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進化の始まり

 さて、まずは宝箱の中身を見てみる事にした。それにしてもこれだけの宝箱が有ると中々に壮観である普通は一個しか出ない物だし。宝物庫だって態々(わざわざ)宝箱を並べたりはしない


「それじゃあ順次開けて中身を確認していこうか」

「はいです!」


 タンドさんは純粋にイベントとして楽しむつもりのようだ。ハルカさんは中身と言うよりも何が出てくるかというドキドキが好きなようで、開けた後にはそれ程興味を示さない、逆にシトールさんは中身が大事な様で正しくお宝に目がくらんでいる状態だ


「ほう。これは素材じゃな・・・それにしても沢山あるのぅ」

「これはセット分じゃないですか?」


 シトールさんがハズレ当たりとまで言った宝箱の中身・・・それが素材だったのだが、全種類コンプしてしまえば追加効果が発生するので十分当たりと言えるだろう。しかも解析鑑定を持つ伶がいるのだからその正体や加工方法も判るだろうしお得感が満載だ


 その他に出てきたのは、各種防具と武器にアクセサリーの類か?


「う~んこのレイピアはいいね。あまり金属を身に着けると精霊が嫌がるんだけどこれ位なら護身具としても丁度いいかな?」

「この辺の長柄の武器はポンタさんかシトールさん用かな?」

「儂らには・・・これはローブか?それにこの辺りのアクセサリーには魔力を高めたりと魔法を使う身にはありがたい物が揃っているの」


 みんな興味津々で中身を物色している。個人個人にあった装備品なども出てきているので平等に分ける事が出来そうだ。この辺り、戦い方を迷宮に観察されていたのだろうか?良く考えられていると思う


「素材も金属系が多そうね。智大の刀も改良できそうよ」

「ああ、助かる」


 ナティさんに防具も貰っているし俺は今回のお宝は遠慮しておこうと思ったのだが、伶の好意は受け取っておこう。ブルーベルもリビングアーマーが残した武器を貰うようだ。鎧もサイズ調整して装備出来るようなのでアップグレードには丁度良い


「なんかこの装備一式で追加効果有りそうなのに、サイズ(いじ)って大丈夫なのか?」

「あら、それならブルーベルのサイズを弄れば良いのよ」


 納得。言われてみればゴーレムなんだから身体の方を装備に合わせた方が無難だ。武器防具全てのサイズ調整をするより、手間を考えればその方が楽だろう


「ほな、ワイはこの武器を・・・」

「駄目です。活躍していないシトールさんは余り物で十分です」

「そない殺生なこと言わんと・・・」

「ポンタさんが先に選ぶのです」


 とは言え、長柄の斧という似たような、しかし違う使い方をする武器を扱う二人なので結局はシトールさんの希望は叶う事になる


「ふむ、こっちの武器には魔法を使う際に補助があるの。シトールが持つ方が良いじゃろ」


 重さも軽量化が為されているし形状もバルディシュとは少し変わってグレイブと言った方が良いだろう。違いが判りにくいかも知れないが、長柄の先の横に大型の刃物が付いているのがバルデッシュ。此方は斧の一種で柄に対して刃物部の大きさと重さが特徴的だ。たいしてグレイブは長柄の先端部に刃物を取り付けているので形状としては薙刀に近く斧と言った印象は無い。距離を取りながら魔法も併用するならばグレイブの方が使いやすそうだ


「それでは儂はこっちじゃな」


 ローラさんがシトールさんにグレイブを手渡したので残ったハルバードをポンタさんが手に取る。重厚な作りのそれは見るからに重そうなのだが、気にした様子も無く軽々と振ってみせている。先端は突き刺す事も出来る槍の様に鋭く、斧の部分は幅広で丈夫そうだ。斧の反対側には小型の(やいば)が付いており多様な使い方が出来そうだ


「しかも、属性が付与されてるね。火属性のハルバードなんて初めて見たよ」

「ふむ。武器に火属性は相性がいいからの」


 抑々(そもそも)武器自体が少ないこの世界だが、逆に属性付きや魔剣の(たぐい)などは多く保存されている。単純にお宝としての価値が有るので宝物庫に仕舞われていたり、美術品として飾ってあったりする。


