまだまだ未開の土地が残されているという事だけは何と無く理解した


「ふ~ん。でもイシス様の神殿ってなんでまた、こんな辺鄙(へんぴ)な所に有るんだ?」

「あぁ。それは色んな説が有るからハッキリとは判らないのよ。戦争に魔法や魔道具が使われる事に嫌気がさして人族と距離を取っているとも、魔王を封印する為とも言われてるみたいね」

「って、魔王様封印されてないじゃん。この間うちで飲んだくれていたよね?」


 ローラさんの盟友(飲み友達)でもある魔王様。自称平和主義の彼女、実際に話をした感じでも世界征服なんて考えるようなタイプじゃない。というか彼女なら理想的な統治を行いそうだ。


 そんな魔王様が神々に封印されるような事態になっている訳が無い。唯一の被害はローラさんとの飲み比べ位のものだ。イシス様が魔王を封印しているなんてどこから出た話しなんだか・・・


 まぁ良くは判らないがイシス様は人族とは距離を取っているのは間違いない様だ。しかし彼女も俺達、使徒とはコンタクトは取りたいようなのでこちらとしても渡りに船だ。邪教徒達の召喚魔法や転送魔法の対策も有るしローラさんもイシス様と話したい事が有る様なので丁度いいといえば丁度良かった


 馬車で女神さまの神殿へと進む。辛うじて道のような物が残ってはいるが藪が侵食し始めているので人通りが絶えて久しいのが判る


「前に神さま(ゆかり)の神殿って観光名所になっているって聞いたんだけどな」

「神さんにも色々あるんやろ。自宅が観光名所なんてゾッとするわ」


 シトールさんの答えに納得もする。ユースティティア様みたく町の住人の為にっていうツンデレ属性や、キュベレー様のようにマイノリティ保護の為になど理由が有るからこそ観光名所でも我慢できているようだ


 自意識過剰なくらいじゃないと勤まら無さそうだ。そう考えるとこ神さまってのも結構大変みたいだ。


 そんな事をみんなと話しながら、街道と言うには怪しくなってきている道を進んで行く。ようやく見えてきた神殿は案の定、草に覆われた廃墟になる寸前の建物だった。レシェフの神殿でさえ三日に一度は八柱教団の人間が来ていたのに、ここにはそれすらも来ていないようだった


「流石に酷いの・・・」

「先ずは草刈りですかね・・・」


 ローラさんと伶が神殿の有り様に呆れている。街道から神殿に続く部分、参道と言えば良いのか、本来はきちんと整備されている筈の道がすっかり草と藪に覆われてしまっている。辛うじて神殿は見えているのだが入り口は見通せない状態だ


「シトールさん出番ですよ」

「なんでやねん。ワイだけでどうにか出来る訳ないやろ」

「ナティさんに言われたんじゃなかったんですか?」

「あくまでもサポートや。草刈りまで言われてへんで」


 確かに。ジト目でシトールさんに返されてしまう。ナティさんの名前を出せば楽を出来るかと思ったのだがそうは問屋が卸さない様だ。


「大丈夫です。こういう時は私にお任せです」


 腰に手を当て薄い胸を反らしながら、フンスーと言った感じで鼻息荒く立候補したハルカさん。精霊魔法で草や藪が道を開く様に別れていくのを見ると、流石ハイエルフだと感心してしまう。タンドさんの様に万能では無いものの、植物や風と言ったエルフと相性のいい精霊達は素直に従ってくれるそうだ


 魔境の探索ですっかりエルフらしさを失っていた彼女だが、そこは流石にハイエルフ、能力と言うかカタログスペック的にはやはり素晴らしい物がある。これで天然&オニクスキー(大食い)属性さえなければ・・・


「なにか御不満でも?」

「い、いや別に・・・」


 おっと、考えが顔に出ていたのかハルカさんにまで睨まれてしまった。この辺りやはり女性は怖いと再認識してしまう


 ハルカさんの追及から逃れる為にも率先して先に進む。草や藪で出来た通路を抜ければ神殿の入口だ。流石に罠なんてある訳じゃないし問題なく到達できる


「汝、この扉開くべからず」


 内部へと続く扉に張り紙が貼ってある。紙の様子からだいぶ前に張られたものらしいのだが、誰がこんなものを張り付けたのか・・・


「まぁイシス様本人じゃろうな」

「何かの謎掛け(リドル)でしょうか?」


 張り紙を前に悩む俺達。謎掛け(リドル)だとするならば何かしらの仕掛けがあるはずだ。そう簡単に扉を開ける訳にはいかない。しかしその割には何も反応が無いのもおかしい、普通は門番だとかが返答を迫る筈だがそういった仕掛けはなさそうだ。しかも今一謎掛け(リドル)になってすらいない気がする・・・


「バーン」


 突然、内側から弾ける様に開く扉。張られていた張り紙が真っ二つに裂けてしまう


「良く来たのじゃ。久しいのう皆の衆!」


 扉の向こうから現れたのは先程話題になった魔王様


 まさか本当に封印されていたのか?いやそれならば魔王様が扉を開けるのはおかしい・・・


 眼が点になっている俺達を不思議そうに下から見上げる魔王様


「まぁ詳しい話は後じゃ。中に入ってゆっくりするのじゃ」


 相変わらずの、のじゃロリ魔王様に導かれてイスト様の神殿へと足を踏み入れる俺達だった


読んでいただいて有難うございます

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