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スラちゃん特攻!

投稿する時に気が付いたのですが、前話で丁度100話でした。幕間も有るので本編ではもう少し先ですが良くここまで来たなと感慨深いものが有ります


此れも一重に読んで頂いている方のお蔭だと思います。これからも宜しくお願いします

「行きなさい」

 指示を出し終えた伶が短く命令すると、ハルバードを立てて敬礼するような仕草を取ってから、ルビーゴーレム達を引き連れて部屋に突入していくブルーベル。一度部屋は出たのだが入り口付近に俺達がいるからだろう悪魔バフォメットは警戒態勢を解いていない


 濃密な瘴気の中を物ともしないブルーベル達はバフォメットを取り囲む様な配置で対峙しようと動いている。正面にブルーベルがハルバードを牽制するように振るい、ルビーゴーレム達は少し距離を置きつつ周囲を囲むつもりの様だ


 正直、バフォメットの纏う雰囲気からしても彼等だけでは相手にもならないであろう。唯一ブルーベルならば打ち合えるかも知れないが、相手は魔法も体術も上位の相手だ。時間稼ぎが限界なのでは無いかと思ってしまう。


 伶にはブルーベルに時間を稼がせている間に瘴気を何とかする考えが有るのだろう。タンドさんとの協力という事で想像も付かないが、今は伶の考えとやらが頼りだ。


 錫杖をハルバードで打ち払いアンクから放たれる衝撃波は自慢の防御力で防いでしまうブルーベル。そのまま間合いを詰めて渾身の一撃を振るうが、しかし片手で待った錫杖に軽く打ち払らわれてしまう。ブルーベルに瘴気の影響が無いのを見て取ったバフォメットは、錫杖での攻撃に魔法での攻撃を加えてくる。サファイアと金属を錬金術で融合させた身体は魔法にも高い防御力を誇るが、バフォメットの放つ魔法はそれを見越した様に衝撃で体勢を崩す様な物ばかりだ。


 崩した体勢でも何とか錫杖での攻撃を捌き続ける。ハルバードを斜めにして受け流し、時には大きく振って正面から弾き飛ばしているのだが、ブルーベルの身体でも砕きそうな錫杖での一撃には禍々しい瘴気と闘気が渦を巻き、ハルカさんが放つ援護射撃も有って何とか致命打は避けているような状態だ。


 此方の動きを学習するかのように、ハルカさんの矢にはアンクの衝撃波で対応しブルーベルが受け流そうとすれば打撃の軌道を急に変えたりと嫌らしい攻撃を放ってくる。片手で放ってくる攻撃に少しづつ力を込めブルーベルの限界を測る様にしながら、楽しむ様に山羊の獣頭は下卑た笑いを張りつかせている。恐らく甚振る様にして少しづつブルーベルを追い込んでいくつもりの様だ


「いいよ、こっちは準備できた」

「行くわよ。ブルーベル準備を!」


 叫ぶ伶の言葉に力付けられたかの様に、身体の前でハルバードを構えそのまま力押しでバフォメットに突っ込むブルーベル。周りをグルリと囲んだルビーゴーレム達の中心まで押し返した瞬間・・・


 部屋の中に碧い光が広がる。光は円形状に配置されたルビーゴーレム達から立ち上っている。紅い身体から噴き上がる碧い光は円の内部にも複雑な文様を受かびあがらせる。タンドさんが精霊の力を使ってルービーゴーレム達を繋いで作った魔法陣。そこに流されたのは伶の回復魔法を応用した破邪と浄化の魔法


 解毒や解呪と言った回復魔法の複合魔法。普段から魔術として原理を解析している伶だからこそ出来るのであろう。ローラさんが放つ攻撃魔法の複合を参考に、回復魔法での複合魔法を開発したのだろう


可憐悩殺撃滅波(セクシーショット改)


 伶が高らかに叫ぶと魔方陣から立ち上る虹色の光・・・


「ってそれも参考にしてるのかい!」


 思わず突っ込んでしまった・・・アッティスさんがこの場にいれば喜んだかもしれないが、まさかこの場であの技が出るとは思わなかった・・・一気にシリアス先生が遠ざかっていく気がする


「智大!行くぞ」

「は、はい!」


 呆気に囚われたがポンタさんの声に意識を引き戻す。部屋の中を見れば魔方陣からの光が瘴気を浄化しただけでは無く、バフォメットが苦しそうに呻いている。お返しだとばかりにブルーベルが攻勢に出ているが、苦しみながらも弾き返すバフォメット。しかし魔方陣に縛られている為、後退も出来ない状況の様で獣頭の表情は苦々しさで染まっている


 ブルーベルで死角になっていた部分からポンタさんが飛び出し同じくハルバードでの一撃をお見舞いする。死角と言っても巨体故に確認できていたのだろう、バフォメットはアンクからの衝撃波で迎え撃つが、更にポンタさんの影から飛び出した俺の抜き打ちには対応できなかった様で脇腹を斬り裂かれる。どうだ、ジェットストリー・・・いや、やっぱりやめておこう


