表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/97

チートのスキルを掛け合わせてみました

 リーダーの発言に発破をかけられたのだろうか。構成員たちが顔を引き締めてさっと身構える。


 思わず俺は舌打ちをした。そのまま逃げてくれれば楽だったものを。


 俺もわずかに息を吐き出し、戦闘へと意識を切り替える。身体の底から得体の知れないエネルギーが沸々と沸き起こってくるのを感じる。


 構成員たちに目を離さないまま、俺は低い声音で告げた。


「高城。おまえは手を出さないでくれ」


「え……?」


「あいつらは闇の魔法を使う。おまえが攻撃を喰らった場合、二倍ものダメージが通る。わかるだろ?」


「でも、相手は何人もいるんだよ? 私も……」


「大丈夫さ。新しく獲得したスキルがある」


 俺は両腕を左右に突き出した。

 そのまま左右の手に魔力を流し込むと、新たな重みを感じる。


 闇の双剣。

 かつて佐久間祐司を驚かせ、そして圧倒的なレベル差にも関わらず勝利を収めることができた、チート級のスキル。


 漆黒の霊気に当てられてか、構成員のひとりに呻く者がいた。


 ーーだが、これだけじゃない。

 俺は薄い笑みを浮かべると、剣を持つ両手をだらんと落とした。全身から、闇の魔力を微弱ながら解き放つ。


 瞬間。


 高城や構成員たちが、わっと声をあげた。さっきまでの引き締まった表情はどこへやら、あっけらかんとした顔で周囲を見渡している。


 当然だ。


 奴らには、俺の姿がまるで見えていない。そっくりそのまま消えてしまったように思われているのだ。


 これが、佐久間との戦いで入手したスキルのひとつーー闇の衣。


 全身を闇で包み込み、何者の目からも捉えられなくする、こちらもチート級のスキル。


 ーーだが、すべてにおいて完璧な能力ではない。


 俺は全速力で近くの構成員に走り寄った。

 右手の剣を横薙ぎに切り払い、太股を抉りだす。


「わああああああっ!」


 なにが起きたかわからないといった表情で、構成員が膝を抱えてうずくまる。HPがごっそり削られ、奴の体力はあっという間に一桁になった。もう動くことはできないはずだ。


「な、なんだなんだ!」

「いったいなにが起きた!」


 構成員たちが一気に恐慌をきたす。蒼白な顔できょろきょろするが、当然、俺の姿は捉えられない。


 しかし、俺とてもあまりのんびりしていられなかった。

 闇の衣は、あまりに凶悪すぎる能力である反面、使用している間に刻一刻とMPが減少していくのだ。 


 いまも、身体からすこしずつ力が失われていくのを感じる。


 ーーおおおおおおっ!

 心のなかで叫びながら、俺はすべての構成員たちを一瞬にしてノックアウトさせた。


 最後にリーダー格の生徒が逃げ出そうとしていたが、こいつが一番なにをするかわからないので、容赦なく足を斬りつけておいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