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不気味な胎動・・・

昨日は失礼をしました。どうやら寝不足がつもり重なった事での怠さと

肩凝りからくる胃腸の異変が原因だったようで、一晩眠ったらだいぶ良くなりました


繁忙期で話しのストックが減る一方だったので夜更かししての作話作業が原因か・・・

単純に無理の効かない年齢になったという事か・・・

 昨日の夕食で出た牛肉?はちょっと想像と違う物だった。ほぼ赤みだけで脂肪が無い分甘みは少ないのだが、その代わりに非常にサッパリしていて筋肉の塊を食べるという歯応えと野性味あふれる味わいはお肉本来の味を楽しむという点で満足する物だった。霜降りが持て囃されていた元の世界では御目に掛かる事が少なかった気がする。・・・もっとも本当の高級肉は食べた事は無いけど


 珍しくローラさんが手を貸してくれたので、魔法を使った強火で一気に焼き上げ肉汁を中に閉じ込める事が出来た上に、タンドさんが提供してくれた秘蔵の塩が絶妙なアクセントで非常に満足できるものだった。ハルカさん(食いしん坊)も食べた後にお腹をパンパンにして仰向けに寝転がる位に満足したようだ。その姿にエルフに対する幻想は砕け散ってしまったが・・・


 という事で、オーク肉の時と同じく朝食もハンバーガー(もどき)が出てくる。挽肉では無く、厚めに切ったお肉をレタスと一緒にサンドする方式だが、歯応えと溢れる肉汁がパンに良くマッチしていて満足の出来るものであった


「ふ~今日はお肉出てきますでしょうか」

「もう次の食事の心配?。今、朝食を食べたばっかりだよ」


 流石に(たしな)めるタンドさん。エルフもお肉は食べるらしいのだがハルカさん(食いしん坊)程のオニクスキーは珍しい様だ。不満と恥ずかしさで不満の方が勝ったハルカさんが憮然とするのを全員が苦笑いを浮かべながら見ていた


「そういえば、このメイズキャンサーはどうします?」

「ふむ。一応始末しておくべきじゃな。どれ試してみよう」


 ローラさんがそういうと擬態しているメイズキャンサーに魔法で攻撃してみる。(わざ)と弱めに調整して弱点を探るように様々な攻撃魔法を試すつもりらしい。その結果、炎で焼き尽くすのが一番手間が無い様だ


「斬り裂こうとすると飛び散るし潰すのも駄目じゃな。凍らせてみるのも手かもしれんが、まぁ焼き尽くすのが一番の様じゃ」

「食べられます?」

「そやから、なんでも食べようとしたらあかんて」


 人間の癌もレーザーとかで焼いた方が転移しにくいとか聞いた事が有る。いや、あれは出血が抑えられるからか?俺の医療知識なんてスーパーな医者か黒い医者が情報源なので正確な情報かどうかまでは責任が持てない。ともあれローラさんが焼き尽くすのが良いと言うならば、それが正しいのだろう


 メイズキャンサーの弱点探しで出発が遅くなってしまったが、階下に進む事にする。朝食も食べ過ぎたハルカさんが動けなかったので丁度良かったのは内緒にしておこう・・・


「この階もお肉出ますでしょうか?出来れば鶏肉だと嬉しいです」

「ホンマ食べる事ばっかりやな」

「う~ん。残念だけどハルカちゃん、お肉は無理だと思うよ」

「そうね出るのは多分・・・」


 伶が言いかけた時前方から現れたのは大蜘蛛の群れだった。昨日の門番よりは小さいがそれでも人間と大きさの変わらない大きさだ。しかしハエトリグモの様に何処か可愛い姿をしているので嫌悪感は少ないが、その素早い動きと天上や壁も使った三次元的な動きはかなり厄介だった。しかし結局はローラさんの範囲魔法で簡単に倒されてしまう。種族的に魔法に弱いのか、魔力が不足して魔法を防げないのか判断が付きにくい所だが楽が出来る分には問題ないだろう


「ふ~ん。門番の眷属が次の階のガーディアンって事か・・・」

「普通は逆の様な気もするけどな」


 確かに普通は雑魚キャラの上位種が、その階のエリアボスって方が納得できるんだけど何でなんだろう?何か理由が有るのだろうか・・・


 そんな事を考えながらも探索は進んで行く。結局は地下四階でも魔力や門番の強さが変わる事無く呆気なく倒してしまう。メイズキャンサーのお蔭で楽が出来ているとは言え随分簡単に進めてしまう。出発が遅れなかったら、そのまま地下五階に進めた位だったのだ