 戦闘時に壊れる可能性や習熟に時間のかかる武器よりも、単純に威力の高い魔法や魔道具の方が重宝されたため武器を使う事、いやその存在さえも忘れられた世界であるが故に一般的な武器は消え去ったが、価値ある物という意味で魔剣や属性付の武器だけが残ったのだ。


 使える者がいない武器・・・ある意味平和になったこの世界を象徴するものかも知れない



 さて、いよいよ今回の旅の目的、大森林の魔境まで旅をしてきた理由であるスラちゃん進化に取り掛かろう。魔法の鞄からナティさんから貰った魔石を取り出す。階下から流れ込んでくる魔力に反応するように一層の輝きを増して・・・る訳では無く、単純にスラちゃんの進化が楽しみ過ぎて、いつも魔石を磨いていた結果だ


「よし。スラちゃん。いよいよ進化できるぞ。この魔石を食べてくれ」

「きゅ!」


 俺が差し出した魔石にスラちゃんが手を伸ばそうとした時・・・


「智大様。少々お待ちください」


 何も無い所からいつもの様にナティさんが現れる。


「進化の前にもう一度、これを飲ませてあげてください」


 この前貰ったのと同じ小瓶を差し出すナティさん。バフォメットとの戦いで魔力を消費してしまった事と、以前飲んでから時間が経ち過ぎている事への配慮らしい。


「ありがとうナティさん。この為に態々(わざわざ)来てもらって助かります」

「いえ、その為だけでは・・・」


 言いよどむナティさん。どうやら何かのついでだった様だ。


「少年。忘れているようだが、ナティは報告をしに来たのだと思うぞ」

「報告?」

「あちゃぁ~。兄さんまさかホンマに忘れとるんか」

「智大君、流石に心配になるよ・・・」

「あっ!邪教徒の拠点・・・」


 そうだった。スラちゃんの進化の為に大森林の魔境に行きたいとは言ったのだけど、邪教徒の拠点の調査の為の囮役って意味が有ったんだ。っていうか使徒としては囮役の方が重要だった・・・


「智大様、お気になさらず。発端は進化の事でしたから」

「なんか、すいません」

「きゅう~」


 スラちゃんも一緒に謝ってくれる。基本的に俺に優しいナティさんだが、流石に面倒事だけ押し付けている様で申し訳なくなってしまう・・・が、それはそれで早速貰った小瓶をスラちゃんに渡して進化の準備を進めよう


「それじゃあ、スラちゃんこの上に登ってくれるかな」


 タンドさんが、進化用の台座を作ってくれた。階下からの魔力が効率よくスラちゃんに吸収される様、階段に続く開口部を土で覆って台座の上に魔力が直接来るようにパイプ状に配置してくれる


「きゅきゅきゅ♪」


 ご機嫌で台座の上で寛ぐスラちゃん。磨き上げた魔石を与えると、そのツルスベな身体が眩い光を放つ。神さま達に招待された時と同じような白い光が辺りを満たし、それが収まると台座に乗るスラちゃんが不定形に変化しつつ偶に各色に光り輝いていく


「さて、進化が終わるまで暫く掛かるでしょう。その間に調査の結果のご報告をしてしまいましょう」


 スラちゃんが落ち着いたのを確認してからナティさんが提案してくれる。勿論それも重要なので車座に座って話を聞く事にした


「まず邪教徒達ですが、拠点には居ませんでした」

「偶々居なかったのか、もう拠点を放棄したのかは判るか?」

「どちらでもないでしょう。拠点は崩壊していましたから」

「崩壊・・・何か有ったのかな?」

「ええ、おそらくは・・・実験に失敗して魔物達に襲われたと思われます」


 ナティさんの報告は驚くべき・・・いやある意味、当然の結果かもしれないが予想とは違った結末だった


 時折、スラちゃんの進化の光が部屋を満たす中、ナティさんの報告は続いていくのであった


書いてる最中にサーバーにアクセス出来なくなって焦りました・・・

いつもは一挙に書き上げるのに、一回途切れてしまったので若干おかしくなっています


時間が無いのでそのまま投稿しますが、後で修正するかもしれません


読んで頂いて有難うございます

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