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獣人の集落

なかなか思っていたように話が進まないです

途中で幕間とか挟みたかったのに…

翌朝、俺達は獣人族の集落へ向かう馬車に乗っていた

村を出る時、ラクトリンさんは、この世界に転移したのが『ラクト村』の神殿だったと宣伝してほしいと言っていた

田舎の神殿は中央から軽く見られているらしく、ラクトリンさんはそれが悔しいみたいだ

ちなみに、約800年前にこの神殿を造ったのがラクトという名前で、そのまま村の名前になったそうだ

神官も代々ラクトの名前を継いでいくらしい


(ラクト+リンか…何とか星出身のお姫様とかの裏設定とかあったりして)

「っ痛!」


村を出た時を思い出しながら考え事をしていたら、車輪が石を踏んだ衝撃で体をぶつけてしまった

てっきり馬車も魔道具で移動もスムーズだと考えていたら、普通の馬車だったのだ

何でも、魔道具で馬車の様な物も有るらしいのだが、魔力の消費が大きいので長距離の移動は出来ないらしい

それでも、貴族達は複数の御者を使って移動するらしいが、こんな田舎では普通の馬車の方が便利だと神官さんが教えてくれる

通行料を取るような交易路とかはきちんと整備されているが、村々をつなぐ道は凸凹だからしっかり掴まっていてくださいと声を掛けてくれる


『なぁ伶、なんで魔力が強い人を探しに行くんだ?』

『今の私達に一番足りて無いものだからよ』


さりげなく腕輪を合わせながら声に出さず会話する俺と伶

実はこの腕輪の機能に装着者同士の会話という機能が有った。

昨日、女神さまから貰った本を調べていた伶が腕輪の説明書を見つけていたのだ

始めそれを聞いたとき、ファンタジーの世界で説明書って違和感を感じて何とも言えない気分になったのだが…

取敢えず違和感を横に置いておいて、色々試してみたら伶が俺に話しかける分には離れていても大丈夫なのだが、俺から伶には伝わらないので腕輪を合わせる必要が有る事が判った

ちょっと不便だが内緒話をするには十分だ


『世界に危機を救うのに魔法がどれだけ役に立つのか判らないけど、無いよりは有った方がいいわ』

『うまく仲間になってくれるといいんだけど…』

『駄目なら駄目でいいわ。信用できるかも判らないし役に立ってくれればいいのよ』


うわ!出たよ伶の排他主義。

こいつ元の世界でも『ドS』とか『人見知り』とかのスキル持っていたに違いない

でも不思議なんだよな…


「もう直ぐ獣人たちの集落に着きますよ」


御者台から、神官さんが声を掛けてきたので考え事をやめて前を見てみると柵に囲われた集落が見えてきた。

集落といってもラクト村と規模は変わりなく見える

柵の前に立っている見張りであろう二人の前に馬車を止めると神官さんが話しかけている


「獣人の長が会ってくれるそうです。これが司祭様からの紹介状なので長に渡してください」


どうやら神官さんが見張りの獣人と話をつけてくれた様だ。

ここから先は彼らが案内してくれるようだ、神官さんは別れの挨拶と励ましの言葉を告げて馬車を村の方へ走らせていった



案内の獣人さんの後ろを歩きながら周りを窺う

建物は漆喰の壁に藁ぶきの屋根。服装は袖なしの単衣羽織に袴の様な物を身に着け、お尻の上から尻尾を出している

長さんの屋敷も靴を脱いで入って下さいとか言われたので、もう完璧に和風な世界だ

通された部屋で正座して待っていると、長が入ってきた


「私はレイ・タナカ、レイとお呼び下さい。これがラクト村の司祭様からの書状です」

「トモヒロ・クロカワと申します」

「ほほう。使徒殿は我ら獣人の作法を良く知ってらっしゃるようですな。長のポンタと申します」

(あっこいつ狸だ。丸い耳に着物も緑、名前もポンタだしこれで狐だったらおかしいだろ)


ポンタさんは、少し横に大きな体で上座に座るとラクトリンさんからの書状を読み始めた

フムフム言いながら読んでいる姿を見て疑問に思う

あれ!?長が男!? この世界は男女逆転だから長は女性になるんじゃないのか?


「ふ~、ラクトリンも悪い娘では無いのだが話が一方的じゃの。ローラを仲間に出せと言ってきたか…」


少しタプタプした顎をさすりながらポンタさんは思案している


「使徒殿よ、儂ら獣人族は他の種族ほど神々を敬ってはおらん。神話も伝わっておるし、その存在を示すものもあるので疑ってはいないが現実的に何かしてくれる訳でもないのでな」

「その辺りの事情は存じております」

「ほほう、使徒殿は物知りじゃの。」

「はっきり言って魔力の弱い儂らは虐げられておる。その儂らにとってローラという存在は切り札なのじゃ」


何故、この大陸で一番魔力が強い人が獣人族なのかは判らないが、他種族に対して獣人にも魔力が強い者も居るんだぞという牽制になる。

基本的にこの世界は平和だが、他の種族から攻撃されないとは言えないのだ

ポンタさんにしてみれば、自分の集落だけではなく獣人族全体の問題であり、大した事もしてくれない神々より大事な存在なのだろう。

その存在をどんな危険があるか判らない事に同行させたくないと言いたいのだろう


「人間族や妖精族は神々を敬う傾向が強いと聞きます。ならば使徒の名において獣人族の保護を宣言いたしましょう」

「ほ~う 獣人族を守るとな…おもしろい。 如何に使徒といえど所詮人間族、守るというなら力を示してもらおう」


先程までの好々爺といった雰囲気ではなく、明確な威圧と敵意を放つポンタさん

ポンタさんが手を叩くと、襖の向こうに控えていた若者が出てくる。

若者に何か指示を出すと、場所を移すから付いて来いと俺達に告げる

ポンタさんは無言で屋敷を出ると裏手にある洞窟の様な所へ案内してくれた


「ふむ、ここなら多少暴れても問題あるまい。」

「使徒殿よこれから我らの腕自慢が集まる。見事倒してみろ、そうしたら話を聞いてやる」


てっきり伶が交渉して話を纏めると思っていたら、まさかのバトル展開になるとは…

でも、ここでこの世界で俺の力が役に立つのかを試すにはいい機会だ

伶に養ってっ貰うのも捨て難いが、その前に役立たずの汚名返上の機会だと思ってぶちのめしてやる


ちょびっとブクマが増えました。かなり嬉しいですありがとうございます



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