02d
「最近、エリってアミと仲良いよね」
そう言ったのはクヌギ。
何時も通り何を弾くでもなく部室の隅でベースを抱えて煙草を吸っている時だった。
「いや、ただエリみたいな人が人と付き合うのは意外でね」
そんな見透かす様な言葉に少し驚き、次いで苛立ちが沸く。
「そうかい」
自分の思うより不機嫌な声になる。
「いや、悪い悪い」
何かエリって浮世離れした感じだからさ。
クヌギがフォローにならない一言を足す。
「私は修行僧じゃないぞ」
「悪かったって」
でも、とクヌギは言を連ねる。
「その割にアミ、寂しげじゃない?」
「そう?」
私の気のせいかねぇ、と背伸びをするクヌギ。
だが、自分もそれには気付いている。
寮に帰る道で歩きながら考える。
やはり私と七海が話しているのを聞いた後だろう。
私の顔を見て、アミが嬉しそうな、それでいて憂いを帯びた顔をするようになったのは。
彼女は今まで友人が居ないと言ってたが、それならば矢張り……
「エリちゃんの浮気者」
いきなり後ろから声をかけられる。
七海だ。
「いきなり何だ」
「今、私じゃない女の子の事考えてた」
「私だって色々考える事があるさ」
と言いながら私は狼狽していた。
確かに、他人の事を考えるだなんて、何時もの自分では考えられない事だったから。
クヌギの見透かす様な言葉のせいだろう。
そう、思うことにした。