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あべこべ世界でのランナー ~マラソン日本記録保持者が女性過多で貞操観念も逆転した世界線に転移し無双する~  作者: アサノ霞
第2章 コーチ就任 編

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第17話 陸上長距離・駅伝部の目標設定

投稿遅くなってすみません。

3月15日㈭

 長距離・駅伝部にて、クリスと共に作成した年間スケジュールと練習計画を部員に公開した。


 まず、2部練習を廃止し、練習を夕方のみとした。僕の経験から朝練には大きな効果が期待できないと判断したためだ。

2部練習は身体にかかる負担が増し、故障のリスクが高まる。それにより練習が中断されれば、パフォーマンスの向上どころか、以前よりも低下する可能性すらある。


もちろん、2部練習によるエネルギー源が1部練習よりも消費されることから、「グリコーゲンの超回復」を促す見込みがあるが、回復時間が十分に取れなければ効果は大幅に減少する。練習の効果は、回復とセットで初めて発揮されるのだ。


 そこで、3月いっぱいは疲労回復を目的に、LSDロングスローディスタンスと体幹トレーニング、ストレッチのみを行うこととした。4月中旬から本格的なトレーニングを開始する予定だ。


 LSDは、長い距離を走るトレーニングの基礎固めに最適である。

筋持久力を高め、毛細血管の発達を促し、全身への酸素供給効率を向上させる。この基礎を作ることで、無理なく長時間走れる身体が完成するのだ。


 また、体の硬さが目立つ部員も多いため、股関節や肩甲骨周りを重点的にストレッチし、可動域を広げることも練習の一環とした。

可動域が広がることで、腕の振りとストライド(歩幅)を大きくしたダイナミックなフォームが取れるようになり、ランニングエコノミー(無駄のない走り)が向上し、走力アップにも繋がる。


次に、長距離・駅伝部の今後の目標を設定した。


1.6月の記録会(10000mを予定)に出場

2.9月のインカレ(日本国学生陸上競技対校選手権大会)への出場

(インカレに出走しない者は、ハーフマラソンに出場)

3.10月の箱根駅伝予選会への出場

4.予選を通過した場合、翌年1月の箱根駅伝本戦に出場

5.11月 ハーフマラソンに出場

6.12月 短い距離の駅伝に出場

7.翌年3月にフルマラソンのレースに挑戦


 これらの目標の中で、最重要課題は4番目の箱根駅伝本戦への出場とした。4月中旬から「R式トレーニング」を導入し、目標に向けて計画的に練習を進めていく。

目標を明確にすることでモチベーションの維持に繋がるし、計画を立てることで、ただ闇雲に練習するのではなく、効率よく進められるのも大きな利点だ。箱根駅伝予選会に向け、10月までの6か月間を5つのフェーズに分けてトレーニングを行う。


【トレーニング計画(各フェーズの詳細)】


■第1期:有酸素能力の発達(走り込み)

期間:12週間(~7月まで)

基礎固めの時期。ジョギング中心のトレーニングを行い、2時間以上走り続けられる身体を作る。体幹トレーニングや筋力トレーニングも併用し、次の段階の練習に対応できる基礎体力を養う。


■第2期:ヒルトレーニング(坂道練習)

期間:8週間(6月上旬~8月頃まで)

坂道を活用し、脚筋力・心肺能力を向上させると同時に、足捌きを素早くするトレーニングを実施。週2回の頻度で、「スティーブヒルラン(坂道腿上げ走)」「ヒルバウンディング(前へ跳ねるような動き)」「ヒルスプリンキング(上へ飛び上がる動き)」、「ダウンヒルストライディング(下り坂ダッシュ)」など4種類のメニューを行う。

第1期を実施中の6月頃より週に2回実施し、それ以外は第1期のジョギングと補強筋トレを継続して実施する。

次のステップの練習に対応出来る身体作りをするのが目的。


■第3期:無酸素スピードトレーニング

期間:5週間(8月~9月上旬頃まで)

400m~1600mのインターバル走を週2回行い、心肺機能とスピード持久力を強化。

それ以外の日は第1期のジョギングと補強筋トレを継続して行う。

次のステップの練習へ向けての強化が目的。


■第4期:コーディネーション

期間:4週間(9月末まで)

10000mやハーフのタイムトライアルを週1回実施し、レースペースに身体を慣らす。

それ以外の日は第1期のジョギングと補強筋トレを継続して行う。


■第5期:テーパ(最終調整)

期間:2週間(10月半ばまで)

疲労を抜きつつ調子を上げる時期。週1回の10kmペース走や2000mのタイムトライアルで仕上げる。

それ以外は疲労抜きのためのジョギングで繋ぐ。


 トレーニングは、「基礎固め」〜「しっかりとした身体作り」〜「スピード持久力強化」〜「ペース作り」〜「最終調整」の5つのフェーズに分けてあり、それぞれに目的がある。


 計画を全員に説明し、資料を配布すると、部員たちは驚きと期待の入り混じった表情を浮かべていた。それだけしっかりとした内容だったのだろう。


「各フェーズにはそれぞれ明確な目的があります。焦る必要はありません。一つ一つ積み上げていけば、目標に近づけます。皆さん、箱根駅伝を目指して頑張りましょう!」


僕の言葉に、部員たちは元気よく返事をした。新たな挑戦の幕開けだと感じた瞬間だった。


◆◆◆◆


 その夜から、奈月の実家である美月の家に3日間滞在する予定だった。僕は練習を終え、美月宅に帰宅すると夕飯を作って美月の帰りを待った。

義父の零士さん、義母の葉月さん、そして義祖母の月子さんは全員留守で家には僕一人だった。

何となくだが……僕と美月に気を使ってくれたのかな?


