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紫の年  作者: Ravenclaw
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あと一年で70歳になる高齢者の日常。

「あと一年で七十歳の誕生日ね。そろそろお葬式の準備をしないとね。」

妻がそう言ったのでかれはムッとした。

うれしさが見え隠れしていた。

そのつもりはなかったかもしれないが、かれにはそう聞こえた。

黙って靴を履き、カバンを肩にかけて家を出た。

行き先が決まっているわけではない。

仕事を離れて丸まる四年になる。四年×三百六十五日=千四百六十日。閏年の一年を入れて千四百六十一日だ。

ほぼ毎日外出する。

駅まで三十分。毎日歩いているので足腰は衰えていない。仕事をしているときより歩いているくらいだ。

駅前に喫煙ルームがあった。

二重の自動ドアで隔てられた内部は広々としていた。

誰もいない。

鞄の中のタバコ入れから一本取り出し、ゆっくり吸った。

吸い終わると、駅に入って電車を待った。

六十五歳以上は乗り物は無料だ。

十時過ぎなので人気はない。

電車の中もまばらだ。五つ離れた藤崎駅で降りた。そこからバスに乗り換えた。バス代は通常の半額の百円だ。

バスを降りたところでまた煙草を吸いたくなったが、がまんした、タバコは一日二本までと決めている。


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