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スラちゃん進化!

 熟成肉の宴の余韻が残る門番の部屋、一夜明けてもスラちゃんの進化は継続中だ。始めは七色に発光していたりしていたスラちゃんだが、時折プルプルと身体が震える時が有る位で今は落ち着いている感じだ。


「おはよ、智大君。昨日は楽しかったね」

「おはようございます、タンドさん。まさか迷宮内で宴会になるとは思いませんでしたよ」


 苦笑いを浮かべつつ答える。そう熟成肉の味わいに気を良くしたシトールさんが取り出したお酒、それをキッカケに酒盛りが始まってしまい結局は宴会状態になってしまっていた。他の皆は熟睡中なのだが、スラちゃんが気になった俺はあまり飲まなかったので一番に起きれた訳だが、目の前のタンドさんは結構飲んでいた筈なのだが何とも無い様だ。・・・こういった宴会にも慣れてる辺り陰で何やってるか判らない人だな


「迷宮か。結局その正体は何なんだろうね~?」

「そうですね。出入りの門は閉めてますけど襲ってくる様子も無いですし、キャンサー退治の御礼って事なんですかね」

「そうだよね~。少なくても何らかの意思は持っているようだね。長生きしていても知らない事は沢山あるもんだね」

「年寄り臭いですよ・・・」

「だって年寄りだもん」


 ゴホゴホと咳き込む真似をしながら、(おど)けるタンドさん。偉ぶらず俺達の目線で話してくれる姿に理想の上司とはこんな感じかと未体験の事ながら思ってしまう。


「おはようございます。二人とも早いですね。今朝食を作りますね」

「あ~無理しなくていいよ。伶ちゃんも遅かったんだから皆が起きるまでゆっくりしようよ」


 もぞもぞと起き出した伶にも優しい声を掛けるタンドさん。フェミニスト全開の言葉に苦笑いしつつも甘えさせてもらう伶も交えつつ雑談をしながら時間をつぶしていく


 そうこうしていると、獣人コンビが起きだして来て話の輪に入ってくる。色物コンビはまだまだ夢の中だ。涎を垂らしながら「グフフ。お肉・・・」と呟くハルカさん(オニクスキー)と「か、堪忍や・・・」と(うな)されてるシトールさん・・・多分ナティさんに怒られてるのだろう


「まだ起きないようじゃな。先に朝食にするかの」


 苦笑いを含みつつローラさんが促すと、サッと立ち上がり竈に火を入れ準備に取り掛かる伶。散々飲み明かした後なので軽い朝食で済ませるつもりだろう、手早く調理を進めて行く様子が後ろからでも判る


 元の世界では二日酔いにはシジミの味噌汁が定番だったが、海沿いでもなければこの世界にシジミは流通していない。ましてや魔境で手に入る筈も無く、普通の味噌汁と軽く握ったおにぎりが出てきた。


「ふ~この味噌汁だっけ?獣人さん達の料理だけど癖になるよね~」

「ふむ。エルフの里では出ないだろうな」


 確かに味噌汁とエルフの組み合わせと言うのもあまり聞かない。元の世界のエルフのイメージと言えばどうしても呪われた島の彼女を思い出すのだが、実際に合ってみれば色々なエルフが居る物だと思ってしまう


