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力を示せ

待望のバトル回です。

やっと書けたって感じですが…

 獣人の集落について一時間もしないで戦闘か…

 もうちょっと交渉とか有ると思っていたんだけど、思った以上に喧嘩っ早いみたいだな

 武器もない状態でどこまでできるか判らないけど、一応は使徒だし殺される事はないだろう

 道場の百本組手のつもりでやってやるさ


『智大、獣人で範囲魔法を使うような相手はいないはずよ。魔道具で魔法を放って来るだろうから早めに相手に近づいて接近戦に持ち込むのよ。』

『あと、獣人は獣化という特殊能力があるからそれを使ってくるはず、身体能力が上がるから気を付けてね』


 伶が腕輪で念話を送ってくる。

 魔道具の魔法と獣化に注意ね。後ろ手にピースサインで伶に了解の意を示す


『智大のスキルは戦闘系ばかりだから、集中すればどれでも勝手に使えるはずよ』

『ケガなら後で治せるから即死だけはしないでね』


 洞窟の内部が明るくなる。誰かが魔道具の明かりを点けたみたいだ

 広さも高さもかなりあるし足場も悪くない。これなら素早さを生かした戦闘ができるな

 ギャラリーも集まってきて周りを囲む。中央にポンタさん、その前に四人ほど集まっている後ろにも三人いる

「ふむ、そちらは一人か…手加減せんぞ」

(あれ!?一対一じゃないの?)

「力を示せと言われた以上、使徒の力を判らせてあげましょう」

(ちょっと待くださいよ伶さん。同時に多数相手なんて聞いてないよ!)

「それではいくぞ」


 始まった以上はしょうがない。伶の言うように戦いに集中していく

 キィンッという音がした気がした

 急に体が軽くなり相手の事が良く見える


 前衛は耳の形から犬科と猫科の獣っぽいな。後ろは兎と猿だ、短い杖を持っているから魔道具だろう

 後ろの一人は耳がない。

 おっと、前衛の四人が変身し始めたぞ。ここは変身が終わるまで待った方がいいのかな?

 あ、でも後ろの二人の頭上にサッカーボール大の火の玉が浮かんでる

 変身が終わる前に魔法が飛んできそうだ


 それにしても周りがよく見える。これがスキルの力

 変身中の獣人まで10歩位。普段なら間合いが離れすぎだがスキルで強化された今なら…


『ドッ』という音と土煙をあげて間合いを詰める

 俺のいきなりの動きに変身を終わらせたばかりの獣人が驚きの表情を浮かべる

 もう俺は目の前だ

 間合いを詰めた勢いそのままに右肘を突き刺し、そのまま体を捻り横にいた獣人を蹴り飛ばす

 さっきまで俺がいた場所に魔法が炸裂したのと二人の獣人が俺の攻撃で吹き飛んだのはほぼ同時だった


 流石に獣人らしい反応で距離を取ろうと跳躍する人狼と人豹

 それをさせない様に、近い方にいた人狼を追いかける俺

 刹那、上方からの気配を感じた俺は咄嗟に横へ転がる。鷲か鷹の様な鳥の姿をした獣人が急降下しながら爪を繰り出して来ていた

 体勢を立て直す前に人狼と人豹が間合いを詰めてくる

 人狼は鋭い爪を伸ばし振りかぶった一撃を繰り出そうと、その後ろからは人狼の陰になるように人豹が低い体勢で迫ってくる

 斜め上からの人狼の攻撃をその手首の辺りに手を添え力の向きを変えてやり、その勢いを利用してクルリと身体を回し人狼の後ろから迫ってきていた人豹を蹴り上げる

 辛うじて腕をクロスしてガードした人豹は、しかし浮いた体では身動きが取れず俺の追撃の掌打を受け悶絶している


 掌打を放ったまま残心の俺と、一度間合いを取る獣人たち

 中央の羆の前には人狼と上空に鳥人。後ろに変身を終えた兎と猿がいる

(って羆!? その位置だとポンタさんだよね。服が緑で名前がポンタ…狸以外無いじゃん、詐欺だ)


 妙な事を考えてるとポンタさんが『グオォー』と叫ぶのを合図に獣人たちが動く

 人狼は四つん這いになる位、姿勢を低くして迫る。その少し前を鳥人がこちらへ向かってくる

 直感で判る。鳥人は牽制だ本命は人狼だと

 鳥人は無視して人狼を迎撃しようと俺も前に出る。案の定、鳥人はそのまま高度を取って上方へと飛んでいく

 接敵すると思った時、人狼が横に跳ぶ。目の前には無数の石礫…

 咄嗟に顔を腕で覆ってしまった。

 動きの止まった俺に横合いからの人狼、そして上方からの鳥人の攻撃を喰らってしまう。


 人狼が本命と思わせておいて、魔法を使った目つぶしか…

 見事な連携だ。ただの腕自慢ではなく訓練もしているのだろう

 このままだと苦戦すると思った俺は一つの決断をする


 服の埃を払いつつ、気を落ち着ける。

 自分のスキルをもう一度確認し、出来る事を考える

 口の中の血混じりの唾を吐きだす


「行くぞ」


 小さく自分にだけ聞こえる声で強くつぶやく


 始めの突撃よりも増したスピードで真っ直ぐ間合いを詰める

 人狼と鳥人もこちらに向かってくる


 …が二人を無視して目指すのは中央の羆、ポンタさんだ

(なんか名前がポンタだと緊迫感が薄れる)

 俺の動きが予想外だったのか、あっさりと二人を躱す。魔法も後ろで何かが炸裂した音がする

 実際4m近い羆に素手で挑むのは不安がある。できれば他の獣人を倒してからの方がいいかもしれない

 だが、力を示せと言われた以上苦戦も許されないのだ

 それに先程の攻撃を喰らってみて判った

 獣人達の攻撃力なら耐えられる。ならば、一番強そうなのを倒して力を示そう


 ポンタさんの鳩尾に勢いを乗せた肘を突き刺す。動きを止める事無く肝臓に回し蹴りを当てる

 振り下ろしてきた腕を躱し、下がった頭に跳び膝を繰り出す。

『グガァー』

 苦痛に叫びながら体を起こしたポンタさんは頭を下げる事を避け、やや下からすくい上げる様に腕を振るってくる

 スゥエーでそれを躱した俺は再び攻撃を入れる

 肝臓、鳩尾、電光、月影、天南、妙見、夜光、伏兎…人体の急所へと的確に攻撃する

 羆の分厚い毛皮と皮下脂肪に阻まれダメージが通っているか不安が残る


『迅雷』


 なんとなく頭に浮かんだ言葉をつぶやく…

 瞬間、俺の体がぶれた。

 凄まじいまでの速さで紫電を纏った俺は幾つかの残像を残しながら攻撃をする。

 掌打を、拳を、肘を、蹴りを急所へと入れていく

 ポンタさんが振りかぶった腕を苦し紛れに振り下ろす

 その狙いも定まっていない腕を掴み身体を廻しながら、ポンタさんの勢いも利用して一本背負いの要領で投げ飛ばす


『ズドーン』

 地響きが響き、それが静まると周りのだれもが言葉を呑んだ

 急激な速度アップで荒れた呼吸を隠しながら、ポンタさんの顔を見下ろして告げる


「これで力を示せたかにゃ」


 …噛んだ


読んで頂いて有難う御座います。

またちょびっとブクマが増えた。嬉しいです

こういうのが創作のエネルギーになるのですね。ありがとうございます


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