↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
87/97

【転章】 古山章三1

 総理大臣公邸……


 なるほど、さすがは日本を指揮する者が住まう場所だけあって、ここにあるすべてのものが豪勢だ。


 僕は応接室のソファに腰かけながら、頬杖をつき、周囲を見渡す。座った瞬間、ふわりとした感触が返ってきて、僕をおおいに楽しませた。


 まるで異国に紛れ込んだかのようだ。


 色とりどりの花模様が描かれた、色彩豊かな絨毯。純白の壁には、まさか本物の金だろうか、びっしりとした金色のラインが施されている。そして天井を仰げば、優しげな光彩を放つシャンデリア。


 深くソファに沈み込みながら、僕は達成感をかみしめた。


 これで僕は疑いようのない勝ち組だ。それもーー日本で一番の勝者といえるだろう。


 いじめなんぞに振り回されていた昔とはなにもかもが違う。


 強者。そう、僕は強者なのだ。


 コンコン、と。

 ふいにドアの叩かれる音がした。


「どうぞ」

 許可を下すと、遠慮がちにドアが開けられる。


 姿を現したのはスーツの女だった。飲み物の乗ったトレーを両手で支えている。


 秘書か……

 僕はにんまりと笑ってみせた。


 さきほど公邸を襲撃したとき、必死に命乞いをしてきた女だ。そのまま殺してやってもよかったが、顔の美しさと抜群のプロポーションに惹かれ、ついつい生かしてしまった。もちろん、《使役》によって僕の思いのままに操作している状態だが。


 僕はすべての女に嫌われていた。初恋の子と結ばれそうだった恋を、ごとごとく邪魔された……


 胸中に生じた虚無感を無理やり抑えつけ、僕は深く息を吐き出す。


 だが、そんな過去はもうなかったのだ。

 僕は勝ち組。

 この女を好きなようにいじくることも、いまの僕なら簡単にできるのだ。


 現在では、僕の高らかな宣言が日本中に行き渡っていることだろう。もう全国で僕の名を知らない者はいないのだ。


 ーーと。


「古山さん!」


 ノックもせず、急に部屋に現れた者がいた。

 リベリオンの構成員だ。


 下っ端の連中は街の襲撃に行かせているが、なかでも優秀なメンバー二十人に限り、公邸の警備に当たらせている。


 僕は顔をしかめながら言った。


「入るならノックくらいしてくれないかな。常識だよね」


「も、申し訳ない! だが大変なんだ! 予定外のことが起きた!」


「予定外……?」


 僕が呟いた瞬間。


 前方の空中に、突如として予期せぬ映像が映し出された。まるで空間そのものにスクリーン映像を投射しているかのような。


 そして。

 その映像に写った人物を見たとき、僕は激しくせき込んだ。


「よ、吉岡勇樹……!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。