 結局、地下七階まで進んでもメイズキャンサーの親玉は見つからず、魔物達の強さも変わらずに呆気なく進む事が出来てしまった。


「そろそろ保存食が残り少ないですね。まだ先に進むようだと帰りの分が心許無くなってしまいます」

「ふむ。節約と言っても、あれを食べる気にはならんしな」


 目の前には今倒したばかりの巨大なムカデが転がっている。次の階の魔物達がこれになるのは勘弁して欲しい所だ。なにせ見た目が不気味過ぎる。小さい蟲系の魔物がモゾモゾ動く分には我慢できるがこの巨体で複数の奴らが出てくると思うと・・・


「獣系の方がなんぼかましやな。蟲系は勘弁して欲しいわ」


 食料問題は別にしてやはり蟲系は精神的に来るものが有る。魔物には違いないし獣系と意思疎通が出来る訳では無いのだが、獣系の方が近しいと言うか何と言うか・・・蟲系は不気味さと言うか気持ち悪いと言うか嫌悪感の方が先に来てしまうのだ。全員同じ気持ちなのだろうシトールさんの言葉に頷いているのであった


 救いは迷宮が死骸も吸収してくれることだろう。門番のムカデも魔石を残して消えてくれたおかげで食事の時も気にしないで済む。蟲の死骸を観ながら食事と言うのは勘弁して欲しかったので随分助かる


「さっさと寝て明日に備えよう。明日も手掛かりなしなら一度戻るのも考えないといけないね」

「そうだな。まずは明日に備えよう」


 社会人組の意見で早めに就寝する事にする。今迄の野営では夜襲とかは無かったのだが一応はルビーゴーレム達を配置して安全確保してからの就寝になった。何処でも眠れるというのは得な体質なのだろう。寝袋に入って直ぐに意識を手放し眠りに入ったのだった





「少年!起きろ。下から魔物が来るぞ」


 夜中にローラさんに叩き起こされる。迷宮に入ってからは昼寝をしていないというのに問題は無い様子だ。となると普段の昼寝は完璧に趣味なんだろうな・・・と、寝起きで頭が働いていないのかどうでもいいことを考えてしまう


「なんだこいつ等・・・」

「メイズキャンサー!?。なぜ急に現れた?」


 階段を転がる様に上ってくるブヨブヨした塊たち。ルビーゴーレムが持つ長い槍ではダメージを与えられないのか突き刺した槍を物ともせずに階段から部屋の中に溢れてくる。大盾で侵入を防ぐしか手が無い状態だが後ろから押されるように次から次へと湧き出してくるのだ


 そこにブルーベルがハルバードの一撃をお見舞いする。斧の部分で斬り裂くと言うよりもバットの様に振り回してメイズキャンサーを吹き飛ばす。それを見たポンタさんとシトールさんも同じようにして吹き飛ばしていく。なにせ斬り裂くと小さな塊になって飛び散ってしまうので有効なのは魔法しかないのだ


「そのまま塊になる様に一か所に纏めるのじゃ」

「それじゃあ周りは僕が囲ってしまおう」


 タンドさんが部屋の中に三方が囲まれた壁を作り出す。そこに向かってキャンサー達を吹き飛ばして納めてしまい後で焼き尽くそうという訳だ。しかしキャンサー達は次から次へと湧いてきているので、このままだと部屋の中が奴らで埋め尽くされるかもしれない


「タンド!一度階段を塞げ」

「判ったよ。伶君、ルビーゴーレム達を下がらせて」

「はい。大丈夫です。タンドさんお願いします」


 半円形のドームの様な物が階段へと続く部分を覆い尽くす。同時にキャンサー達を納めていた三方を囲んでいた壁にも新たな壁が生まれ四方を囲む障壁となる。


「みんな下がれ。ポンタ。門を開けて逃げ道を作っておけ」

「おう!」


 ポンタさんが門を開けて周りを窺う。少なくても通路に避難した時に直ぐに襲われるという事を防ぐ為だ


「ローラ大丈夫だ、こっちは確保した」


 ポンタさんの叫びを聞いたローラさんが炎の塊を壁の中に放つ。そのまま炎の温度が高まる様に風を生み出して送り込む。いつか見た火炎旋風を作り出すつもりだろう、タンドさんが造った壁が高熱で白っぽく変色していく


「良し、次だ。同じように壁の中に追い込め」


 階段を覆っていたドームを取っ払い、次のキャンサー達を向い入れる。知能も知性も感じられない奴らは何も考えずに只々溢れて来る・・・こちらに対して攻撃をしてくる訳でも無くだ


 一種の不気味さ・・・意思の感じられない未知への恐怖といえば良いのだろうか


 そんな事を感じつつ、キャンサー達が壁に飛ばされるのを只見ている。


 魔法の矢と刀が武器の役立たず二人。エルフの指導者たるハイエルフと世界を救う為に召喚された使徒・・・


 これでいいのか?本当に・・・


読んで頂いて有難うございます

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