 夕飯を作り終え、リビングでノートPCを開く。部員たちの表情を思い返しながら、何か見落としていることはないかと考えを巡らせた。


ふと、大学時代の記憶が蘇った。あの頃の僕はトップを目指して貪欲だったが、故障が絶えず、そのたびに精神的に追い込まれていた。当時、相談できる相手もおらず、一人で藻掻もがいていた記憶が鮮明に浮かぶ。


「メンタルだ……!」


 突然、ひらめきが訪れた。部員たちが練習に付いていけなくなったとき、あるいは故障したとき、心のケアをどうするかが課題だと気づいたのだ。一人として脱落者を出さないためにも、部員たちを精神面で支える仕組みを作らなければならない。


 玄関の鍵が回る音が聞こえ美月が帰宅した。青色のスカートスーツ姿の彼女は少し疲れた表情をしていたが、僕を見ると微笑みを浮かべた。


「ただいま~遅くなってごめんなさい。お弁当ありがとうね、とても美味しかったよ~」


美月は僕に抱きついてからキスをした。


「おかえりなさい、お疲れ様でした」


エプロン姿の僕は笑顔で美月をねぎらう。そして甘々な浮いたセリフを言ってしまうのだ。


「お風呂にする? ご飯にする? それとも~~………」


くっ! 自分で言ってて何だが……これはとても恥ずかしいな!

実は美月からメッセージアプリで僕に色々な?シチュエーションでのリクエストをお願いされてた! 僕はその全てを受け入れることにしたのだ。


 すると美月は数秒程フリーズして俯いたのだが、顔を上げると表情を一変させた。

目は吊り上がり、まるで僕を見下す様な意地悪な表情をしてニヤリと口角を上げる。


「ふんっ! お前に決まってるだろっ!!」


 低い声でそう言い放ってから、僕を押し倒し強引にねじ伏せ、ねちっこく僕をもてあそびながら馬乗りで跨り、玄関で一戦交えたのだ。


 何というか……女性から襲われるのは初めての経験なのだが、僕的には、ご褒美としか思えないくらいとても良いものだった。

何よりも……美月によるスパイダーな馬乗りは……視覚的にも肉体的にもはまりそうだ……。

僕の性癖って……歪んでいて何でもアリな変態なのかも。


 普段の美月は、おっとりとした表情で性格も大人しく、とても可愛らしい女性なのだが、性癖はいたってドSなのである。

男を強引に捻じ伏せ、隠語を発しながら凌辱し、もてあそぶことでエクスタシーを感じるのだそうだ。


 美月と褥を共にした時に、何となく()()()()()を感じたので、僕は美月に全てをさらけ出して欲しいとお願いしたのだ。すると美月はドSな性癖を打ち明けてくれたのだった。

僕的にはこれも“アリ”なので、美月の全てを受け入れることにしたのであった。僕の受け入れを聞いた美月は、とても驚喜したのは言うまでもない。


 終わってから美月は落ち着き一緒にリビングに入ると、テーブルには僕が作った料理が並んでいた。美月は驚いた表情を見せた。


「わぁ~! 美味しそう!  天馬って本当に何でもできるのね」


 夕食をとりながら、僕はコーチとして抱えている悩みを美月に打ち明けてみた。

美月はバリバリのキャリアウーマンで、僕とはまったく異なる分野で活躍している。しかし、だからこそ、彼女の視点から新しいアドバイスがもらえるかもしれないと思ったのだ。


「美月、少し聞いて欲しいことがあるんだけど、いいかな?」


「もちろん。どうしたの?」


美月は少し怪訝そうな表情を浮かべながらも、真剣な眼差しで僕の話を聞く。


「実は、練習計画にメンタルケアの要素が足りてないんじゃないかと思ってて……どうやってサポートしていけばいいのか悩んでるんだ」


僕は部員たちの現状や、自分が感じている課題を正直に話した。美月は黙って頷きながら耳を傾けてくれる。その態度に自然と話が弾んだ。

しばらく考えた後、美月は口を開いた。


「目標に向かって全力を尽くすことは素晴らしいけど、プレッシャーで潰れてしまう人もいる。特に若い子たちは、頑張りすぎて自分を追い詰めちゃうことがあるわよね。それをどう支えるかが鍵になると思う」


美月は視線を一瞬宙にさまよわせ、考え込むような表情を浮かべた。


「職場でも似たような問題があるの。部下が抱えるプレッシャーやストレスに気づいてフォローするのが私の役目。でも、解決策って意外とシンプルなのよ。『小さな成功体験』を積み重ねてもらうこと。それが自信に繋がるから、次のステップも前向きに進めるの」


