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戦い終わって~VSバフォメット

 

「スラちゃん!」


 広がった形のままで表面が焼け焦げているスラちゃんに駆け寄って手を差し伸べるが返事が無い。抱き上げるにも広がった形のままではそれも出来ずにオロオロしていると、みんなも同じく駆け寄って来る


「伶、回復魔法で何とかならないか?」

「ちょっと待って。これは・・・」


 スラちゃんの様子を調べながら言い淀む伶。あれだけの魔法ではスラちゃんも吸収の限界を超えていたであろう、焼け焦げた身体がそれを物語っている


 誰かが肩を叩いて慰めてくれる。もう諦めろって事なのか?折角進化の為に此処まで来たってのにスラちゃんが死んでしまっては何のために此処まで来たのか・・・


「スラちゃん!返事をしてくれよ!」


 焼け焦げたスラちゃんを撫でながら叫ぶが返事は無い。ポンポンと誰かがまた肩を叩く。煩いと言わんばかりにそれを払いのけて、スラちゃんのポヨスベだった身体を持ち上げ抱きしめようとするが、持ち上げるとそこから崩れ始めてしまう


「少年、落ち着け」


 崩れを落ちていくスラちゃんだった物を必死にかき集めて一つに纏めようとする。まだ失ってはいないのだ。何とか出来る筈だ・・・ローラさんが声を掛けてくれるが落ち着いてなんていられない


 再度、諦めろと言わんばかりに肩を叩かれ苛立った俺は振り返って抗議しようとして・・・


「きゅ!」

「スラちゃん?」


 そこに、一回り小さくなったスラちゃんがいた


「って無事だったの?なんで?それじゃあコッチのスラちゃんは?」

「智大落ち着きなさい。そっちのスラちゃんは分離したスラちゃんね」

「分離って・・・そんな事が出来たの?」


 いや、言われてみればスライムの増殖方法は分離が基本だった筈だ。ある一定の力を溜めたら分離をして数を増やしていくってなんかのゲームにそんな設定が有ったけど、スラちゃんにそんな気配は今迄無かった筈だ


「以前ギフトで貰った『収納』の中に溜め込んだ魔力を使って分離して智大を守ってくれたのね」

「ふむ。ナティがくれた液体も関与してるかもしれんな」


 伶がスラちゃんを抱きかかえ、(いくつ)しむ様に撫でながら感謝の言葉を投げかけていた。ローラさんも珍しく伶と一緒にスラちゃんを撫でている


「智大が愛情を持って接しているから使い魔として恩を返したのだな」

「やる時はやるんだね~漢だね、スラちゃん」


 感心するポンタさんとスラちゃんにサムズアップを向けるタンドさん・・・スラちゃんってオスなのか?


「いや~ええもん見せてもらったわ」

「あれ?いたんですかシトールさん?」

「ずっといたわ!嬢ちゃんと一緒に後ろにおったやろ!!」

「そうでしたっけ?伶さんとタンドさんが結界を作って、智大さん達が前で戦っていて私とローラさんでこっちから攻撃して・・・って、やっぱりいないじゃないですか」


 うん、そういえば確かに。・・・さてはサボっていたな


「な、なんやねん。たまたま活躍の機会が無かっただけや!誰かがワイの活躍を書くの忘れてたんや!!!」

「これはナティさんに報告しなきゃいけませんね」

「ちょ~!嬢ちゃんそれだけは勘弁してや。なんでもするさかい。なっ、この通りや」


 ハルカさんに向かって拝むように両手を合わせて懇願している。一部危険な事も口走っていたのでナティさんにチクられるのもしょうがないだろう


 そんなやり取りを眺めながら、スラちゃんの無事に安堵する俺だった


「でも折角溜めた魔力だったのに・・・ありがとなスラちゃん」

「心配ないじゃろ。この辺りでも魔力はそこそこ強いし移動中にまた溜められるじゃろ」

「そや、進化の時にちょっと時間が掛かるだけで問題はあらへんやろ。最終的には魔石も食べて貰うんやし誤差みたいなもんや」


 言われてみれば進化用の魔石をナティさんから貰っているんだった。迷宮を探索しながら魔力を溜め込んで貰って、その上で魔石を食べて進化の眠りに入って貰えば後は周辺の魔力を吸収しながら進化できるのだから、そう問題にならないか


「嬉しかったけど、あんまり心配かけないでね」

「それは私が智大に言いたいわ」


 スラちゃんにお礼を言う俺に伶がこっそり(つぶや)く様に言ってくる。ごめん少し油断していた


 バフォメットの死体は既に迷宮に吸収され残っていなかったが、宝箱が出てくる様子は無い。しかし初めに奴が(うずくま)っていた辺りに地下へと降りる階段があった。次の階への門番がバフォメットだった訳だ。一階の門番であの強さなのか・・・少し気を引き締め直さなければ


 この日はここで宿泊する事にした。バフォメットを斃しても篝火が消える事も無く明るさも維持されているし、門を閉めてしまえば魔物が侵入してくる事も無いだろう。一応階段周りにルビーゴーレム達を配置すれば下から魔物が昇ってきても判るだろう


「心配せんでも門番の部屋で野営するんは基本やからな。安全地帯みたいなもんや」

「シトールさんが言うと信用できません」

「ちょ~!嬢ちゃん。ワイこれでもあちこち迷宮に潜ってたんやで」


 すっかりハルカさんに疑われてしまったシトールさんは放っておいて、野営の準備を進める事にしよう



 タンドさんと伶が即席の竈の様な物を作り上げて、そこで料理を始めている。ノームの力で土を弄って創り上げたのか・・・案外器用だな


「ちょっとハードな一日だったからね。しっかり食べて休まないと身体が持たないよ」

「これ帰りにも使えるかしら?」

「大丈夫じゃろ。迷宮の帰りに門番と戦うなんて事は無いじゃろ」


 ナティさんが一度、探索してる筈だから門番は一定期間でリポップするのは間違いないと思うが、それでも帰りにもう一度戦うようにはなっていないだろう。幾らなんでもそこまで意地悪ではないと迷宮の良心を信じたいところだ


 竈からご飯を炊いている匂いと、大鍋から美味しそうな匂いが漂ってくる。あぁご飯まで炊いてくれているのか・・・大鍋は何かのシチューかな?門も閉めているので余計に匂いが強く感じられて腹ペコ状態の俺には刺激が強すぎるくらいだ


「うん、もう少し待ってね。ってちょっと摘み食いしないの!」

「えへへ。伶の飯は美味いからな」


 竈の所に作った簡易のキッチンで調理している伶の眼を盗んで摘み食いをする。声の割にはあまり怒っていなくて褒められて満更でもない様子の伶


「迷宮の中ってのを忘れてへんか?あの二人・・・」

「まぁ、良いではないか。もう今日はゆっくり休むべきじゃろ」

「グゥヌヌ。イチャコラしやがって」

「ハルカちゃん・・・黒い物が出ているよ?」


 残りのメンバーは微笑ましい物を見る目で見つめながらも放置してくれるようだ


 一部モヤッとした黒い物を出してるメンバーもいるがスルーしておこう


 食べる専門で調理の方はからっきしなのが最近分かったので、それ以来伶がほぼ一人で調理を担当してるのだから抗議も出来ないのだろう


 スラちゃんも無事だった事だし、取敢えずゆっくりとした夜になりそうであった・・・


ちょっと安易だったでしょうか・・・

しかしスラちゃんを死なせる訳にはいかないのです!


読んで頂いて有難うございます

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