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悲劇のヒロイン気取り

「ふん、馬鹿馬鹿しい」


 構成員のひとりが、眼鏡の中心部分を持ち上げながら、冷めた声で告げる。


「これまで悪行を繰り返してきたくせに、自分が被害者側に立った途端、悲劇のヒロイン気取りか。辛いのは自分だけだと思うなよ」


「おまえ……!」


 高城の遺体を優しく横たえながら、俺はゆっくり立ち上がる。


 彼女が生前、いかにしてみずからの過ちに気づき、いかに償おうとしてきたか。


 彼女は決してただの自分勝手な学生ではなかった。過去の過ちに気づき、そんな自分を変えようと奮闘していた。


 それを訴えかけようと思ったが、すんでのところで断念する。


 彼らは俺たちを強烈に敵対視している。

 なにを言っても聞いてもらえるとは思えない。火に油を注ぐだけだ。


 それならば。

 諸悪の根元、古山章三。


 奴をどうにかして止めないことには、悲劇は繰り返されるばかりだ。

 こんなところで、モタモタしてはいられない。


 俺は最後に高城の頬を優しくなでると、スキル《闇の双剣》を発動した。


「殺しはしないが、おまえたちには普通より痛い目に遭ってもらう。覚悟はいいな?」


 二つの剣を構え、睨みをかますと、構成員たちがさっと戦闘の体勢を取る。


 だが、奴らのレベルはしょせん5前後。いかに数では勝っていようとも、レベル30の俺に勝てるはずもない。


「よ、吉岡くん……」


 後ろで不安そうな声を発する彩坂。


 俺は彼女に横顔だけ向けると、構成員たちに向けて駆け出した。途中で闇の可視放射が放たれたが、剣の一振りで容易く弾いてみせる。


「おまえたちは人殺しだ。だから身体の一部をなくしたって……文句はねえよな?」


 言いながら、俺は敵集団を一瞬にして片づけた。想定外のスキルを目の当たりにしたためか、構成員たちは双剣を前にあっけなく散っていった。


 もちろん、ただHPを一桁にしただけではなく、左手の小指をぶった斬るくらいのことはしておいた。


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