友引
とある所にある葬儀屋。
今日は友引ということもあり、暇そうにしていた。
「今日は葬儀が一件もご予約が入ってないですね」
台帳を見ながら、ぼんやりとつぶやいた。
「今日は友引さ。仕方ない」
先輩社員はカレンダーを見て言った。
「友引って何ですか」
「本気で言ってるのか」
「ええ」
先輩社員が、なんで知らないかなあとグチってから、続けた。
「六曜というな、ものがあるんだ。先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6つだな。そのうち、今日は友引。本当は何をしても勝負がつかないっていう日だったんだが、陰陽道の友引方っていう、凶禍が友人に来るって言う方角と一緒くたになって、葬儀とかの忌み日になったんだ。逆に良いことはバンバンする日だから、結婚式とかは、大安や友引ですることの方が多いんだな」
「ああ、それで今日は友人も結婚式をするんだぁ」
「というか、これぐらいは葬儀社に勤めてるんだったら知っとけよ」
「わっかりましたぁ」
絶対に分かっていないと、確信をもっている先輩社員だった。