共闘
リビングでは姉と絵里と健が楽しそうに話をしていた。どうやらリア充な健の恋話で盛り上がっているらしい。ケッ、どうせ私には縁遠い話ですよーだ。
ちょっとふて腐れながら翔のゲームの準備を手伝う。
準備が整い、ゲームを起動させる。テレビからは楽しそうな明るい音楽が流れてきた。
このゲームはファミリー向けのゲームで数十種類のミニゲームと、すごろく擬きのゲームがある。
「なにやりたい?」
「うーんとねー、あ、これやろ!」
翔が選んだのは迷宮の仕掛けを2人で協力して解き、時間内に脱出するゲームだった。
私はそのミニゲームを選択し、ロードされるのを待つ。
『スタート!』
合図と同時に画面に表示された時間が1秒ずつ減り始める。
翔も私も久しぶりにやるから仕掛けをどう解けばいいか忘れてたり、うっかりミスやタイミングがズレたりしてタイムロスをし、最後の仕掛けを解いてる途中で時間切れになってしまった。
「あ~、あとちょっとだったね」
「うん、おしかった。もう1回やろ?」
「そうだね」
そう言ってまた同じミニゲームを選択する。ロード待ちをしていると翔の横から手が伸びてきてコントローラーを奪っていった。
「貸してみ。俺がやる」
「えっ、ちょっと返してよ! おれがやるんだから」
翔は健からコントローラーを取り返そうとする。しかし翔よりも圧倒的に背の高い健がコントローラーを持った手を上に上げて取られないようにしている。
「じゃんけんで勝ったら返してやるよ」
「えー! ……わかった。最初はグー、じゃんけんぽん!」
翔はグーで、健はパー。健の勝ちだ。
「もー! 1回だけだからね」
翔は少しご機嫌ナナメになりながらコントローラーを取り返すのをやめた。
『スタート!』
画面に合図が表示され、翔からコントローラーを勝ち取った健と一緒にミニゲームに挑んだ。
翔とやった時よりもスムーズに仕掛けを解いていく。
『ゴール!』
「よっしゃ!」
「おー、やったね」
今回は無事にクリアすることができた。健はドヤ顔で翔にコントローラーを返す。
「ふんっ、さっきおれがやってたのを見てたからできたんじゃん。ねぇ、もう1回やろ?」
健の挑発にのった翔は健にライバル意識を燃やしながら言ってきた。
「う、うん。わかった」
私は同じミニゲームを選択した。
『スタート!』
画面に表示されるなり、翔はすぐに仕掛けを解きにかかった。
先程よりもスムーズに進めることができ、無事にクリアすることができた。
「ほら、おれだってできたよ」
翔は健にドヤ顔返しをする。しかし健は余裕の笑みを浮かべている。
「俺の方が5秒早くできたけどねぇ~」
そう言って健はまたドヤ顔をした。
「え、マジで? ……ねぇ、もう1回やろ?」
翔はさらに闘志を燃やしながら言ってきた。
え、また? もう、違うミニゲームがやりたいんだけどなぁ……。
そう思っていると私の横から手が伸びてきた。
「じゃ、今度は私がやってみるかな」
姉はそう言って私からコントローラーを取ると、同じミニゲームを選択した。
『スタート!』
姉は慣れた操作で仕掛けを解いていく。
翔と姉のペアは特に躓くことなくクリアした。
姉はたまに私と一緒にゲームするくらいだけど、必ず私よりも上手くできてしまう羨ましい才能を持っている
「早っ、俺より3秒も早い」
「すごーい。しかも新記録だってさ」
「よっしゃー!」
翔はガッツポーズしながら喜んでいた。
「へぇ~、なんか面白そう。私もやっていい?」
「いいよ」
普段ゲームをしない絵里が興味を持ったらしく、姉に操作方法を教えて欲しいと頼んでいた。
「そうだ。どのペアが一番早いか勝負しない?」
絵里に操作方法を教え終わった姉が面白い提案をしてきた。
「おー、いいね!」
「楽しそう♪」
「賛成!」
「やろうやろう!」
こうしてタイムアタック勝負が始まった。
××××××
タイムアタック勝負はどのペアもいい記録をだして大接戦だった。
普段1人で自由気ままにRPGをやって楽しんでたけど、こうやってみんなでワイワイしながらやるゲームは1人でやるのとは違った楽しみがあっていいかもと思えたひと時だった。
読んでくださりありがとうございます!
今回は初めて「ぼっちOL、異世界へ行く(仮)」の番外編を投稿しました。
急いで書き上げたので色々とおかしなところがあるかもしれません。
もし少しでも本編に興味を持っていただけた方は、本編の方もどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m