規則の中で
この国は5つのfloorが積み重なってできている。
一番上はfloor1。王などの血を受け継ぐ者が。
floor2には貴族の血を受け継ぐ者が。
そして私が暮らしているfloor3には貴族として受け入れられた国民が。
floor4には町人が。
一番下のfloor5には重労働をさせられる貧しい国民が住んでいる。
私はおばあ様と一緒に大きな家に住んでいる。当たり前の様にお手伝いさんがいて毎日部屋に閉じこもって勉強や習い事をさせられた。
floor3では16歳未満の子供は部屋からは出してもらえない。でも私はあと2ヶ月の辛抱だ。2ヶ月後に成人式が行われる。この国の成人は16歳。長いはずの16年よりこの2ヶ月が長く感じる。
私はいつものように自分の部屋の席に着く。深くため息をし窓の外を不意に見た。私の部屋の窓からはfloor4の街にある鉄工場が見えるのだ。
また目があった。この頃よく1人の男の子と目が合う。
「こんにちは」
なんて声をかけてみたい。でも声なんてかける勇気はないのだ。いつもお手伝いさんはあのボロボロになった服を見て笑っているが私はあれを羨ましく思っている。私ぐらいの歳であれだけ働いていることは私からすれば立派なことなのだし私にないものがあると羨ましく思ってしまう。私にはこれっぽっちもないのだからそう思ってしまうのは不思議ではないはずなんだ。
コンコン…
ノックとともに私の執事、ラリアが入ってきた。
「失礼いたします。お嬢様、今日のパーティーのご準備はできましたか?」
そう今日は誰もが憧れるこの国の国王様の息子に会えるパーティーなのだ。
「えぇ。できていますわ、このとうり見ればわかるでしょ?」
私はもうきらびやかな行事に呆れていた。
「あらあら…まだできていませんよ?」
「なにか私、忘れています?」
この男は何を言い出すのかサッパリわからない。ラリアは一つため息をついて私に言った。
「お顔が整っていません。」
顔なんて作るわけないじゃない。
「ブスで悪かったわね。」
ふざけたつもりだったのだが、つい口が悪くなってしまった。
「いえ、そうではなくて。貴方はこの家のご子孫様です。なのにそんな表情ではお祖母様が悲しみますよ?」
「…そうね。ごめんなさい家を出る前までには直しておくわ。」
「そうしてくださると有難いです。ではまた後ほど。」
「えぇ。またよろしく。」
ラリアは出て行った。またこの狭苦しい部屋の中、一人になり、ため息とともに本を読み始めた。
今回は「一迅社文庫アイリス」への作品応募です。この応募のためにと書いていたわけではないのでクオリティは低いです。
読みにくいところばかりだと思います。できたら指摘をよろしくお願いします。
閲覧ありがとうございました。