希望と真実
「どうも、国王陛下。 サイラス・ノー・ライトと申します。今回はこのようなパーティーにお呼び頂きありがとうございます。」
「やぁ君がライトか、よくヘーリから話しを聞いているよ。」
「ありがとうございます。とても光栄です。」
ヘーリというのはフロア3を取り締まっている町長さんだ。とても優しい方でシェナの父上だ。
「悪いな、丁度リダが席を外しておってな…また来てもらえるかな?」
「わかりました。では失礼いたしますね。」
「あぁ。本当に済まないな。」
軽くお辞儀をしてその場を離れた。
「お嬢様、そろそろダンスのお時間ですが…」
ラリアが話しかけてきた。
「相手がいないのだから踊らないに決まっているでしょ。」
「そうですか。」
友達も作っらせてくれないのに誰と踊れというの?わたしは呆れて壁に寄りかかった。
「あの…お嬢様…」
少し時間が経つとラリアがソワソワし始めた。
「えぇ。行ってきていいわよ。ここにちゃんといるしこんだけ人がいれば誘拐なんてされないわよ。楽しんできなさい。」
「…ごめんない。失礼します。」
ラリアは早足でケーキの前に行き目を輝かせた。いつもこのパーティーではスイーツのバイキングが出るのだ。
「ったく。甘党め…。」
ラリアはクールなくせに甘党なのだ。でもあの無表情男があんな顔になるのを見るのは私にとってとても嬉しい事なのよね。
「すみません…踊って下さりませんか?」
ゆっくり顔を上げると前に見知らぬ男が立っていた。
「あっ…ごめんなさい。わたし…」
私の前に立っていた男は見た事がない人だった。でも…
「…もしかして…リアンダ?」
「うわぁ、すごい!よくわかりましたね!」
彼は嬉しそうに言った。
「貴方もよく私だってわかったわね。」
「教えてもらったんですよヘーリに。」
「そうなのね。…フロア3に住んでいるの?」
「いえ、フロア4で暮らしていますよ?家出をしているんです。」
「でも何故ここに?」
このパーティーはフロア3から上のフロアに住んでいる人しかこれないはず。
「ここに顔を出す。これが条件なんです。フロア4に言っていい代わりにパーティーには出ろと…」
「そうなのね。」
部屋から一切出られない私にとってはとても羨ましい事。
「ところで踊っていただけますか?」
「えぇ、喜んで。」
リアンダに差し出された手を取りホールの真ん中へ。
「よろしくお願いします。」
「よろしく。」
2人笑顔で踊り始めた。彼の手は何か懐かしいものを感じた。そう。あの温もりに似ている。
「私たち昔会ったことがあったかしら?」
「どうですかね…。会っていたら嬉しいですけど。」
優しく笑いかけてくれた。
「えぇ。」
私はその笑顔に返事をした。
閲覧ありがとうございます。
またなんか読みづらくなっちゃいましたがありがとうございます。