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- 4 - 播磨新宮

高速神戸>>山陽明石>>明石港>>岩屋港>>淡路IC>>洲本IC>>洲本>>志筑>>竹屋>>伊弉諾神宮前>>高速舞子>>舞子公園>>山陽姫路>>姫路>>播磨新宮【桜、楓花、カメリア、ひまわりの現在地】

13時56分に到着した列車を降りた四人は、播磨新宮駅の小さな駅舎を背に、駅前の広場に立っていた。

どこかのんびりした空気が漂い、地方駅ならではの静けさがある。駅舎は簡素な2階建てビルの建物。


「せっかくだから、近くを見て回ろう」

次のバスは14時32分発。出発まで30分ほどある。そのわずかな時間でさえ、桜は大切に使いたかった。


まず訪れたのは、新宮宮内遺跡だった。駅から歩いて数分、案内板の先には芝生の広がる一角があり、復元された竪穴住居が並んでいた。縄文から弥生にかけて栄えた集落跡で、環濠に囲まれた大規模な集落の一端がここに再現されている。


桜がカメラを構えながら口を開く。

「三千年前から人が暮らしよった場所なんやな。こうして実物大で再建されとると、生活の息遣いも想像しやすいや」


ひまわりが住居跡を覗き込み、目を丸くする。

「へえ、意外と広いね。焚き火とかしたら、煙で真っ白になりそうやわ」


「材木はクリやヒノキを使ってたって説明にあったな。昔の人の工夫ってすごい」

楓花が眼鏡のレンズ越しに案内板を読みながら補足する。


カメリアは少し離れた場所から全体を見回し、落ち着いた口調で言葉を添えた。

「揖保川流域は水が豊かだから、こうした大きな集落が成立したのね。播磨の中でも重要な拠点だったことがわかるわ」


桜が小さく頷きながらシャッターを切った。写真には竪穴住居と背後の空が収まり、過去と現在が交差するような風景が映り込んだ。


次に向かったのは新宮陣屋跡だった。駅から少し歩いた住宅街の中に案内板が立ち、説明文と簡単な図が掲げられている。だが、周囲はすでに宅地化され、往時の面影はほとんど残っていない。かろうじて陣屋を思わせるものといえば、案内板の横に置かれた石だけだった。


「売り地のノボリまで立ってるな」

楓花が苦笑する。


桜は写真を撮りながら小さくつぶやいた。

「歴史は確かにここにあったはずなのに、土地はこうして形を変えていくんやな」


ひまわりは首をかしげて、

「ちょっと寂しいなあ」

と感想を漏らした。


そこからさらに歩き、新宮八幡神社へ。参道の入口には大きな鳥居が構え、道の両側には古木が並ぶ。ムクノキとケヤキは町の文化財に指定されており、夏の緑に覆われて涼やかな木陰を作っていた。


「立派な神社」

楓花が思わず感嘆の声を漏らす。


社殿は堂々としており、境内も広々としている。桜が案内板を読みながら解説する。

「元は揖保川の対岸の宮山にあったんや。沖見八幡って呼ばれよったらしい。その後、領主の池田重政って人が陣屋の敷地内に遷したんやって」


そして少し間をおいて、桜は続けた。

「そうそう、この『新宮』って地名も、実はここから来とるんよ。もともと山上にあった八幡神社を、村人たちが村の中に勧請したとき『新しい宮』として呼ばれるようになったらしい。だから町の名前そのものが、この神社の歴史と結びついとるんやな」


「へえ、ほんまに神社が町の中心やったんか」

ひまわりが感心したようにうなずく。


「揖保川沿いの集落は川と共に暮らしてきたからね。信仰の形も変わっていくのよ」

カメリアが静かに付け加えた。


一行は境内をひととおり巡った後、駅前へと戻った。少し急ぎ足で回ったため、まだバスまで時間が残っていた。


駅前を歩くと、素麺工場の看板が目に入った。白壁の建物からは、どこか粉のような匂いが漂い、四人は思わず足を止める。


「ここでも素麵が作られよるんやな」

桜が感心したようにカメラを向ける。


その横でひまわりが、ちょっと残念そうに笑った。

「素麺食べたかったなあ」


カメリアは肩をすくめつつ、柔らかい声で応じる。

「旅の途中だからこそ、食べられないものもある。それもまた思い出になるわ」


さらに歩を進めると、駅の南側に、調味料メーカー・ブンセンの本社が建っていた。建物自体は近代的だが、地域に根ざした企業の存在感がある。


「イカナゴのくぎ煮の佃煮で有名な会社。スーパーで見たことある」

楓花が軽く話題を出すと、ひまわりが「あ、私も知ってる!」と嬉しそうに頷いた。

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