回復アイテムがあればなあ
すみずみまで探索を行ったが、佐久間祐司はなかなか見当たらなかった。
残るはあと一部屋のみ。
署長室だ。
俺は乱れる呼吸を整えながら、扉に耳をつけ、中のようすを窺った。喧噪の音。何事かを言い争っているようだ。佐久間の声も聞こえる。
ここだ。ここに入ればすべての片がつく。
鼓動の音をひしひしと感じながら、俺は隣の高城に訊ねた。
「いまの俺のステータスを教えてくれないか」
「う……うん」
高城もかなり緊張した面持ちで俺の頭上を見やった。
吉岡勇樹 レベル4
HP 59/80 MP 31/150
MA 2850 MD 675
「MPが不安だな……」
思わずひとりごちる。
武術の心得なんかがあるわけでもないし、純粋な戦闘となると俺の武器は魔法しかない。だから警官と遭遇するたびに魔法をぶっ放していたのだが、やはり残りのMPがかなり減少している。
ゲームなんかでは、ボス戦前にはポーション等でステータスを万全にしておくのがセオリーだ。だがこの世界はゲームではない。減少したHPやMPは、睡眠によってしか回復しない。非常に不便な仕様なのだ。警官とのバトル中にレベルがひとつ上がったが、それで回復するわけでもない。
俺は同じく高城のステータスを見やった。
高城絵美 レベル1
HP 25/49 MP 29/54
MA 1200 MD 200
俺と比べれば低めの数値であるが、おそらくこれがだいたい平均値だ。
タワーにいたリベリオンのステータスを覗かせてもらったが、レベル1の者はだいたいこの程度だ。
高城の場合はHPがかなり心配なところだ。だが、彼女の援護もなければ、間違いなく俺のMPが枯渇する。
ちなみに、HPが0になることは、すなわち純粋な死を意味する。俺はまだその瞬間を見たことはないが、HPを切らした瞬間、死亡者は大量を鮮血をまき散らしながら倒れるという。
俺がそうはさせない。もう誰かが死ぬなんてまっぴらだ。
俺は高城と目を合わせた。
彼女が真剣な表情で頷くのを見届けると、俺は重い扉の取っ手を掴んだ。