 そのまま通り抜ける様に斜め後ろに陣取った俺とポンタさんがいつもの様に三角形の包囲陣を造り、死角からの攻撃でダメージを加え様とする。しかし、右手の錫杖と左手のアンクからの衝撃波、そして魔法を駆使した攻撃で何とか踏みとどまる辺りは、A級魔境の迷宮の門番に相応しい実力だろう。


 獣頭はブルーベルを見据えているのに、後ろからの俺の攻撃にも反応して錫杖を放ってくる。ブルーベルの身体をして何とか受け止めていた一撃だ。真面(まとも)に刀を合わせた俺は後ろに大きく吹き飛ばされる。ポンタさんには苦手な魔法で攻撃をして動きを封じ、致命打にならないと判っているブルーベルの攻撃は軽く(さば)いて反撃の錫杖をお見舞いして距離を稼ぐ。


 自分が動けなけくとも、相手を下がらせる程の実力が有れば怖くは無いとでも言う様に、雄叫びを上げて大きく構えるバフォメット。魔方陣とて何時までも展開していられる訳では無いと読んでいるのか段々と余裕の様な物が見えてくる


「ハルカさん、額の六法星よ。あれを狙って!」

「少年!ポンタ!奴を止めろ」


 伶が何かに気が付いたのかハルカさんに指示を出すと、意図を察したローラさんからの指示が俺達に飛んでくる。タイミングを合わせてポンタさんと同時に攻撃を仕掛ける。ブルーベルも牽制を掛けつつ前に出ると地面から蔦の様な物が飛び出し奴の動きを阻害する


 タンドさんが魔方陣に影響ないようにしながら、木の妖精に作らせた簡易の拘束具だ。高位の悪魔であるバフォメットが蔦程度で止まる訳が無いが俺とポンタさんの攻撃を防ぎつつハルカさんの矢から身を守るのを邪魔するには十分だ


 狙い違わず額の六法星に突き刺さった矢が、その輝きを消し去る。魔法の矢を引き抜くと先程の余裕ある雄叫びとは違う悲鳴じみた叫び声を上げるバフォメット


 再び後ろから攻撃した俺の姿を捕えられなかった様で背中に袈裟懸けで斬り付けた一撃は防がれる事無くその身体に刻み込まれる。ポンタさんやブルーベルの姿も捕えきれていないようで、攻撃される度に其方に視線を向け、死角から攻撃されるという繰り返しに陥る


 どうやら六法星を通した魔力的な視覚で俺達の動きを捕えていたのだろう。それが塞がれれば巨体故の小回りの利かなさが露呈してしまう。こうなれば勝利の方程式が出来上がった様なものだ。一気に攻勢を仕掛ける。


 ポンタさん、ブルーベル、俺の三人が息を合わせて同時に突入すると、振り向いたバフォメットと眼が合う。他の二人の攻撃を気にする事無く防御を捨て一番防御力の低い俺に目標を定め魔法と錫杖での一撃、アンクの衝撃波を加えようとギラギラした視線を向けてくる。三方向から繰り出された攻撃は俺にとって防げるものでは無い


 錫杖を受け流し、ナティさんから貰った防具に魔力を流し衝撃波に耐える。魔法への防御は・・・間に合わない


「智大!」


 伶の悲痛な叫びが響く。完全に体勢を崩した俺に向かってくる炎の塊を避けるだけの余裕は無い。無防備に魔法を喰らうしか無い俺の前に何かが立ち塞がる。完璧に魔法を受け止めたそれが叫び声を上げる


「キュウ~!」


 いつものポヨポヨした丸みを帯びた流線型では無く大きく広がった体で壁状の形に変化したスラちゃんが魔法を防いでいた・・・


「ポンタ離れろ!」


 ローラさんが渾身の魔力を込めた大魔法を放つ。


 バフォメットを中心に複数の竜巻が渦を巻き、静電気なのか帯電した様にバチバチと音を立てる。そのまま竜巻が合流するようにその輪を縮めていくと、竜巻の回転に剥ぎ取られるようにバフォメットの身体が毟り取られていく。そして合流した竜巻の中心部に帯電した電気を放つ様に轟く雷鳴。


 両手を引き千切られ、身体も引き裂かれた上で血だらけのまま雷に撃たれたバフォメットは、ブスブスと煙を上げながら硬直したまま立ち尽くしていたが、その表情は既に事切れている様だった


 そんなバフォメットの事など視界にも入らない・・・


「スラちゃん!」


 叫ぶ俺の目の前に表面を炎に焼かれたスラちゃんの姿がそこにはあった・・・


ランバ・ラル特攻!・・・なのにジェットストリームアタックと突っ込み処満載ですが

今回もガンダムネタですいません

次回スラちゃんが・・・


読んで頂いて有難う御座います

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