夢の悪魔
夢を見た。不思議な夢だった。俺の目の前に突然現れた悪魔が聞いたのだ。
「金持ちになりたいか?」
そんな事は聞かれるまでもなく、人間なら誰しもが当たり前に思う事だ。俺は言う。
「ああ、勿論だ。有り余るぐらいの金が欲しい」
俺の言葉を聞いた悪魔はニヤリと笑い、言った。
「よかろう、有り余るほどの金を与えてやろう…」
そこで目が覚めた俺は、辺りを見渡し、自身の夢が叶った事を知るが、別段嬉しさはなかった。陸や海など、自分以外の全てが有り余る札束に埋もれてしまった世界では、金の使いようがないのだから…。