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foolish fondue   作者: ゆぅ
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午前10時

突然降り出した雨は、僕の心を打ちつけるようだった。わざと屋上に寝そべり、その大きな雫を全身に浴びる。人間は不思議だ。こんな意味もなく変な行動をしてかっこいいと思い込む。そんな自分がたまらなく好きなのである。

世界は終わる。でも雨はなお降り続けている。

露は終わったはずだ。これもまた、自然による最後の力なのであろうか。なくなりたくない。そう思う一心で、必死に力を出し切ろうとしているのであろうか。

自然も人間も、あるいみ同じだ。


僕は悲しく思う。


明日の世界の終わりを、この世の生き物ではない観点から見届けよう。




「寛和、次移動だよ?一緒に行こう~」

私は机に顔を伏せ、そんな友達の誘いも聞いて聞こえぬふりをしていた。

『・・・明日、世界が終わるってさ。』

この言葉を、そっくりそのままその意味で受け入れればいいのか、それともこんな信憑性のない話を「またまた~そんなこと言って~」と軽く流してしまえばいいのか・・・。

先輩の言った言葉の意味を、カチンコチンに硬い頭で頭を痛ませながら考えていた。

「寛和!おきろ~~~」

私の体を大きく揺さぶり、ようやく重たい頭をぐいっと上げる。

「実際に聞けばいいんだ!」


次の授業も忘れ、私は保健室へと走った。


以前にも、人類滅亡だとか、太陽爆発なんてうわさが具体的な日にちを特定して世界に出回っていたことがあった。しかしそれはただの誰かさんの予言に過ぎず、その予言はすべて外れていた。

現に私がこの地球に存在しているのだから、外れているのには違いない。

予言はただの予言。先輩の言った言葉も、ただの予言に過ぎないのだ。

でも私は・・・なぜかハラハラする。

本当に世界がなくなってしまうような気がしてならない。

自分が死んでしまうんではないかと・・とてつもなく惨い恐怖が私の頭を支配していく。


保健室に辿り着くと、花本先輩の姿はなくなっていた。保健室の先生に行方を聞くと、彼は屋上にいると答えた。

まさか、こんな大雨の中・・。


階段を何段も上り、立ち入り禁止の屋上の扉を開いた。当然雨がものすごい音を立てて降っている。

ちょっとした先に、先輩は仰向けに寝そべっていた。

「花本先輩!なにしてるんですか?」

扉のそばから花本先輩に話しかけてみる。

まさか・・・死んでいるのではないだろうな?


「・・・んあ?」

花本先輩はそのまま起き上がり、こちらを向いた。

「あ!さっきの・・・」

それにしても先輩はびしょびしょである。

先輩そのものが雨の雫となっているようで、ワイシャツもズボンも髪の毛も、どこもかしこも濡れていた。

「先輩、大丈夫ですか?・・・・頭」

なぜかそのまま歩みを進めてしまう私。

私もまた、強い雨に打たれる。

雨に打たれると、こんなにも痛いのか。

「頭って・・・俺は正常だぞ」

「こんな雨に仰向けになって打たれるなんて、頭おかしいですよ!」

私は座っている先輩の目線に合わせてしゃがみこんだ。

「先輩、世界終わっちゃうって・・・誰に聞いたの?」




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