 その言葉に僕はハッとした。確かに練習でも達成感を得られる瞬間を意識的に作り出せば、部員たちの心の負担を軽くすることができるかもしれない。

例えば、厳しいけれど理論的に根拠のあるトレーニングをやり遂げたとき、それが彼女らの自信に繋がるだろう。故障中の部員にも同様だ。現在行っている走力の低下を防ぐためのトレーニングを続けることで、回復したときにその努力が役立つ日が来ると、前向きに想像させることができる。


「他には、短期目標を設定して、それをクリアしたら全員で少しリフレッシュする時間を作るとか。練習だけじゃなくて、合宿中にレクリエーションを取り入れるのも効果的だと思う」


僕は慌ててメモ帳を取り出し、美月のアドバイスを書き留めた。


「さすがだよ、本当にありがとう! これ、すぐに部の運営に取り入れてみるよ」


「どういたしまして。でも、無理しないでね」


その優しい一言に、僕は心が温かくなるのを感じた。美月と過ごす時間は、僕自身のリフレッシュにもなっているのかもしれない。


僕は早速部員らのメンタルケアについてをクリスに電話連絡した。クリスはとても驚いていたが、了承してくれた。

翌日の練習開始前に部員を集めてクリスと共に話すことにした。


 その夜、僕は美月のアドバイスをもとに練習計画を練り直した。部員たちが楽しみながら目標を追いかけ、自信を深めていける環境を作る――それが、僕に課された新たな挑戦だと感じた。


~~~~~~~~~


 翌日(16日)、練習が始まる前に、僕はクリスと共に部員たちをミーティングルームに集めた。そこで、新たに加えた練習計画の内容を発表することにした。彼女らの顔には少しの緊張と興味が見え隠れしている。


「みんな、今日は練習計画に新しい要素を加えることについて話したい。これからは、ただ走るだけじゃなく、短期的な目標を設定して、それを達成したときの喜びをみんなで共有する仕組みを取り入れる」


部員たちは小声で話し合いながら、僕の言葉に耳を傾けていた。


「例えば、今月の目標は、しっかりと疲労を抜くことだ。とにかく足の張りを引かせることに専念してほしい。故障中の者は僕が課したメニューをきちんとこなしてもらう。気持ちが沈みがちになるかもしれないが、故障中だからといって決して諦めないでほしい。皆の様子を見ながら、来月から本格的な練習を再開するつもりだ。各フェーズのトレーニングは厳しいが、理論的に根拠があり、効果が期待できるものだ。それをやり遂げたときに達成感を味わい、自分たちの成長を実感してほしい。そして目標を達成したら、リフレッシュできる時間も作る予定だ」


一人の部員が手を挙げて質問してきた。


「リフレッシュって、具体的には何をするんですか?」


「いい質問だね。例えば、簡単なゲームを取り入れるとか、バーベキューをしたりとか、みんなでレクレーションをする時間を設けるつもりだよ。リクエストがあれば、それにも応えるつもりだ。ただ遊ぶだけじゃなく、チームの絆を深める機会にしたいと考えている」


「面白そうですね!」


部員たちの表情が少しずつ明るくなり、話が進むたびに笑顔が増えていく。僕は最後にこう付け加えた。


「それから、何か意見や要望があれば、どんどん言ってほしい。悩み事でもいいし、家庭のことや恋愛のことでも構わない。もし何かあったら、僕か監督に相談してくれると嬉しいな」


部員たちは一瞬、ぽかんとした表情を見せたが、やがて一人が口を開いた。


「コーチ、こうやってみんなで意見を共有できるのっていいですね。これからの練習、なんだか楽しみになりました」


その言葉に、僕は胸を撫で下ろした。隣にいるクリスも、とても楽しそうな表情をしている。


~~~~~


 ミーティングを終え、僕とクリスはトレーニングの準備を進める。


「天馬、今日のミーティングはうまくいったわね。みんなの反応を見て、自信が持てたんじゃない?」


クリスが笑顔で話しかけてくる。


「うん。これからが本番だと思うけど、みんなのモチベーションを少しでも上げられたなら嬉しいよ」


そのとき、ふと僕はクリスに尋ねた。


「クリス、君は監督としてチームのメンタルケアについてどう思う?」


彼女は少し考え込んだ後、言葉を選びながら答えた。


「今まで考えたことすらなかったわ! だけど、とても大事だと思ってる。でも、結局は選手自身がどう感じるかが一番大切だから、私たちはそれをサポートする存在でいればいいと思うわ。選手たちが自分のペースで、楽しく前に進めるようにね」


その言葉に、僕は再び気づきを得た。選手一人ひとりの個性や気持ちを尊重すること。それこそが、彼女らの成長を後押しする鍵なのだ。


 練習が始まり、僕はその新たな視点を胸に、部員たちと向き合った。どのような困難が待ち受けていても、彼女らと共に乗り越えていけると確信しながら。


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