あーかい部! 64話 ペットボトル
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!
趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!
同じく1年、青野あさぎ!
面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!
独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河!
そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「はぁぁ……。」
あさぎは凹んでいた。
「元気出しなよぉ?」
「きはだのせいで今日ペットボトルなんだけど……!」
「そういえばあさぎはいつも水筒だな。」
昨日、なんやかんやで部室に水筒を置き忘れてしまったあさぎはペットボトルのお茶をチビチビ飲んでいた。
「そうだよ。わざわざ取りに来たのに、きはだのせいで回収し損ねた……!」
「もともと忘れものしたのは誰だい?」
「……私だよっ!!」
「荒れてるな……。」
「どぉ〜れ、
きはだは自分のカバンをガサゴソすると、アンパンを取り出した。
「食べる?」
「良いの……っ!?」
「露骨に機嫌が治ったな……。」
「あさぎちゃんのだぁい好きな『つぶあん』ですぜ?」
「やった♪ありがときはだ、いっただきまーす♪♪」
「……きはだも律儀だな。詫びの品を用意するなんて。」
「いえいえとんでもありやせん。こいつぁあさぎちゃんの操縦桿ですぜひいろの旦那ぁ。」
「〜♪♪」
「そ、そうか……。」
「やっほーみんな、元気?」
白ちゃん入室。
「あら?あさぎちゃん今日はペットボトルなのね?」
「はい♪♪」
「ねえ、2人とも……、
白ちゃんはひいろときはだを囲い込んで小声で話した。
「あさぎちゃん、何か良いことでもあったの?」
「きはだがあさぎにあんぱんあげたらこの有様だ。」
「『有様』って、ご機嫌とったのに酷いなぁ。」
「とりあえず頭打ったとかじゃなくて良かったわ……。」
「〜♪♪」
「……せっかくだし食べ終わるまで待ちましょうか。」
あさぎは3人に見守られていることも知らず、満面の笑みであんぱんを平らげた。
「ご馳走様でした……♪」
「お〜、いい食べっぷり。」
「えっ!?///みんな見てたの……!?///」
「「「うん(ああ)。」」」
「じゃあ今日の話題はあんぱんで決まりかしらね?」
「「うん(ああ)。」」
「ペットボトルにしましょう!」
あさぎは飲みかけのペットボトルを机にダンと置き、注目を集めた。
「「「え?」」」
「だってあんぱんにしたら絶対さっきの弄られるし……!///」
「「「そっかそっかぁ……。」」」
「ほっこりするのやめてください!///」
というわけで今回はペットボトル回です。
「ペットボトルといえば、いろんな形のがあるよね。」
「炭酸飲料のとか、潰せるやつとかあるよな。」
「アレって体よく容量減らしただけじゃない?」
「まあそこは吹き出しにくい……とか、色々理由があるんだろう。」
「そのうちウニみたいな形になっちゃったりしてぇ。」
「内容量削減の極致ね……。」
「ペットボトルといえば、最近はリサイクルのイメージもあるよな。」
「洋服とかになるんだよね。」
「凄いわよねぇ……こんなカッチカチのが、ふにゃふにゃのワイシャツとかになっちゃうんだもの。」
「か、カッチカチが……ふにゃふにゃに……!?///」
「ひいろちゃんは1回黙ろっか?」
「ペットボトルって、お口をつけて飲むよねぇ?」
「え?まあだいたいそうね。」
「わたしたちの洋服は肌に触れてるよねぇ?」
「な……!?ま、まさかこれは……全身関節キッ
「変なこと考えないの……!」
「でもこれくらいだよねぇ、ペットボトルについて語れるのなんて。」
「そうだな……投稿するにはもう一つくらい話題が欲しいものだが……
「もっと他にあるでしょ……!ほら、プラスチックのこととか。」
「あんぱんについて語り明かしたいなぁ〜?」
「ワタシはこしあ
きはだが慌ててひいろの口を塞いだ。
(あさぎちゃんはつぶあん信者だ、お口に気をつけないと、刺されるぞ……!?)
(そ、そうなのか……。)
「そうだ。ペットボトルといえば、おまけにフィギュアがついてるヤツあるわよね?」
「モーラさんがめっっちゃ集めてるヤツですね。」
「何やってんのよあの愚妹は……。」
2人がヒソヒソする傍らで話は進んでいた。
「それってフィギュアの下がキャップになってるヤツだよねぇ?」
「そうそう、でもアレ……キャップとして使ってる人見たことないのよね……。」
「アレは使うものというより、見て楽しむものだからな。」
「そう?モーラさんめっちゃ使ってるけど。」
「飲み物の蓋に?」
「いや、人生ゲームとか将棋とかの駒に。」
「人生ゲームはともかく将棋って……、」
「凄い数だな……。」
「モーラさん将棋とかやるんだねぇ。」
「けっこう指すよ。」
「ちゃんとした駒じゃないとやりにくくないか?ほら、将棋って裏返してパワーアップするだろ?」
「パワーアップっていうと一気に今どきのゲーム感出るわね……。」
「裏返す代わりに弱そうな駒を強そうな駒にチェンジしてるよ。」
「何それ楽しそう……!」
「なんだかワタシも集めたくなってきたな……。」
「……無駄遣いはしないでね?」
あーかい部!(4)
あさぎ:投稿完了
白ちゃん:お疲れ様
あさぎ:2人が反応しない……まさか
白ちゃん:そのまさかね。また編集中になってるわ
ひいろ:きはだ添削頼んだ!
きはだ:よしきたぁぁああ!
あさぎ:待って何するつもり
ひいろ:足りないんだよ、『大事なところ』がなぁ!?
白ちゃん:この流れ前も見たわね
あさぎ:『大事なところ』ってまさか
あさぎ:くそっ、編集中で見られない……!
きはだ:完了!!
ひいろ:メイディット!!
白ちゃん:……とりあえず見てくればいいのかしら
あさぎ:ばかばかばかばか消せっ!
白ちゃん:そんなにまずいことは書いてないような……
ひいろ:まあ、
きはだ:事実だし、ねぇ?
あさぎ:こんなの書いたら私があんぱん一つで懐柔される脳みそあんこ人間みたいじゃん!?
きはだ:そうだよぉ?
ひいろ:そうだな
ひいろ:あれ?帰ってこない……
きはだ寝落ちかぁ?
白ちゃん:あんまりいじめちゃダメよ?
あさぎ:ごめんお菓子食べてた
白ちゃん:大福美味しかった?
あさぎ:大福じゃないですおまんじゅうです
きはだ:やっぱりあんこで草ァ!
あさぎ:あ
ひいろ:見事に嵌められたな
あさぎ:こらこら、あんまりあさぎをいじめちゃダメだぞ?
白ちゃん:モーラいたのね
きはだ:お隣さんだぁ
ひいろ:そういうモーラさんもあんこで餌付けしてるじゃないか
あさぎ:私はいいのよ
あさぎ:とにかくあんまりあげすぎちゃダメだからね?免疫ついちゃうと楽しめないんだから
白ちゃん:まったくあんたは……