 おにぎりと味噌汁を食べるエルフ、同席するのは熊と狐の獣人。しかも迷宮の中で宴会明けの朝食中なのだから、考えてみればなかなかシュールな光景だ。


「いい匂い・・・お腹すきました」


 モゾモゾと起き出したハルカさん、匂いで起き出す辺りが食いしん坊の面目躍如だ。ついでとばかりにシトールさんを蹴り起こす処は見なかった事にしておこう・・・


「グフッ。なんやエライ目におうた気がするで・・・」


 取敢えず味噌汁を口にしながら呟くシトールさん。(うな)された上に蹴り興されたのだから当たり前だろう・・・


 朝食も取り終えて頭がスッキリした所で、改めてスラちゃんの様子を窺う。


「魔力がだいぶ大きくなってきてるの。この分だともう少しで進化の眠りから覚めるじゃろ」

「は、早くないですか?三日三晩とか掛からないんですか?」

「うむ。ナティの薬も飲んでおるしこれだけ魔力が濃い環境じゃ、丸一日と考えれば十分じゃろ」

「兄さん。因みにその三日三晩の根拠は有るんか?」

「何と無く・・・」

「って、何と無くかい!」


 だって大変な事とかって昔から三日三晩って言い回しが多いじゃないか。別の世界で魔王になったスライムだってそれくらい・・・おっと誰か来たようだ





 ____________________________________________________________



 ・・・とは言え結局お昼を過ぎてもスラちゃんは目を覚ます事無く、偶にプルプルと震えるだけであった。時間を持て余した俺達は宝箱から出た武器を使って模擬戦をして過ごし、伶はブルーベルの調整、ハルカさんとローラさんはお昼寝と銘々時間をつぶす事に専念していく


「なぁ伶。」

「何?智大」

「こんなに平和な世界なのに、邪教徒達って何が不満なのかな?」

「そうね・・・結局は認めてくれる仲間。そんな人達に恵まれなかったのかもね」

「そんなモンかな?」

「一人でも理解してくれる人がいて、それに満足できたなら世界を壊すような事はしないでしょうね」


 二人で肩を並べながら話していく。確かにどこの世界に移ろうとも伶が傍にいるのなら、それだけで生きていける気がする。


 恨みや嫉み、現状への不満。そんな事が有っても普通は世界を壊そうと、いや壊す可能性の有る行動を起こそうとはは思わない。何故なら大切な人が共にある世界なのだから。きっと奴らにはそう思える身近な人がいないのだろうなと、ぼんやりと考えてしまう


「あ~またイチャコラしてる。迷宮内では禁止です~」


 昼寝から起きたハルカさんの抗議の声が部屋の中に響く。迷宮内で昼寝していた人に言われたくは無いものだ


 と、その時一際輝く光がスラちゃんを包み込む


「きゅう~♪」


 遂に進化の眠りから覚めたスラちゃんがそこにいた。ナティさんから貰った魔石も含めコツコツと溜め込んだ魔力と進化用に調合した賢者の石とエリクサーまで入った薬をもって遂に進化の頂に到達し、更に魔力の強い環境で進化の眠りに着いた事で、必要十分な魔力を得たスラちゃんの姿は・・・


「変わっていない?」

「きゅ?」

「なんも変わってへんな」

「はい。そのまんまです」

「き、きゅ~!?」


 皆にその姿の変化に気付いて貰えなくて冷や汗を掻いているスラちゃん。いやスライムは汗を掻かないのでそう見えるだけだが・・・


「待て待て。内包する魔力が桁違いじゃ。とてもスライムとは思えんぞ。試しに変形してみよ」

「ききゅ!」


 ローラさんに言われて変形するスラちゃん。身体を一伸びさせると目の前には俺と寸分違わぬ姿のスラちゃんが現れる。流石に質感とかはスラちゃんのツルスベな感じのままだが変形と言うよりは変身といえるレベルだ


「やはりの。スライムは基本魔力で身体を動かしておる。その魔力が強く成ったのならばかなりの事が出来る筈じゃ」

「ふ~ん。それじゃスラちゃん。自分の身体を硬くできるかい?」

「きゅ!」

「そのまま、壁に突撃だ!」

「きゅ~きゅ!」



 ドゴ~ンという轟音と共に穴の開いた壁に皆の眼が点になる。魔力が強く成るだけで此処までになるとは思っていなかった・・・


「きゅ♪きゅ♪」


 嬉しそうなスラちゃん・・・


 しかし、なんかとんでもない事をしてしまった気がする・・・



寄り道したり、話が纏まらなかったりしましたがスラちゃんやっと進化しました!

次話で更に驚愕の事実が・・・あるかも?

いや、無いです。ごめんなさい


読んで頂いてありがとうございます

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