Ⅲ
雨はやがて止み、雲は流れを早くし、太陽がじりじりと地球を焼き始める。
先輩は髪を手でくしゃくしゃっと掻くと、私の目をまっすぐ見た。
「誰かに聞いたんじゃないよ。俺がそう決めたんだよ」
私は先輩の言葉に、思わず笑ってしまった。
くすくすっと笑うと、先輩はようやく重い腰を持ち上げ、その場に立ち上がった。
「信憑性ないな、って思ったでしょ?」
腰に手を当てながら、すこしだるそうに言葉を振りかけてくる先輩を見上げていると、次の言葉が思いつかなくなった。
しばらくそのまましゃがみこんで先輩を見つめている私の頭を、先輩はやさしくぽんぽんと叩いた。
「いいんだよ。無理してるのは、俺の方」
にこっと微笑むと、先輩は私の頭から手を離し、階段の方へと歩いて行く。
私は我に戻り、先輩の行く方を見る。
「先輩!」
ほぼ瞬発的に先輩のことを呼び止め、先輩を追いかける。
階段の踊り場で、先輩はこちらを振り向いた。
「それって、先輩・・・」
階段の上にいる私を見上げている先輩は、わずかにうなずき、そのまま階段を下りて行った。
そんな単純なもんじゃないだろう。
この世なんて、何が起こるかとか、何を起こすだとか、成功失敗、勝利敗北。
俺たちは神でもないし、仏でもない。
ただの欲に溺れた生き物だ。
ありえない空想を並べるだけで、実際はなにも起こそうとしない。
この現実という、限られた世界の中で生きている俺。
こんな俺が一番怖い存在だ。
生きている意味なんてあんのか?
俺は楽しく思う。
明日の世界の終わりを、楽しもう。




