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断罪イベント365ー王子編

断罪イベント365 ― 「観衆の大合唱」

作者: 転々丸
掲載日:2025/09/14

この国の王子は、365日断罪イベントのことしか考えていない王子なのです。

今日も断罪イベント始まります。


壇上の王子が胸を張り、声を張り上げた。

「本日この場をもって――彼女を断罪する!」


その瞬間、空気を切り裂くように、会場全体から声が上がった。

「断罪〜〜っ!!」


王子は思わずのけぞる。

「……な、なんだ今のは。と、とにかく――」


「断罪〜〜っ!」

観衆の合唱は止まらない。

誰かが空気読まずにまた叫んだのかと思いきや、

完全に一致団結している。


袖に立つ黒幕令嬢が焦って王子のマントを引っ張った。

「殿下、進行ができませんわ!早く次に!」


王子は仕切り直して叫ぶ。

「罪状は、浮気――」


「断罪〜〜っ!!」

タイミングぴったりの合いの手。

まるで練習済みかのようだ。


「まだ証拠を出してないのに!!」


「断罪〜〜っ!!」


ざわ……と空気が揺れ、次の瞬間、誰かが手拍子を始めた。

「だんざい! だんざい!」


すると会場全体が乗ってくる。

「だんざい! だんざい!」

手拍子に合わせて声を揃え、軽快なビートでコールが鳴り響く。


シャンデリアが揺れるほどの盛り上がり。

「アンコール!」「もう一回!」の声まで飛び交い、

もはやここは断罪イベントではなく、王子主演のライブ会場。


黒幕令嬢は顔を真っ赤にして、涙目で叫んだ。

「みなさんっ! 茶番に参加してないで黙りなさい!」


「断罪〜〜っ!!」


何を言っても、返ってくるのは完璧なレスポンス。


その様子を見ていた元婚約者の令嬢は、涼しい顔で一礼した。

「殿下、どうぞ最後まで歌わせて差し上げて」


王子は頭を抱えた。

「違う! これは真面目な断罪イベントなんだ!」


「断罪〜〜っ!!」


誰かがペンライトを振り始めた。

列席していた貴族の一人が便乗し、

客席のあちこちでカラフルな光が揺れる。


「推しは王子!」「やっぱ生断罪はアツい!」と声援が飛ぶ。


――その声にかき消され、王子の断罪は二度と進行しなかった。


彼の声が届くことは、もう永遠にない。

その日以降、断罪イベントは

“最初で最後のフェス”として市民の間で語り継がれることになる。



王子、主役を観衆に奪われ

進行不可能となる。

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